世界の富裕層がスイスのサマースクールに注目する理由

サマースクールのアクティビティの様子
田山さん:私たちがサポートしているスイスのサマースクールという夏季限定の留学プログラムには、毎年、3歳から19歳まで、世界中の子どもたちが集まっています。サマースクールを開催している学校は20校ほど。
スイスのサマースクールは、特に教育熱心な富裕層の保護者の方々に注目されています。理由は多岐にわたり、高水準な教育体制や国際的な交流機会、治安のよさ、そして自然との共生など。高く評価されている点について、1つひとつ詳しく説明していきますね。
高水準の教育環境
国際バカロレア(IB)などの国際的な教育プログラムを提供しており、学業だけでなくマナーや社交性も重視した全人教育を実施しています。
多言語/多文化環境
スイスでは公用語としてドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4語を持つこともあり、多言語教育が盛んです。英語を含む複数言語での授業が行われ、グローバルな人材育成に適した環境があります。国際的な交流機会となるのが魅力。
安全で安定した社会環境
スイスは長年の政治的中立と治安のよさで知られていることもあり、安心して子どもを留学させられます。
自然との共生
アルプス山脈やレマン湖など豊かな自然環境での活動を通じ、自然との共生や自立心を育みます。
サマースクールは、中東諸国ではサウジアラビア、アラブ首長国連邦、アジアでは中国、日本、韓国、ヨーロッパではフランス、ドイツ、イギリス、北米ではアメリカ、カナダからの利用者が多いです。
サマースクールを通してどんな体験ができる?

サマースクールの教室内の様子
スイスのサマースクールでは寄宿学校が主であり、寄宿生活を通して他国の留学生達と国際交流を深めることができます。プログラムの中には、山や海など自然と触れ合えるアクティビティや、第3言語などを学べる学習時間も。
学習プログラム
- 語学学習
- リーダーシップ育成
- 創造的活動
レベルに応じた英語やフランス語のコースがあります。
グループワークやディスカッションを通じ、リーダーシップとコミュニケーション能力を養います。
ロボティクス、アート、音楽、演劇などのワークショップで表現力を高めます。
アクティビティ
- アウトドア体験
- スポーツ
- 文化体験
アルプスでのハイキング、カヤック、キャンプなど、自然と触れ合う活動が豊富です。
サッカー、テニス、乗馬など、多様なスポーツを通じ体力と協調性を育みます。
地元の祭り参加や美術館訪問など、スイスの文化を学ぶ機会も提供されます。
寮生活と国際交流
世界各国から集まった子どもたちとの寮生活を通じ、異文化理解と自立心を育みます。
保護者などご家族の方が学校近くのホテルなどに滞在している場合、お子さんが通学することもできます。リゾート地にある学校の場合、キッチン付きの長期滞在型宿泊施設も利用可能です。
これらの体験を通じて、参加者は語学力だけでなく、国際的な視野、自立心、協調性を身につけられます。スイスのサマースクールは、学びと成長に最適な環境です。
スイスのサマースクールでの一日(例)

