【ZIPAIR Tokyo 搭乗ルポ】話題の長距離LCCのフライトの快適さやサービスについて徹底解説!

Posted by: 北島幸司

掲載日: Sep 25th, 2025

日系LCCのなかで唯一太平洋を越えるZIPAIR Tokyo(以下ZIPAIR)の最長路線に搭乗したいと思い、2025年初夏に成田国際空港からボーイング787-8型機に乗りヒューストンへ向かいました。食事を事前に有償で注文しておく長距離フライトとはどのようなものか、話題の多いZIPAIRへの期待が高まります。

ZIPAIR TokyoのZIP Full-Flatシートは復路で利用しました

ZIPAIRとは

ZIPAIRはJALグループの中長距離を飛ぶLCC。JALで使用実績の長い信頼のボーイング787-8の新造機2機とともに、成田国際空港を基点にアジアや北米を結びます。アジアでバンコク、ソウル、シンガポール、マニラに飛び、北米ではホノルル、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコ、バンクーバー、ヒューストン(就航順)に路線があります。

成田国際空港でのチェックインと搭乗体験

出発の2時間前に成田空港第1ターミナルに到着。スムーズにチェックインと手荷物預け入れを済ませ、出国手続きも混雑なく完了しました。預け入れ荷物は30kgまで11,000円で有料オプションとして追加できます。なお、チェックイン開始の3時間前には列ができることもあるようです。

黒い落ち着いたStandardのシートです
ZIPAIRの機材はボーイング787-8型機で、そのスマートな機体に旅への期待感が高まります。ZG016便の搭乗アナウンスが始まり、後方からのグループごとに順番に搭乗しました。お子様連れなどの事前搭乗はあるものの、優先扱いの搭乗はありません。機内に入ると、明るく清潔感のあるキャビンが目に飛び込んできます。

Standard席が並ぶ中央部付近はすっきりとして広々とした空間です
座席はスタンダードシートを選びました。ギャレーの占めるスペースが少なく、見通しが効く圧迫感の少ない機内が特徴的です。シートを見るとLCCとしては十分な足元スペースが確保されており、長時間のフライトでも快適に過ごせそうな印象です。

各座席には個人用モニターは備わっていませんが、Wi-Fi接続により自身のスマートフォンやタブレットでコンテンツを楽しむことができます。これはZIPAIRの大きな特徴の一つと言えるでしょう。

カップホルダーのあるタブレット置きと下にテーブルがあり、その下には電源があります
そのためのタブレットスタンドが装備され、テーブル直下で手の届く位置の充電設備は便利です。

成田からヒューストンへ、機内食を堪能

定刻通りに成田を飛び立ったZG016便は、一路北東へと向かいます。離陸後、しばらくして機内食の事前予約者への提供が始まりました。

ふっくらうなぎの鰻丼は機内食とは思えないクオリティの高さでした
筆者は事前に2食を予約しており、1食目には豪華な「国産うなぎのふっくら鰻丼」(3,000円)が運ばれてきました。香ばしい鰻と甘辛いタレが食欲をそそり、山椒も付いていることから上空とは思えないほどの本格的な味わいにうれしくなりました。

食事が終わり、機内ではWi-Fiサービスを利用し、SNSをチェックしたり、思い思いに時間を過ごすことができます。Wi-Fiは無料サービスですので、長時間のフライトにおいては非常に有効なツールだと感じました。

自身の端末で楽しめる機内エンターテインメントもあり、映画『トップガン マーベリック』を視聴しました。このサービスがあれば個人用モニターがなくても退屈しません。他にも映画は10番組ほど、情報番組も提供されています。

ZIPAIRの機内サービスは、LCCらしく必要最低限に絞られていますが、客室乗務員の方々は非常に丁寧で親切な対応でした。飲み物や追加の食事などは、自分のスマートフォンから有料で注文することが可能です。

アイスクリーム(500円)とチョコレート(250円)を頼みカフェタイムです
途中でカフェタイムと考え、アイスクリーム(500円)とチョコレート(250円)を注文すると、すぐに席まで到着。リラックスした時間を過ごしました。アイスクリームは新幹線で有名になった硬いものを思わせ、じっくり溶け出すのを待つのもゆったりしたカフェタイムの演出にはよかったです。

窓からはアメリカの大地が広がって見えます
太平洋上を横断し、アメリカ大陸に差し掛かるころには、窓の外には広大な大地が広がっていました。朝焼けに染まる空は息をのむほど美しく、機窓を楽しむのも旅の醍醐味の一つです。

オリジナルカレーはマイルドな味わいです
2食目は提供時間指定を追加サービス(250円)で頼んでおり、着陸2時間前に届けられました。「スパイス香るZIPカレー」(1,800円)をチョイス。スパイスが効いていながらも日本人好みのマイルドな味わいで、こちらもおいしくいただきました。約12時間のフライトは、想像していたよりもあっという間に過ぎ去りました。

客室乗務員に聞く

BEBEさんに話を聞きました
バッジネームBEBEさん(ZIPAIRでは、客室乗務員およびグランドスタッフは各々自由な名前を決めてバッジに表記することができる)に客室乗務員の仕事について聞いてみると、「普段働くなかで客室および地上の業務を兼務するのですが、地上業務は限られた時間の中で動き、機内ではお客様のペースを考えながらじっくりサービスできるというメリハリがよいと思います」と話してくれました。

