長岡花火とは?—戦争の記憶を灯す、祈りと希望の花火大会
日本三大花火の1つと言われる、長岡花火。それはただの花火大会ではなく、鎮魂の思いが込められているということを知っていますか? 長岡花火の始まりは、1945年の長岡空襲で犠牲となった人々への慰霊と復興への願いから。以来「慰霊」「復興」「平和」をテーマに、地域一体となって作り上げるこの花火大会は、他のどんな花火よりも“意味”と“物語”が込められています。
特に2014年に起きた中越地震に想いを馳せています。その地震の際に復興のため支援頂いた多くの方々への感謝のシンボルとして、「復興祈願花火フェニックス」が見どころであり、地元のみなさんにとって大切な存在です。
打ち上げられる花火の数は2日間で約2万発。音楽とのシンクロや、信濃川の両岸から打ち上がるスケール感から、まさに“人生で一度は見たい花火”と呼ばれます。長岡空襲が8月1日に発生したため、毎年8月2日、3日に開催。8月1日の空襲が始まった時刻には、白一色の花火「白菊」が打ち上げられ、慰霊の鐘も鳴らされます。
絶対に見逃せない!長岡花火の感動プログラム
フェニックス
2004年の中越地震復興を願って始まったプログラム。平原綾香さんの「Jupiter」の音楽に合わせて、花火が完全にシンクロし、5分以上にわたる大演出が繰り広げられます。約2kmに及ぶ幅で打ち上げられ、他で見ることはできないであろう圧倒的なスケール! 花火の種類は超ワイドスターマインで3社に分かれて打ち上げられているそうです。
そう聞くと息のあった打ち上げの技術に感服です。あまりにもワイドすぎて、視界に全て収まらず、この花火を見て涙する人が続出。筆者もフェニックスを見るために長岡へ行くという気持ちです。
超大型ミラクルスターマイン
その名の通り、“奇跡(ミラクル)”のような迫力を誇るプログラムです。数か所から同時で打ち上がる打ち上げ花火だけでなく、線の長い花火が扇のように広がるなどまるで夜空に壮大な絵巻が広がるような演出が魅力。
打ち上げられるのは数百発もの花火。扇型・放射型・立体的な球形など、さまざまな形をリズミカルに展開させながら、観客を一瞬で引き込みます。特徴的なのは、音楽との完璧なシンクロ。音の盛り上がりとともに次々と花火が炸裂し、クライマックスではまるで空が光で埋め尽くされるよう。
これは、一流花火師たちが技術と感性を結集して生み出す、長岡花火ならではの芸術作品です。
正三尺玉
直径90cmの大玉が打ち上がり、上空500mで開花。音の衝撃と視覚の迫力は、他では味わえません。打ち上げ時には場内アナウンスとともに注目が集まります。なぜなら、大きさ・音・美しさの三拍子が揃った超大玉花火。全国でも限られた花火大会でしか打ち上げが許されない特別な存在なのです。
最大の魅力は、その重低音の「ドン!」という衝撃音。身体にまで響くほどの爆発音とともに、光の大輪が一瞬で夜空を包み込むその様子は、息をのむ迫力。数秒の静寂のあとに空いっぱいに咲く一輪の花は、まさに長岡の夏を象徴する瞬間です。
打ち上げられるのは、会場内に設置された「正三尺玉専用の筒(直径1m超)」から。花火師の技術と緻密な計算により、事故のないよう細心の注意のもとで実施されており、その背景を知るとさらに感動が深まります。
天候や風の状況によっては、安全上の理由で中止となることもあるため、打ち上げられる瞬間に出会えたらそれ自体が幸運。まさに「一夜限りの奇跡の花火」と言っても過言ではありません。
米百俵花火・尺玉100連発
長岡花火のプログラムの中でも、心を打つストーリー性と迫力を兼ね備えた演出として人気なのが「米百俵花火・尺玉100連発」。名前の由来は、幕末期に長岡藩が“米百俵”の救援物資を教育に使い、後に繁栄を遂げたという逸話にちなみ、「未来への希望」「平和と復興」の願いが込められています。
この花火は、10号尺玉の大玉花火を100発、音楽とともに連続で打ち上げる壮観なプログラム。1発ごとに夜空に開く大輪の花が、まるで100人分の想いを順に天へ送り届けるかのよう。打ち上げられるたびに会場全体に重低音が響き渡り、観客の胸にもズシンと届く感覚は圧巻です。
背景で流れるのは、長岡にゆかりのある音楽やメッセージ性の強い楽曲。花火と音楽が一体となり、まるで平和の祈りを視覚と聴覚で体感するセレモニーのような時間が流れます。特に東日本大震災以降は、復興支援や防災意識の大切さを伝える意味も込められており、「ただの花火」ではない、長岡の精神を映し出す象徴的なプログラムでした。
実はこの花火、昭和61年の長岡市の市制施行80周年を記念して80発の打ち上げから始まり、翌年から1発ずつ増えていき、100周年時に100連発に。それ以降、名物として続いているそうです。
有料席の抽選申し込みが開始!おすすめ席は?
2025年も、観覧には事前申し込み制の有料席が主流となります。長岡市民が優先で申込ができ、現在は一般向けの抽選が開始されています!(席のカッコ内はマップ内のナンバーです)
右岸マス席(①)

