【日本三大七味】東京「浅草のやげん堀」・長野「善光寺の八幡屋礒五郎」もうひとつは?それぞれの歴史と特徴

Posted by: あやみ

掲載日: Aug 13th, 2024

さまざまな料理で活躍する七味は、食卓に欠かせない調味料ですよね。唐辛子・胡麻・陳皮(ちんぴ)・けし・菜種・麻の実・山椒などを砕き混ぜ合わせて作られています。今回は、日本三大七味に挙げられる、東京都の「浅草のやげん堀」、長野県の「善光寺の八幡屋礒五郎」、京都府の「清水の七味家本舗」の歴史と特徴をご紹介! 七味の奥深さに驚かされますよ。

日本三大七味

日本三大七味 アイキャッチ

2種類の焼き唐辛子をブレンド! 徳川家光が絶賛した七味を生み出した「浅草のやげん堀」(東京都台東区)

1625年、徳川三代将軍の家光の時代に、やげん堀の七色唐辛子は献上品になったそうです。家光公はこの七味を大変気に入り、徳川の「徳」の字をいただいたとか。そのため、やげん堀のロゴに「山徳」という称号が表示されています。

やげん堀の七味唐辛子のはじまりは、初代からしや徳右衛門が漢方薬からヒントを得て考案したこと。唐辛子にさまざまな材料を混ぜ合わせて試行錯誤した結果、吟味した7種(唐辛子・焼唐辛子・黒胡麻・山椒・陳皮・けしの実・麻の実)の素材を混ぜ合わせた七味唐辛子を生み出し、江戸中に広めたそうです。以後、十代にわたり唐辛子の調合販売を続けています。

また、やげん堀という店名は、現在の東京都中央区東日本橋に漢方薬を粉末にする「薬研」に似た彫りがあったことから、付近は薬研堀町と呼ばれていたそうです。そして、やげん堀の初代がこの地で、七味を創製したことが由来になったとか。

なお現在、やげん堀の店舗は浅草の新仲見世通り沿いと、観音通り沿いにあります。


やげん堀の七味唐辛子の特徴は、関東特有のピリッとした辛さを引き立てるために、そのままの唐辛子に、“やきこ” と呼ばれる2種類の焼き唐辛子をブレンドしている点です。香り高い山椒や胡麻の風味が効いているのもポイント。

さらにやげん堀の調合指定の七味唐辛子は、辛さや風味の調整が可能です。ベースの辛さを「大辛」「中辛」「小辛」から選べるうえ、「山椒増し」「陳皮増し」などにもできます。

自分好みに調合された七味唐辛子をぜひ購入してみたいですね。

そのほか、唐辛子のふりかけや、お茶漬け、佃煮なども販売しています。気になる方は、やげん堀のオンラインショップをチェックしてみてくださいね。

やげん堀 新仲見世本店
住所:東京都台東区浅草1-28-3
電話:03-3626-7716
営業時間:10:00~18:00
定休日:年中無休
公式サイト:https://yagenbori.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/yagenbori/

三国信州ならではの独特な風味がある七味を誕生させた「善光寺の八幡屋礒五郎」(長野県長野市)


長野市の北西に位置する旧鬼無里村周辺は、日本でも有数の麻(大麻)と和紙の産地でした。これらは善光寺境内の西側にある桜枝町に集められて、商人により江戸を中心に全国に運ばれていきました。その商人たちは、帰路で日用雑貨や食品などを仕入れ、善光寺周辺で販売。そのなかに七味唐辛子がありました。

そのような状況のなか、1736年に初代・室賀勘右衛門が、七味唐辛子を善光寺の境内で売り出したのが、八幡屋礒五郎のはじまり。その後、二代目・五左衛門が製造法を確立。三代目・儀左衛門からは、善光寺の御高札前に店を構えるように。

室賀氏の源流は清和源氏。そのため、源頼朝が崇敬した八幡宮から「八幡」を屋号にいただいたそうです。また、初代の本名は勘右衛門でしたが、商いでは礒五郎を名乗っていたとのこと。


創業当時は、遠方からの原料の調達は困難でした。しかし、幸運なことに旧鬼無里村周辺の西山地方は、陳皮以外の六種(麻の実・山椒・唐辛子・胡麻・生姜・紫蘇)の栽培に適していたのです。残りひとつの原料である陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)は、まとめて京都付近から仕入れていたと考えられています。

そのため、八幡屋礒五郎の七味唐辛子は、山国信州ならではの独特な風味を持っているのが特徴です。唐辛子・辛山椒・生姜・麻種・胡麻・陳皮・紫蘇の風味が絶妙に混ざり合い、後を引く味。

またインパクトのあるパッケージデザインにも注目を! 紙袋のデザインは、江戸末期に流行った木版画の技法を用いて作られており、一方のブリキ缶は六代目の栄助が考案したもの。赤地に斜めに大きく唐辛子が描かれていて印象的です。

「八幡屋礒五郎」の七味唐辛子は、オンラインショップでも購入可能。さらに、本店・MIDORI長野店・軽井沢店では七味唐辛子を調合サービスも行っています。

八幡屋礒五郎 本店
住所:長野県長野市大門町83
電話:026-232-8277
営業時間:9:00~18:30
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.yawataya.co.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/yawataya.isogoro

およそ360年前から清水寺参道で伝統を守り続ける「清水の七味家本舗」(京都府京都市)


1655年創業の「七味家本舗」は、茶屋を営んでいました。その際に出していた「からし湯」が評判になり、いつしか七味唐辛子を販売するように。

このからし湯は、白湯に唐辛子の粉をふりかけたものだったそうです。清水寺の参拝客や音羽の滝で修行する行者に無償で出していたのだとか。そこから、唐辛子に山椒や胡麻、麻の実などの薬味を合わせ、七味唐辛子を考案したのです。以来、一子相伝の調合方法を守り続けています。

七味家本舗の七味唐辛子は、唐辛子・山椒・麻の実・白胡麻・黒胡麻・青のり・青紫蘇をブレンドしたもの。唐辛子以外、すべて香りのある素材を使っているのが特徴的です。科学的な処理を行っていないほか、添加物などは一切使用していないため、自然の風味と味を堪能できるのも魅力。

辛さ控えめなので、こちらの七味唐辛子なら辛いのが苦手な方でも料理にかけることができるかもしれませんね。

また、山椒と胡椒の主原料は、自社の試験畑で栽培し良質の種を選び育てたものなのだそうです。そして350年の技術と昔ながらの製造方法を用いて製品化しているとのこと。


さらに清水焼で有名な焼き物の産地という特性を生かして、食卓に置く用の容器には、清水焼・京焼物の入れ物が多数そろっています。

自分用のお土産としてはもちろん、プレゼントとしても喜ばれそうですね。オンラインショップでも購入できますが、京都旅行で清水寺を訪れた際に、購入するのもおすすめ。

七味家本舗
住所:京都市東山区清水2-221
電話:075-551-0738
営業時間:9:00〜18:00/9:00〜21:00
定休日:年中無休
公式サイト:https://www.shichimiya.co.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/shichimiya_honpo/

[A photo by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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