10位:栃木県(国宝数17)
10位は栃木県で、国宝の数は17。
栃木県の国宝といえば、徳川家康がまつられた神社「日光東照宮」です。本殿・石の間・拝殿のほか、正面唐門、背面唐門、東西透塀、陽明門、東西廻廊附潜門が国宝に指定されています。細部にまで極彩色が施され豪華絢爛。これらは、信仰形態や学問・思想を表しているそうです。
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また、日光山輪王寺の「大猷院(たいゆういん)」も必見です。3代将軍徳川家光の霊廟(れいびょう)で、祖父である「家康公」(東照宮)を凌いではならないという遺言により、金と黒を使用し重厚で落ち着いた造りになっています。
8位:神奈川県・広島県(国宝数19)
8位は神奈川県と広島県が国宝数19で並びました。
鎌倉時代に首都だった神奈川県鎌倉市には国宝が多数存在します。なかでも「国宝銅造阿弥陀如来坐像」、いわゆる「鎌倉大仏」は有名です。高徳院の本尊として武家政権と民衆の安寧を願ってつくられた金銅の鋳造仏で、像高約11.3m、重量約121tの大きさを誇ります。
広島県で一番有名な国宝は、「厳島神社」です。本社、摂社客神社、廻廊が国宝に指定されています。1996年世界遺産に登録された、潮の満ち引きのある場所に建てられた古式ゆかしき神社で、神秘的な雰囲気です。
7位:兵庫県(国宝数21)
7位は国宝数21の兵庫県。
シラサギが羽を広げたような優美な佇まいが目を引く「姫路城」は兵庫県を代表する国宝です。イ、ロ、ハ、ニの渡櫓と、乾小天守、大天守、西小天守、東小天守が国宝に指定されています。大天守は外観五重、内部七階で、三基の小天守と渡櫓でつながれて連立天守郭を構成しています。
加古川市加古川町に位置する「鶴林寺」の本堂と太子堂も国宝です。本堂は折衷様式の仏教建築で重厚かつ荘厳な印象。一方の太子堂は、兵庫県下最古の建築で、方三間、一重、宝形造り。この建物の内部には、赤外線写真により、創建当時の壁画が残っていることが確認されています。
6位:和歌山県(国宝数36)
6位は和歌山県で国宝の数は36です。
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北条政子が、夫の源頼朝と息子である実朝の菩提を弔うために建立した「金剛三昧院多宝塔」は、鎌倉時代に高野山で最も大きいお寺のひとつだった「金剛三昧院」の境内にあります。鎌倉初期の建立とされる石山寺(滋賀県大津市)の多宝塔についで古く、裳層(もこし)を広くとり、安定感に富んでいるのが特徴です。
熊野三山のひとつとして知られる「熊野速玉大社」は、室町時代に足利義満公が奉納したと伝えられる調度品を中心に、約1,200点にのぼる古神宝類を所蔵しており、これらは国宝に指定されています。熊野速玉大社は、かつて33年に一度の遷宮が行われ、そのたびに神宝が奉納されていたそうです。
5位:滋賀県(国宝数56)
5位は国宝の数が56の滋賀県。
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比叡山の麓に鎮座する「日吉大社」の西本宮・東本宮、どちらの本殿も国宝です。本殿は日吉造(ひえづくり)といわれる独特の建築で、入母屋造の背面をバッサリと切り落としたような造りになっているほか、床下に明治の神仏分離まで本地仏を安置していた「下殿」と呼ばれる部屋が設けられていました。
琵琶湖の沖合に浮かぶ小島「竹生島」は、中世以来、西国三十三所観音霊場の三十番札所として参拝客で賑わっています。そんな竹生島には、豊臣秀吉の大坂城の唯一の遺構と伝わる「宝厳寺唐門」と、「都久夫須麻神社本殿」の2つの国宝があります。
4位:大阪府(国宝数62)
4位は大阪府で国宝数62。1810年に建てられた、住吉三神、神功皇后が祀られている「住吉大社」の本殿は国宝に指定されています。第一本宮から第四本宮までの4棟の本殿は「住吉造」と称し、神社建築史上最古の様式のひとつだといわれています。上から眺めると、あたかも大海原を行く船団のように本宮が並んでいるのが特徴です。
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また、大阪市の「四天王寺」に所蔵されている国宝「七星剣」は、聖徳太子のものであったと伝えられる直刀です。飛鳥時代に作られました。表裏の樋(ひ)の上には七星と雲形、そして鎺元(はばきもと)に龍頭を金で象嵌されています。
3位:奈良県(国宝数206)
春日大社
3位は奈良県。かつては日本の政治・経済・文化の中心だった奈良県は、歴史文化資源の宝庫! 206もの国宝があります。国宝のうち「彫刻」と「建造物」の件数は、ともに全国1位です。
金峯山寺
国宝に指定されている奈良の建造物には、「春日大社本社」や「金峯山寺本堂(蔵王堂)」「興福寺三重塔」「新薬師寺本堂」などがあります。また、彫刻は奈良国立博物館の「木造薬師如来坐像」や興福寺の「板彫十二神将立像」「乾漆十大弟子立像」といったものがあります。
2位:京都府(国宝数237)
清水寺
奈良を制して2位は京都府です。長岡から遷都して以来、明治維新に至るまでの日本の首都だった京都には、国宝が237と多数! 「古文書」の件数は全国1位です。
二条城
建築物では、「二条城」や「賀茂御祖神社(下鴨神社)」、「清水寺本堂」「仁和寺金堂」などが国宝に指定されています。さらに古文書で、「藤原忠通筆書状案」「弘法大師筆尺牘三通(風信帖)」「後醍醐天皇宸翰御置文〈/元弘三年八月廿四日〉」といった大変貴重なものがそろっています。
1位:東京都(国宝数291)
旧東宮御所 ©️pepmint / Shutterstock.com
古都である奈良や京都が首位に輝くと思いきや、東京都がナンバーワンでした。国宝の数は291。国宝の「絵画」「工芸品」「書跡・典籍」「考古資料」の数がズバ抜けて多いのです。「東京国立博物館」だけでも国宝89件を収蔵しています。
正福寺 ©️Takashi Images / Shutterstock.com
しかし、建造物は「旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)」「正福寺地蔵堂」の2件と少なめです。また、絵画は「紙本著色地獄草紙」「白描絵料紙理趣経」「絹本著色鶉図」といったものがあります。
[参考]
国宝・重要文化財都道府県別指定件数一覧
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