佐渡金山 道遊の割戸
佐渡金山とは?いつ世界遺産になるの?
佐渡金山に伝わる祭礼「やわらぎ」
新潟県佐渡島にある佐渡金山。江戸時代の1601年に発見され、1989年(平成元年)の資源枯渇まで400年近く採掘されていました。実は世界的にも珍しいほど鉱山としての寿命が長かったのだそう。平成まで現役だったという事実にも驚愕です!
現在は400年にわたる先人たちの営み、鉱山技術や生産システムの変遷のほぼすべてを見ることができる、世界でも例のない貴重な遺産となっています。
2010年にはユネスコ世界遺産暫定リストに記載され、2022年に日本の世界文化遺産候補としてユネスコへ推薦されました。そして本年2024年7月27日、世界文化遺産に登録決定しました。
写真で現地ルポ!佐渡金山見学コースは大きく4つ
それでは早速佐渡金山へGO! 今回は、おすすめの「2坑道周遊コース(所要約70分 1,500円)」を見学します。主に坑道の内部を巡る「宗太夫坑(そうだゆうこう)江戸金山絵巻コース(所要約30分 1,000円)」と、佐渡金山のシンボル・道遊の割戸を見学できる「道遊坑 明治官営鉱山コース(所要約40分 1,000円)」がセットでお得な料金になっています。
探検気分を満喫できる「ガイド付 山師ツアー(所要約100分 2,500円 ※要予約)」も。時間があれば山師ツアー、行きたかった!
他にもMRグラスとプロジェクションマッピングが幻想的な「ISLAND MIRRORGEコース(所要約30分 3,000円 ※要予約)」があります。
※上記は大人(中学生以上)料金です。詳しくはこちら
>>佐渡金山見学コース料金表
人形が怖いほどリアル!「宗太夫坑 江戸金山絵巻コース」
宗太夫坑は向かって右、道遊坑は向かって左が入り口です。まずは宗太夫坑へ潜ります。
中はひんやりとしています。夏でも10度くらいなので、羽織ものがあるといいでしょう。坑道内にトイレはありません。階段を降りていくとどんどん神秘的な雰囲気に。期待が高まります!
暗いトンネルの壁に、金銀銅の産出量と歴史年表、様々な大判・小判、金山の組織一覧表など興味深い展示がたくさん並んでいます。全部じっくり読んでいたらきっと30分ではまわれないだろうなあと思いつつ、ついつい面白くて読み込んでしまう。
17世紀当時の佐渡金山の金・銀生産額は、南米のボリビアのポトシ鉱山、メキシコのサカテカス鉱山と並んで世界屈指と言われたそうですよ!
徳川家康の手で開発された佐渡金山。日本で金が通貨として流通するようになったのは豊臣秀吉の天正大判・小判からですが、江戸時代に徳川の財政を支えたものの1つがここ、佐渡金山だったと言っても過言ではありません。
坑道内には65体の人形(ロボット)が配置され、当時の様子が再現されています。パネルでわかりやすく役割や作業の様子を説明してくれているので、ここでもつい説明を読み耽ってしまいます。坑道は間歩(まぶ)と呼ばれていたそうです。
佐渡金山の坑道は開山から100年足らずで海面下に至り、地下水を汲み出さないと作業できない状態でした。水上輪(すいしょうりん)と呼ばれるポンプが使われ、これを操作する桶引人足は高給だったため農家の次男・三男が稼ぎにきたのだとか。
