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香港の離島で開催される祭り
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香港の地理的な位置関係は皆さん、ご存じでしょう。香港は、九龍半島と対岸の香港島、さらに大小230余りの島々でなりたっていると小学館『日本大百科全書』に書かれています。
一番にぎわう場所は九龍半島と、その対岸にある香港島の北部で、われわれが認識する香港はだいたい、この辺りになります。
しかし『日本大百科全書』にも書かれているとおり、香港にはたくさんの離島があり、その中には「長洲島(チュンチャウ島)」もあります。香港の中心部からフェリーで30分ほどの離島で、世界的にユニークな祭りが毎年開催されています。
どんな祭りか、ご存じでしょうか? もしかすると、日本のテレビなどもニュースで報じていたので、記憶している人もいるかもしれません。
まんじゅうを飾ったタワーがお目見え
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その祭りの名前を「長洲饅頭節(長洲太平清醮)」 といいます。「饅頭」の漢字から、まんじゅうを使った長洲島で開催される祭りだとは予想できますが、どのような祭りなのでしょう。
起源については諸説あるものの、18世紀から19世紀ごろに流行した疫病で長洲島の住人が壊滅的な被害を受けた際、土地の神様にまんじゅうを捧げ、感染拡大の終結を祈った出来事が発端ともいわれています。
そのまんじゅうを捧げる儀式が発展し、まんじゅうを飾った巨大なタワーがお目見えする、現在の祭りの形式になっていったのですね。
まんじゅうには「平安」など、縁起のいい言葉が印字され、その巨大なまんじゅうタワーによじ登って、数多くのまんじゅうを手にした者に、最大の幸運が与えられるレースも開かれます。
しかし、1978年(昭和53年)にはそのレースで、まんじゅうタワーが崩壊し、よじ登っている人たち100人が負傷し、2,000人ほどの観衆がパニックに陥る事故がありました。
その後、しばらくレースは中止となっていたのですが、香港政府の働きかけで2005年(平成17年)に復活し、安全性がより配慮されたレースに様変わりしました。
まんじゅうタワーの素材が竹から鋼鉄に変わったり、タワーによじ登る人の数も大幅に制限され、予選を勝ち抜いた人しか参加できなくなったり。
今年のレースでは、200の人がエントリーし、最終的には12人のファイナリストが1位の座を競ったとの情報もあります。
数万人の観光客が島に訪れる
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祭りではほかにも、神や歴史上の人物の格好をまねした子どもたちが担ぎ出され、街中を行進するパレードもあります。
現地紙「South China Morning Post」によると、祭りの期間中は島全体の住人がベジタリアンになり、あのマクドナルドのメニューからも肉が消え、マッシュルームバーガーなどに切り替わるとの情報もあります。
疫病を回避するために始まった祭りながら、新型コロナ感染症の影響が深刻だった2020年(令和2年)から2022年(令和4年)には「長洲饅頭節」も中止だったようです。
しかし、いよいよ今年は復活し、多くの注目を集めました。香港政府観光局によると、数万人の観光客がこの祭りを楽しみに島に訪れるそうです。
アジア旅行は、移動の距離が少なく気軽に行き来できます。風変わりな祭りを旅の目当てに、来年の計画を今から予定してもいいかもしれませんね。
[参考]
※ How Cheung Chau Bun Festival in 1978 left 100 injured, and why it was banned for 27 years ※ Not all bun and games: a look at the history and controversies behind Hong Kong’s Cheung Chau Bun Festival ※ 2023年4月16日から5月27日まで、4年振りとなる「長洲饅頭節」が開催予定 – 香港パートナーネット ※ 約18mの塔に9000個の饅頭…香港・長州島の伝統的な「饅頭祭り」が3年ぶりに開催|TBS NEWS DIG ※ 香港離島めぐり~長洲島 – 香港ナビ
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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