サマースクールの校庭にて
実際に、スイスのサマースクールではどのような流れで過ごすのか、あるサマースクールの一日のスケジュールとカリキュラムの例をご紹介します。
9:00~12:00:午前のプログラム
語学習得、リーダーシップ、エンリッチメントのいずれのプログラムかを選択し、学ぶ時間です。
1. 語学習得トラック(Language Acquisition)
●対象言語:英語またはフランス語
●授業形式:毎朝3時間の基本教室での集中授業。レベル別(初級・中級・上級)に分かれ、年齢に応じた指導が行われます。
●学習方法:文法や語彙の習得に加え、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4技能をバランスよく強化します。
●実践活動:地元のアーティストへのインタビューや村でのスカベンジャーハントなど、教室外での活動を通じて、言語スキルと文化理解を深めます。
2. リーダーシップトラック(Leadership)
●学習方法:毎朝3時間のアウトドア活動を中心に、登山、キャンプ、ロッククライミングなどを通じて、リーダーシップやチームワークを養います。
●実践活動:プログラムの集大成として、1泊2日のキャンプを実施し、習得したスキルを実践で試します。
●プログラム内容:「アルパイン・リーダーシップ・プログラム(ALP)」や「イノベーション・クリエイティビティ・アントレプレナーシップ(ICE)」など
3. エンリッチメントトラック(Enrichment)
エンリッチメントとは、学術的な知識だけでなく、創造性や国際的な視野を広げる機会を提供するものです。実践的なプロジェクトや共同作業を通じて、協調性や問題解決能力も養われます。将来の進路選択やキャリア形成において、幅広いスキルセットを身につけたいと考える生徒にとって有意義なプログラムです。
●選択科目:「パフォーミングアーツ」「デジタル世界のダ・ヴィンチ」「グローバルマインズ」など。
●学習方法:専門家による指導のもと、演劇、ダンス、音楽、3Dデザイン、プログラミング、AI、模擬国連など、多様な分野での創造的な学びを提供。
●実践活動:グループワークやプロジェクトベースの学習を通じて、批判的思考や協調性を育みます。
12:15~13:30:昼食
通常、キャンパス内のダイニングホールで食事をとります。食事スタイルは、日本の学校給食とは異なり、ビュッフェ形式で提供されることが一般的です。
食事の内容は、スイスの多文化的な背景を反映しており、肉料理、パスタ、ライス、野菜料理などがバランスよく提供されます。ベジタリアンや特定の食事制限、アレルギーなどに対応したオプションも用意されています。またサラダバーやスープ、サンドイッチバーが設置されている学校も。
日本の給食が栄養バランスを考慮した定食スタイルであるのに対し、スイスのサマースクールでは生徒自身が食事を選択するスタイル。自立心や選択力を養う上に、世界各国から集まる生徒たちとの交流の場としても、食事の時間は重要な役割を担います。
14:00~15:45:午後のクラブ活動
チームスポーツ、料理&ベーキング、ハイキング&クライミング、ロボティクス&プログラミング、ビジュアルアーツ、パフォーミングアーツから選択して楽しみます。
16:15~17:45:午後のアクティビティ

サマースクールのアクティビティの様子
アート&クラフト、ダンス、乗馬、音楽など、午後のアクティビティを行います。
18:00~19:00:夕食
20:00~21:30:夜の社交活動
サマースクール参加者との交流をはかるために、ダンス、バンケット、ゲームナイトなど社交活動を楽しみます。
週末:スイスの都市への日帰り旅行やアルプスでのハイキングなど
学校主催で日帰り旅行やハイキングなどへ。ハイキングなどは山岳ガイドといった専門知識を持つ方が引率する場合もあります。
スイスのサマースクールの体験談

サマースクールの寮の様子
実際にサマースクールを体験した姉妹の両親の声をご紹介します。
両親の声「現在はアメリカ在住ですが、日本に在住していた当時、夫婦共に共働きで、娘(姉・当時6歳)は幼稚園から英語を習っていたので、夏休みの過ごし方としてサマースクールはとてもよい機会だと思い、参加することを決めました。姉妹二人ともサマースクールを経験し、アメリカでの学校でフランス語のやる気がかなり出ています。日本語も選択できますが、フランス語をとるそうです。また1年間の長期留学にも興味がでているようで、学校のカウンセラーに自ら相談に行っていました。娘は当初、かなり人見知りしている様子でしたが、1カ月家族と離れて生活したことで自信がついたようです」
参考:スイス留学.com「スイスのサマースクールに大満足!英語ができる姉妹がアメリカから参加 (体験談 Vol.02)」
スイス旅行を楽しむためのおすすめスポット8選
サマースクールで子どもたちが体験するアクティビティや観光スポットの中には、日本からの旅行者にも体験可能なところもあります。そこでおすすめのスポットを8つご紹介します。
1.アルプス山脈ツアー(Glacier(グレッシャー) 3000)

アルプス山脈ツアー(Glacier(グレッシャー) 3000)
スイス・アルプスの絶景が広がるGlacier 3000は、標高3,000mに位置し、世界初の山頂間吊り橋「ピークウォーク・バイ・ティソ」が有名です。他にも、夏季限定の「アルパインコースター」や犬ぞり体験、氷河トレッキングなど、多彩なアクティビティを楽しめます。著名建築家マリオ・ボッタ設計のレストランでは、スイスを代表する山、アイガーや、ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランを望む絶景と共に食事もできます。
2.レマン湖のウォーターアクティビティ

