アートブックの中の幽霊が登場
アートブック「やがて、みんな幽霊」に出てくるのは、戦国時代から江戸時代に生きていた10人の幽霊。今回の展示会では、そんな彼らが生きていた頃、実際に暮らしの中にあったであろう「襖」に、幽霊たちの姿が映し出されています。
その襖を開けた先には、幽霊たちが暮らしていた空間が。アートブックに描かれている世界観をリアルで体感することができるんです。
今回はその中から一部をご紹介します。
大和田太郎道玄/道玄坂
落ち武者の盗賊、大和田太郎道玄。「道玄坂」は、道玄が坂道を行く旅人を襲っていたことから、名付けられたのだとか。
襖に描かれた道玄も、なんだか暴れている様子です。木に登り、旅人を襲おうとしているのかもしれませんね。
この襖を開け、振り返ってみると道玄はいなくなっています。ただ、お釈迦様や帯など、道玄が盗んだらしきものが置かれてあり、まるでそこにいるかのよう。
ヤン・ヨーステン/八重洲
1600年、日本に漂着したオランダ人のヤン・ヨーステン。母国に帰ることを夢見ていましたが、徳川家康に重用され、日本の女性を結婚しました。そして拝領した「耶 揚子(や ようす)」と呼ばれる邸地が八重洲になったそう。
人々が行きかう八重洲に、彷徨うヤン・ヨーステン。地図を眺めてどこかに行こうとしている様子がうかがえます。今の時代の景色に、戦国時代のオランダ人の幽霊に映りこんでいるのは、なんだか不思議な光景です。
襖を開けた先には、机や椅子などが置いてあります。まるでヤン・ヨーステンが座っているみたいです。
武藤雄一/中目黒
コピーライター、クリエイティブディレクターの武藤雄一。12世紀の頃、氏族の目黒氏が治めていた中目黒に2022年、事務所を構えました。
人も街灯もみんな消え、一見過去のかけらもない風景。消えた誰かの記憶が現れれば、それを幽霊と呼ぶのだとか。つまり「やがて、みんな幽霊」なのです。
幽霊というと「怖い」というイメージがありますが、新たな視点で幽霊について考えてみるととても奥が深い! 幽霊は、変わらずに残り続けている記憶の証なのかもしれませんね。
ただ見るだけではなく、襖を開けながらリアルに体験できるので、いつの間にか幽霊の世界に入り込んでしまいました。
蚊帳の中で没入体験!
襖を開け進むと、蚊帳にたどり着きます。中に入ると、4面に幽霊たちの映像が映し出されて、まるで幽霊が存在する世界に入り込んだかのような体験ができるんです。
街の音も相まって、リアルな空間になっています。
代官山の幽霊と記念撮影!?
こちら、「やがて、みんな幽霊展」と書かれたフォトスポット。一見普通のポスターに見えますが、フラッシュをたいて撮影してみると……
笠を被った男の人が現れました! この男の人は、代官山の幽霊「伊奈忠次(いなただつぐ)」。「代官の屋敷があった」と言われる代官山ですが、伊奈忠次は幕府近郊を管理していた中でも「名代官」として知られていたそう。
展示会の思い出としてぜひ、いないはずの幽霊と写真を撮ってみてくださいね!
幽霊ジュースがもらえる!
開催期間中、毎日先着50人限定で、「幽霊ジュース」が配られます。キンキンに冷えた幽霊ジュースは、背筋がヒヤッとするようなレモンスカッシュで、暑い夏にぴったりですよ。
アートブック「やがて、みんな幽霊」とは?
コピーライター、クリエイティブディレクターである武藤雄一を中心に 2024 年に設立された「文とアート出版」。その第一回出版作品であるアートブック「やがて、みんな幽霊」が7月26日(金)から出版されました。
アートブック「やがて、みんな幽霊」は、10 人の幽霊たちに、それぞれキャッチコピーとボディコピー(キャッチコピーから広がる文章・800 字程度)を付け、さらに登場人物の背景や、その時代を裏付ける歴史的な説明文が書かれたもの。
人間から少し離れ「生きること、死ぬこと、残り続けること」を見つめ直すことができるようなアートブックです。
価格:3,000円(税込)
場所:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町28−13 ROOB-1 B2階
開催期間:2024年7月26日(金)~8月4日(日)
開催時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
入場料:無料
公式HP:https://buntoart.com/exhibition_yurei/
[Photos by RUKA]
※時期により入場料が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
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