右岸マス席から見たフェニックス
迫力ある「復興祈願花火」や尺玉100連発が正面に見える、家族連れやグループ向けの定番エリア。足を伸ばせるスペースもあり、ゆったり観覧可能。最大で6人座れますが、贅沢に4人で使用する人もいたりします。何より、打ち上げ場所の正面なのでスケールの大きさが凄すぎる! 過去参加した筆者のお気に入りの席です。さらに右岸が長岡駅寄りなので帰宅も楽なため、人気となっています。
フェニックスエリア席(信濃川右岸・⑧)
最も人気の高い席が、フェニックスエリア。ワイド1.5kmに渡って打ち上がる「フェニックス花火」を正面から体感できる特等席。音楽とともに打ち上がる無数の花火が夜空を覆い、会場全体が感動に包まれます。また1席から買えるので2人など少人数で参加したい人が購入しやすい席です。
左岸マス席(13)

左岸マス席から見たフェニックス
フェニックスはやや斜め方向になりますが、全体の構成がバランス良く見渡せる穴場的存在。人混みも比較的落ち着いており、初めての人にもおすすめ。ツアーで参加すると左岸マスになることが多い印象です。しかし、右岸マスに負けないほどのダイナミックさがあります。
抽選申し込みは、長岡花火公式サイトから現在受付中。受付期間や当選発表日を確認して、忘れずに応募を!6月6日(金)17:00までです!
抽選に外れてもまだチャンスあり!
人気席は競争率が高く、抽選に漏れることも。筆者も昨年の土曜日開催は見事に外しました。そんな時でも、まだ諦めるのは早いです!
キャンセル分の再販売

左岸北エリア席
7月中旬〜下旬に公式サイトで案内されることが多く、タイミングが合えば購入可能。昨年は先着で購入可能でした。筆者が昨年買えたのは、左岸の北エリア席(21)。エリアに入場することは確約しているのですが、そのエリア内の場所は自由に…というスタイル。いい席を取るために15時から場所取りをしましたが少し遅かった…という印象です。
左岸の場合、駅から歩いて1時間ほどかかるので昼過ぎには長岡駅に到着しているのがおすすめです。しかし、その苦労が吹っ飛ぶほど花火は美しく、十分満喫できました!
旅行会社のツアー商品
JTBやHISをはじめとする旅行会社が企画するバスツアーで、交通・観覧席込みのツアーを販売しています。かつて、バスツアーで参加した際は、東京〜長岡をバス、花火を観覧した後、夜行バスで東京に帰るというプランでした。少しハードでしたが、帰宅の足が確保できているのは安心でした。
無料観覧スポット
信濃川沿いの堤防やイオン長岡店屋上など、地元民が集まる穴場スポットがあります。しかし、とても人気なのと、完全に綺麗には見えないので、できればキャンセル分の再販売を狙うのがおすすめです。
宿泊はどうする?
ツアーや自車以外の場合、長岡花火の後、新幹線でギリギリ東京へ帰ることもできますし、宿泊することも可能ですが、どちらも茨の道なのは覚悟してください。新幹線の場合、筆者の過去参戦した経験だと、少し早めに出ないと新幹線に乗ることができません。それは仮に新幹線の席を確保していたとしても、そもそも混雑で駅に辿り着けないのです!
後ろ髪を引かれる思いで、フィナーレの最中に出る必要があります。宿泊の場合、長岡で宿を取るのはほぼ不可能(開催日ギリギリにキャンセルが出る場合がありますが)。その場合は、新潟駅か、越後湯沢に宿を取りましょう。
心に刻まれる夏の夜を、長岡で
長岡花火は、ただ「きれい」で終わる花火大会ではありません。それぞれのプログラムには、犠牲になった人々への想いや、復興にかけた地域の情熱が込められています。夜空を彩るひとつひとつの花火が、まるで心に語りかけてくるような感動があるのです。
2025年の夏、ぜひあなた自身の目で、耳で、そして心で長岡花火を体感してください。抽選申し込みはお早めに。そして、当たりますように!
開催日 2025年8月2日、3日
https://nagaokamatsuri.com
チケット申込期間 2025年6月6日(金)17:00まで
https://nagaokamatsuri.com/ticket/generalsale/