レマン湖のウォーターアクティビティ
レマン湖では、バナナボートやチュービングなどのウォーターアクティビティを楽しめます。スイス・アルプスの絶景を背景に、爽快な体験を! 湖の透明度が高く、夏季には水温も快適なため、泳ぎながら自然を満喫することも可能です。
3.メゾン・カイエ(Maison Cailler)のチョコレート工場

メゾン・カイエ(Maison Cailler)のチョコレート工場
スイス最古のチョコレートブランド、メゾン・カイエの本拠地です。インタラクティブな展示やワークショップを通じて、チョコレートの歴史や製造過程を学ぶことができ、試食も楽しめます。また、家族連れにも優しい施設で、子ども向けのアクティビティやプレイグラウンドも完備。スイスの美しい自然とともに、五感でチョコレートの魅力を体験できます。
4.グリュイエールチーズ工場「ラ・メゾン・デュ・グリュイエール」

グリュイエールチーズ工場「ラ・メゾン・デュ・グリュイエール」
伝統的なグリュイエールAOPチーズの製造工程を間近で見学できる施設です。見学者は、13言語対応の音声ガイドを利用しながら、チーズ作りの過程や熟成庫を観察できます。館内のレストランには、フォンデュやロスティなど、地元のチーズを使った料理も。特にチーズ好きにはたまらない、五感で味わう体験が待っています。
5.グリュイエール城

グリュイエール城
中世の古城で、13~16世紀にかけてのグリュイエール伯爵家の居城です。3世紀の広間や塔、16世紀のルネサンス様式の主館、17~18世紀のバロック装飾など、約800年にわたる建築や文化の変遷を展示。フランス式庭園、アルプスの山々を背景にした絶景が広がります。
6.シヨン城(Château de Chillon)

シヨン城(Château de Chillon)
レマン湖畔に佇むスイス屈指の名城で、12~13世紀から保存状態が良好な中世の建築が魅力。湖とアルプスを背景にした絶景は訪れる者を魅了し、内部では歴代の伯爵の居室や地下牢などを見学できます。文学や芸術にも影響を与えた歴史的なスポットです。
7.オリンピック博物館(Musée Olympique)

オリンピック博物館(Musée Olympique)
古代ギリシャから現代までのオリンピックの歴史を体感できる世界唯一の施設。館内には1,500点以上の所蔵品や150のスクリーンがあり、聖火トーチやメダル、選手のユニフォームなどが紹介されています。インタラクティブな展示や映像を通じて、追体験も可能。レマン湖を望むカフェや美しい庭園もある魅力的なスポットです。
8.ベルン観光

ベルン観光
ベルンは、アーレ川に囲まれた中世の旧市街が世界遺産に登録されており、石畳の通りやアーケードが美しい街並みを形成している都市です。象徴的な時計塔「ツィットグロッゲ」や、スイス最大のゴシック様式の教会「ベルン大聖堂」など、歴史的建造物が点在。アインシュタインが相対性理論を構想した「アインシュタインの家」も必見です。
まとめ~スイスのサマースクールが子どもにもたらす影響

サマースクールの参加者たち
スイスのサマースクールは、子どもたちにとって単なる語学学習の場ではなく、国際的な視野や自立心を育む貴重な体験の場です。
多国籍の仲間との共同生活やアクティビティを通じて、異文化理解やコミュニケーション能力が自然と身につきます。
また、アルプスの大自然の中でのアウトドア活動や、国際機関の訪問など、日常では得られない体験が満載です。これらの経験は、子どもたちの自己肯定感を高め、将来の進路選択やキャリア形成にも大きな影響を与えるでしょう。
まずは今回ご紹介したスイスの有名スポットに、ご家族で訪れてみるのもいいかもしれません。

田山 貴子さん
「日本の子どもたちに、スイスの教育環境を活用していただきたい」という想いのもと、日本の子どもたちが将来、国際社会の中で、充実した生活を送ることができる成人になるための最適な教育環境を提供するべく、日本とスイスの架け橋をするなど、留学サポート活動を行っている。
スイス留学.com