【世界の子ども学力ランキング】日本はトップレベルに上昇!その理由は?1位を独占した国は?

Posted by: TABIZINE編集部

掲載日: Dec 12th, 2023

世界各国の15歳の子どもの学力を測る国際学力調査が行われ、その結果が発表されました。この国際学力調査「PISA」は、OECD(経済協力開発機構)が3年に1度行っているもので、世界の15歳の子どもを対象に数学や科学の活用能力、それに読解力の3つの分野の学力について調査しています。今回、日本はすべての分野で平均得点や順位が上昇して、世界トップレベルとなりました。各分野のトップ10とともに紹介します。

高校の教室のイメージ
 


 

国際学力調査「PISA」が4年ぶりに実施

学力調査のイメージ
経済協力開発機構(OECD)による生徒の学習到達度調査「PISA(PISA:Programme for International Student Assessment)」は、義務教育修了段階の15歳の生徒が持っている知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題に、どの程度活用できるかを測ることを目的とした調査です。数学や科学の活用能力、読解力の3つの分野の学力について調査しています。

81カ国・地域から約69万人が参加。日本からは、全国の高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校の1年生のうち、国際的な規定に基づき抽出された183校(学科)、約6,000人が参加しました(2022年6月から8月に実施)。

今回は、新型コロナウイルス感染症の影響で、2021年に予定されていた調査を2022年に延期して、4年ぶりに実施されました。

「数学的リテラシー」ランキング

数学のイメージ

  • 1位 シンガポール 575点
  • 2位 マカオ 552点
  • 3位 台湾 547点
  • 4位 香港 540点
  • 5位 日本 536点
  • 6位 韓国 527点
  • 7位 エストニア 510点
  • 8位 スイス 508点
  • 9位 カナダ 497点
  • 10位 オランダ 493点

 

【数学的リテラシーの定義】
数学的に推論し、現実世界の様々な文脈の中で問題を解決するために数学を定式化し、活用し、解釈する個人の能力のことである。それは、事象を記述、説明、予測するために数学的な概念、手順、事実、ツールを使うことを含む。この能力は、現実社会において数学が果たす役割に精通し、建設的で積極的かつ思慮深い21世紀の市民に求められる、十分な根拠に基づく判断や意思決定をする助けとなるものである。

日本の数学的リテラシーの平均得点は536点で、前回の6位から5位に上昇しました。引き続き世界トップレベルにあり、OECD加盟国中1位(順位の範囲:1-2位)です。

OECDの平均得点は2018年調査から大きく低下している一方、日本は高水準で安定しています。「各プロセスの平均得点」と「各内容知識の平均得点」も国際的に高いです。

「読解力」ランキング

読解力のイメージ

  • 1位 シンガポール 543点
  • 2位 アイルランド 515点
  • 3位 日本 516点
  • 4位 韓国 515点
  • 5位 台湾 515点
  • 6位 エストニア 511点
  • 7位 マカオ 510点
  • 8位 カナダ 507点
  • 9位 アメリカ 504点
  • 10位 ニュージーランド 501点

 

【読解力の定義】
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。
<測定する能力>「1. 情報を探し出す」「2. 理解する」「3. 評価し、熟考する」

日本の読解力の平均得点は516点で、OECD加盟国中2位(順位の範囲:1-6位)でした。前回2018年調査の504点から有意に上昇して、前々回2015年調査の516点と同水準に。順位は前回の15位から3位に上昇しました。

「科学的リテラシー」ランキング

高校の授業のイメージ

  • 1位 シンガポール 561点
  • 2位 日本 547点
  • 3位 マカオ 543点
  • 4位 台湾 537点
  • 5位 韓国 528点
  • 6位 エストニア 526点
  • 7位 香港 520点
  • 8位 カナダ 515点
  • 9位 フィンランド 511点
  • 10位 オーストラリア 507点

 

【科学的リテラシーの定義】
思慮深い市民として、科学的な考えを持ち、科学に関連する諸問題に関与する能力。
<測定する能力>「1. 現象を科学的に説明する」「2. 科学的探究を評価して計画する」「3.データと証拠を科学的に解釈する」

日本の科学的リテラシーの平均得点は547点で、引き続き世界トップレベルにあります。OECD加盟国中1位(順位の範囲:1位)。前回2018年調査の529点から有意に上昇し、5位から2位へアップしました。OECD平均は平均得点の⾧期トレンドが下降しているものの、日本は高水準で安定しています。

3分野とも1位を独占したのはシンガポールでした。

日本の学力が上昇した要因

パソコンを使った授業のイメージ
前回2018年調査からOECDの平均得点は低下した一方、日本は3分野全てにおいて前回調査より平均得点が上昇(統計的には、読解力及び科学的リテラシーは有意に上昇、数学的リテラシーは有意差はない)しています。

今回の結果には、新型コロナウイルス感染症のため休校した期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性があると、OECDは指摘しています。

このほか、学校現場において現行の学習指導要領を踏まえた授業改善が進んだこと、学校におけるICT環境の整備が進み、生徒が学校でのICT機器の使用に慣れたことなど、さまざまな要因も、日本の結果に複合的に影響していると考えられるそうです。

[参考]
国際学力調査(PISA、TIMSS)|文部科学省
OECD生徒の学習到達度調査2022年調査(PISA2022)のポイント

[All photos by Shutterstock.com]

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