温泉もある!死後のような景色に包まれる「恐山」(青森県むつ市)
慈覚大師円仁(じかくだいし・えんにん)は、夢のお告げに導かれ、諸国に教えを説きながら旅を続けた末、862年、むつ市下北に「恐山菩提寺」を創建したと伝えられています。地元では「人は死ねば恐山に行く」と言い伝えられてきたそうです。
かつて恐山は、宇曽利山(うそりやま)と書かれていたり、下北地方を宇曽利郷と呼んでいたことがあったとか。これは、アイヌ語のウショロ(入江や湾という意味)に由来し、それが転化してオソレ(恐)になったと考えられています。
太鼓橋
恐山は外輪山に囲まれているため、外部から見ることができません。しかし、太鼓橋を渡り、霊域に入ると景色が一変します。極楽浄土を思わせる「極楽浜」、硫黄臭が漂う「地獄谷」、石が積まれた「賽の河原」など、もの悲しさを感じる、死後のような景色に包まれ、不思議な気持ちになりますよ。
恐山は1万年以上前に噴火したとされる休火山なのです。そのため、恐山の境内には、男湯、女湯、男女入れ替え制、混浴の4つの湯小屋も。いずれも硫黄泉で参拝者は無料で入浴可能です。
また、霊場恐山には1周3kmほどの参拝コースがあり、徒歩約40分で巡ることができます。芥川龍之介の『羅生門』を彷彿させる荘厳な「山門」や、恐山菩提寺の本尊となっている「延命地蔵尊」、エメラルド色に輝く、透き通った水が目を引く「極楽浜」、毎年供養祭が行われている「東日本大震災供養塔」など、見どころがいっぱいです。
なお、恐山で有名なイタコがいるのは、7月20日~24日に行われる「恐山大祭」、10月上旬の連休に行われる「恐山秋詣り」の期間だけなので、イタコの口寄せを希望する方はご注意を。
あの世に最も近い場所とされる恐山を訪れ、死者を敬い、故人に思いを馳せたいですね。
住所:青森県むつ市田名部宇曽利山
電話:0175-22-1111(むつ市観光課)
開山期間・時間:5月~10月 6:00~18:00(季節により閉門時間が変動)
閉山期間:11月~4月
入山料:大人500円、小・中学生200円
交通アクセス:JR「下北駅」からバスで約40分 ※詳しくはこちらをご覧ください。
公式サイト:https://aomori-tourism.com/spot/detail_47.html
「奥之院」と「壇上伽藍」の二大聖地を有する真言密教の総本山「高野山」(和歌山県)
金剛峯寺をはじめとする117の寺院がある「高野山」は、約1,200年前の平安時代の初期に空海(弘法大師)が開いた真言密教の聖地です。東西60m、南北約70m、境内総坪数4万8,295坪と広大な敷地を誇り、山内は「奥之院」と「壇上伽藍」が二大聖地とされ、古来、多くの人々の信仰を集めています。また、117の寺院のうち50以上の寺院が宿坊で一般の参拝者も宿泊可能です。
約1,000mの高峰である高野山を空海が発見したのは、唐での留学を終え、明州の浜から帰国しようとしたときがはじまり。空海は「伽藍建立の地を示したまえ」と念じ、持っていた三鈷(さんこ)を投げたそうです。すると、その三鈷は空中を飛んでいったとか。
そして、弘法大師はこの三鈷を求め、漁師が連れていた犬や、山の主の女性に導かれて、ついに松の木に引っかかっている三鈷を発見! この地に開山することを決めたと伝えられています。
高野山で訪れたいのが「壇上伽藍」です。総本堂として重要な役割を果たしてきた「金堂」、重要文化財に指定されている「御社」、真言密教の根本道場におけるシンボルとして建立した「根本大塔」といった密教思想にもとづく19の建造物が建ち並びます。
さらに、壇上伽藍とともに高野山の二大聖地になっている「奥之院」も要チェックです。この場所は、空海が入定したことでも知られています。樹齢約700年の杉木立がそびえる「奥之院参道」、弘法大師へお供えする毎日の食事を調理する「御供所」、その食事を地蔵尊に味見してもらう「嘗試地蔵」など、一度は見たいスポットが目白押しです。
写経や真言宗に伝わる瞑想法「阿字観」、十箇条の戒めを授かることができる「授戒」、「森林セラピー」といった体験も可能。気になる修行を体験して、身も心も清めたいですね。
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山
電話:0736-56-2616(高野山宿坊協会)
交通アクセス:南海高野線「極楽橋駅」下車、南海高野山ケーブルで「高野山駅」へ
公式サイト:https://www.koyasan.or.jp/
日本仏教各宗の祖師が学んだ「比叡山」(滋賀県大津市・京都府京都市)
天台宗の総本山「比叡山」は、奈良時代末期、19歳の最澄が比叡山に修行に入り、小さな草庵(そうあん)を結んだのがはじまりです。その3年後には一乗止観院を創建。ここを鎮護国家の根本道場にしました。
比叡山は琵琶湖を眼下に望み、西には京都の街並みを一望できる景勝地でもあります。ケーブルやドライブウェイも完備し、気軽に訪れることができるのも魅力です。
比叡山延暦寺は、大きく分けると山上・山下の2つ。山上には、根本中堂を中心とした「東塔」、釈迦堂を中心とした「西塔」、円仁によって開かれた「横川」の3地区があり、なかでも朱色の塔が背景の緑に映える「法華総持院東塔」は一見の価値ありです。内部の壁画も見逃せません。1,200年以上灯り続けている「不滅の法灯」がある「根本中堂」もあわせて訪れたいですね。
さらに横川には、聖観音菩薩が祀られている、舞台造りと鮮やかな朱塗りが印象的な「横川中堂」や、「おみくじ」発祥の地として知られている「元三大師堂」も。一方の山下には、延暦寺の鎮守社だった「日吉大社」、本坊だった「滋賀院」があります。
東塔地域延暦寺バスセンターの近くには「国宝殿」も。延暦寺に伝来する仏像・仏画・書跡などの文化財が多数保管されています。国宝や重要文化財に指定されているものも豊富。比叡山を訪れたら、こちらにも立ち寄りたいですね。
約100のお堂がある比叡山は、古来、峰々を巡って礼拝する千日回峰行など、僧侶の修行の場です。そのため、比叡山の自然に触れながらゆったりとハイキングするのもおすすめ。ハイキングコースはこちらをチェックしてくださいね。
住所:滋賀県大津市坂本本町4220
電話:077-578-0001
営業時間:9:00~16:00 西塔、横川は冬季(12月~2月)のみ9:30~16:00
入山料:大人1,000円、中高生600円、小学生300円
交通アクセス:京阪電鉄・京津線 「坂本比叡山口」下車徒歩約10分、坂本ケーブル乗り換え終点下車
JR湖西線 「比叡山坂本」下車徒歩約20分、坂本ケーブル乗り換え終点下車
公式サイト:https://www.hieizan.or.jp/
[参考]
下北ジオパーク
和歌山公式観光サイト
比叡山・びわ湖 山と水と光の廻廊
滋賀・びわ湖観光情報
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