検問所
坑道には検問所があり、鉱石などの持ち出しを防止し、運搬人の出入りを記帳して賃金支払いの目安としていました。
休憩所「早く外に出て、酒を飲みてぇ。なじみの女にも会いてぇなぁ」
採掘作業をする金穿大工は4時間ごとの交替制で食事や休息時間もあり、むしろの上で横になることもできました。他の人足より優遇されていたそうですが、それでも労働環境は悪く一般に短命の人が多かったそう。
「こんな所まで来ちまった……」
それにしても、人形の顔立ちや表情がリアルです! 観光客が近づくとセンサーで反応し動いたりしゃべったりします。一瞬自分が話しかけられているように錯覚し、ゾクッとすることも。
「鶴が黄金の〜巣を掛ける〜♪」
そして筆者が一番心を鷲掴みにされたのがこちら、佐渡金山に伝わる独得の祭礼「やわらぎ」のシーンです。背後の壁面に見える縞模様が、立合(たてあい)と呼ばれる鉱脈で、この大発見に前途を祝す間歩開きの祝いなのだそうです。本当に独特の歌と雰囲気で、何度も何度も繰り返し眺めてしまうほど、神秘的でした。
そしてやわらぎ演者が付けている面が福岡・博多のあのお土産のようで、ユーモラスなのがかえって怖く感じます。
「やわらぎ」の祭礼シーンを後にすると、橋を渡ってその先にあるのが展示資料館。資料館というと難しい印象がありますが、ここも意外と面白いんです。
アリの巣のような鉱山内の模型はもちろん、金山経営の様子など500体の人形が配された縮尺1/10のジオラマは、近くに寄ってじっくり見たいもの。開削された坑道の総延長は何と約400km! 佐渡~東京をつなぐほどの長さです。
佐渡小判と佐渡一分金
時価1億5000万円以上の金塊
なんと1億5000万円以上もする金塊に触れることも! 重さ12.5kg! 以前はこちらを穴から30秒で出せたらシリアルナンバー入り金箔カードがもらえる、というチャレンジができたのですが、2024年4月22日で取出体験は終了となっています。現在は、金塊ケースの中で触ることができます。
余談ですが、2年前に訪れたときは1億円相当の金塊、と紹介されていたので昨今の金価格高騰を痛感しました……。
道遊の割戸が圧巻!「道遊坑 明治官営鉱山コース」
東西3,000m、南北600m、深さ800mに広がる、佐渡金山の金鉱脈。産出した金は78t、銀2,330tにのぼり、まさに日本最大の金銀山でした。道遊坑は、道遊の割戸直下の金鉱脈を採掘するために1899年に開削。宗太夫坑と違い、こちらは廃墟のように静か。
酒類熟成所
途中、酒類熟成所を発見! 尾畑酒造、北雪酒造の酒類や、JA佐渡の農産物などが熟成中でした。「金山貯蔵」「金山熟成」の商品は、佐渡金山内の売店でも買えますよ。
新鮮な空気を確保するために掘った穴(煙穴)や、無宿人休憩所なども横目に見ながら坑道をひたすら歩いていくと……
※無宿人とは、江戸中期に、江戸や大阪などから労働力として強制的に連れてこられた人々
長い坑道を抜け外の世界へ!
