©️Olivier Guiberteau / Shutterstock.com
キリストの受難と死を記念する行事
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スペインには、「トマト祭り」など、独特の文化が根強く生き残っている印象がありますが、今回紹介する風変わりな祭りもスペインの祭りです。
スペイン北部にはガリシア地方という地域があり、そのガリシア地方には、ラスニエベスと呼ばれるまちがあります。そのまちで毎年夏に、変わった「聖週間」のパレード(プロセシオン)が開催されます。
聖週間とは、復活祭に向けた準備として、復活日の前日までの1週間に、キリストの受難と死を記念する行事です。
<キリストの受難と死とを偲び,復活祭への準備として罪を反省する,枝の祝日から復活日の前日までの1週間>(『ブリタニカ国際大百科事典』より引用)
日本の外務省によると、スペインでは宗教の自由が認められているみたいですが、キリスト教徒(カトリック)が国民の大半を占めるとの話。
カトリックの宗教儀式であるプロセシオンは各地で開催されますが、中でもガリシア地方のラスニエベスで開催されるプロセシオンは特徴的な行事になります。生きた人間を棺桶に入れて家族で担ぎ、その周囲を信者がパレードするのですね。
死をまぬかれた感謝を神に捧げる
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この風変わりなプロセシオンの起源は定かではありません。ただ、BBCの取材によると、数百年前から続く伝統だとの話。
誰もが棺桶に入れるわけではなく、このプロセシオンで棺桶に入れる人は、本当に死にかけた人だけ。がんに罹患(りかん)して治った人だとか、交通事故に遭って九死に一生を得た人だとか、死にそうになって生き延びた人が棺桶に入り、パレードで運ばれます。
なぜ、本当に死にそうになった人だけが入れるのかと言えば、死の危機を乗り越えた人は、無病息災の感謝を神に捧げるためのシンボリックな存在になれるからです。
この村で開催されるプロセシオンは毎年7月末。ブラスバンドの演奏もまちに響き、多くの人が集まります。今年の祭りは終わってしまいましたが、今から一年後を楽しみに旅の計画をしてみるといいかもしれませんね。
[参考]
※ In Spain, a celebration of victory over death – BBC
※ スペイン王国基礎データ – 外務省
※ “棺に生きた人!?” スペインの珍しい「Semana Santa」(イースター)の習慣 – VAMOS
※ Spain’s Festival of the Near Death Experience – vhillisauce
※ How to Celebrate Life at Spain’s Near Death Festival – culture trip
※ ひつぎの中は生きた人…無病息災祈る奇祭、スペイン – AFP
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