機械工場
坑道を出てすぐのところにあるのが、機械工場。機械類は昭和10年代に購入されたもので、休山当時の姿のまま保存・展示されています。建物の窓ガラスに三菱マークを探してみてください。当時ガラスは貴重だったため、盗難防止のために釘などで傷を付けたと言われています。
※1896年に佐渡鉱山が三菱合資会社に払い下げられたため、瓦など三菱の社章の入ったものが見つけられます。
ここから道遊の割戸までは歩いて約7分です。
道遊の割戸(直下)
間近で見る道遊の割戸は、地の底へと続く巨大なダンジョンの入り口みたいで、圧巻の迫力。
そもそも佐渡金山のシンボル「道遊の割戸」とは、江戸初期の手彫り採掘跡です。山の中央にほぼ垂直に幅10m、長さ120m、深さ100mの金鉱脈が走っていて、掘り進めるうちに山が割れたと言います。山が割れるほど手彫りを進めたという事実がすごい。採掘跡は垂直に近い絶壁で、このような露天掘りは、世界でも類を見ないそうです。
道遊の割戸(遠景)
機械工場まで戻り、看板のある広場から道遊の割戸を眺めると、また違った絶景に見えます。この看板が入るように撮影するのもおすすめです。
粗砕場(採掘された鉱石を粉砕機で細かく砕く施設)
トロッコレールの跡
割間歩と父の割戸(われまぶとててのわれと)
さらに歩くと、トロッコレールや割間歩など、採掘跡の遺構を見ることができます。
最後はまた坑道に戻り、道遊坑 明治官営鉱山コースは終了です。
【FAQ】佐渡金山で人気のお土産は?ランキングTOP3
埋蔵金小判チョコレート
資料館を出て階段を降りると売店があります。さすが佐渡金山! と言いたくなるゴールドなお土産満載でワクワクしちゃいますよ。筆者が訪れたときの佐渡金山お土産ランキング1位は「埋蔵金小判チョコレート」。
- 1位 埋蔵金小判チョコレート 3枚入 330円(税込)
- 2位 小判クッキー 20枚入 810円(税込)
- 3位 金箔栗ようかん 860円(税込)
佐渡小判クッキー
金箔入り栗ようかん
【FAQ】佐渡金山で休憩スペースはある?
筆者は資料館を出た先の売店の隣にあった「中庭カフェ」で休憩しました。金色の鯉が池で泳ぎ、金箔ソフトクリームや金箔コーヒーで一休みできる、憩いの黄金空間です。
金箔コーヒーはなんと、佐渡金山の坑道の中で寝かせたありがた〜い「金山熟成 佐渡金銀山珈琲」ですよ!
金山から徒歩5分の所には、金山カレーや金山そば・うどん(いずれも税込800円)などがいただけるお食事処 金山茶屋も。完全予約制です。
【FAQ】佐渡金山にコインロッカーはある?
筆者が訪れたときは、入り口横に、コインロッカーがありました。100円の小サイズが8つ、200円の縦型大サイズが4つです。
東京から佐渡島までは最短約3時間30分!行き方(アクセス)
東京駅から佐渡島までは、新幹線と高速船で最短約3時間30分です。
東京駅
↓
↓上越新幹線「とき」約2時間(片道大人自由席10,230円)
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新潟駅
↓
↓バス約15分(260円:タクシーは約10分で1,500円)
↓
新潟港
↓
↓ジェットフォイル1時間7分(片道大人7,050円) / カーフェリー2時間30分(片道大人2等2,960円)
↓
佐渡島両津港
※運賃は2024年7月21日時点の情報です。
佐渡島両津港から佐渡金山までは、車で約1時間(約30km)です。両津港から路線バスを使う場合は、「佐渡金山」行(約70分)または「相川」行(約60分)~「相川」で下車後「佐渡金山」行乗換え(約10分)で到着します。
佐渡金山はじっくり時間をとりたい観光スポット!
筆者は1時間くらいあれば見学できるかな? と甘く見ていましたが、2坑道周遊コースをまわるのに、2時間かかりました。途中ソフトクリーム&コーヒー休憩と売店でのお土産購入で30分ほど使いましたが、純粋に展示を見るだけで90分かかったことになります。本当はもう少しじっくり読みたい説明パネルなどもあったので、じっくり見学&休憩&お土産購入するなら2時間半ほどみておいた方がいいかもしれません。
まるでラピュタの世界と言われる「北沢浮遊選鉱場(きたざわふゆうせんこうば)」や「史跡佐渡奉行所跡」、京町通り時鐘楼などの産業遺産も、できればあわせて巡りたいですね。
※写真は2022年8月時のものになります。©︎kanoa
※店舗や時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
営業時間
4月~10月 / 8:00~17:30
11月~3月 / 8:30~17:00
※遅くとも終業30分前にはご入場下さい。
年中無休
無料駐車場完備(約500台)
https://www.sado-kinzan.com