ヒューストン空港に姿を見せたZIPAIR Tokyoのボーイング787-8
約13時間のフライト中、多くの時間を睡眠に充てることができ、体が非常に楽でした。日本では午後ですが、アメリカ現地時間では深夜になろうとするとき。時差ボケを体感することなく、すっきりと目覚めることができました。入国審査もスムーズに進み、そのまま税関を通過し、到着ロビーへと出ることができました。

帰路はZIP Full-Flatで極上の睡眠体験

帰りのZG015便は西行きで、往路よりも時間がかかります。それこそLCC日本一長距離の路線を楽しもうと、「ZIP Full-Flat」を予約しました。チェックインは3時間前到着では列が長く伸びていました。いよいよフルフラットシートでのフライト体験です。

ZIP Full-Flat席の大きなテーブル
機内に入ると、ZIP Full-Flatの広々とした空間に驚きました。電動で完全に水平になるシートは、まるでベッドのようです。スイッチは3つの姿勢に選択できますので、ずっと押さえておく必要はありません。シートベルトは肩にも掛ける3点式です。通路側のひじ掛けは可動式で広く使うこともできます。

座席は、ブラックの落ち着いたカラーです。LCCですので、アメニティなどはありません。眠りに特化する旅にするならば、2,500円のアメニティセットは必須です。

TAKASHIMAYAのタグのあるブランケットは上質で、足まですっぽり覆うことができます。他に膨らませやすいネックピローとアイマスク、イヤープラグが入っています。長時間のフライトでも快適な睡眠を実現することができます。

ZIP Full-Flatは、座席はビジネスクラスのフルフラットなのですが、サービスなどは全て自分で購入するスタンダードシートと全く同じ条件であることを理解しておきましょう。

いろどりあざやかなマッシュルームオルゾピラフを堪能しました
離陸後、しばらくして1食目の機内食が運ばれてきました。復路は「マッシュルームオルゾピラフ」(2,200円)を選びました。プチプチとした食感のオルゾパスタとマッシュルームの旨味が凝縮されたピラフは、軽やかでありながら満足感のある一品でした。

食後、すぐにシートをフルフラットにし、横になって体を休めました。普段、飛行機ではなかなか熟睡できないものですが、このシートの快適さには感動しました。ヘッドレストは枕代わりになりますし、ネックピローで頭部が固定され、安定感が増します。ブランケットを顔まで持ち上げれば、寝顔をさらすことなく眠れます。

スウィートサワーポークはボリュームがありおなか一杯になります
日本到着の2時間前には、往路同様に時間指定していた2食目の「スウィートサワーポーク」(2,200円)が運ばれてきました。甘酸っぱいソースが豚肉によく絡み、食欲をそそる一品で、目覚めの一食としても最適でした。

客室乗務員の話

BRENDAさんに聞きました
バッジネームBRENDAさんにZIPAIRで働く印象を聞いてみました。「他社には無いニューベーシックエアラインという新しい会社を作り上げている感覚がよいですね。客室乗務員は全員が地上業務も行いますので、お互いの業務が理解できてお客様に対する対応も自信を持ってできるようになりました。」と話す。

ZIPAIRの利用を終えて

今回の成田⇔ヒューストン往復の搭乗は、非常に満足のいくものでした。LCCでありながらも、長距離国際線をこれほどの快適さで運航できることに驚きました。

ZIPAIRの良さはまずコストパフォーマンスの高さが挙げられます。大手航空会社と比較して運賃が抑えられているため、気軽に海外旅行を楽しむことができ、事前予約の機内食など、必要なサービスをオプションとして選択できる点も魅力的です。

特に、復路で利用した「ZIP Full-Flat」は、長距離フライトにおいて疲労感なく過ごせます。機内は清潔感があり、客室乗務員の対応も丁寧でした。有償の機内食はさまざまな種類があり、どれもおいしく、空の上での食事を存分に楽しむことができました。

全体として、ZIPAIRは、コストを抑えつつも快適な長距離フライトを求める旅行者にとって、非常に魅力的な選択肢になります。特に、Wi-Fi環境が整っているため、ビジネス利用や、自身のデバイスでコンテンツを楽しみたい方には最適だと思いました。近い将来、機内でスターリンクのWi-Fiが導入されるとのことで楽しみですね。

ZIPAIRのフライト詳細・航空券予約はこちらをチェック!

※表記価格は全て税込み
※時期・情勢によって価格は変動します

[Photo by 北島幸司]

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PROFILE

北島幸司

tabi240805 航空ジャーナリスト

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅について寄稿する航空マニアな航空ジャーナリスト。 現在は航空部品メーカーで顧問業のかたわら執筆しています。航空コンサルタントとして事業も開始。航空ジャーナリスト協会に所属しています。

【キャッチフレーズ】
飛んでいれば満足

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅について寄稿する航空マニアな航空ジャーナリスト。 現在は航空部品メーカーで顧問業のかたわら執筆しています。航空コンサルタントとして事業も開始。航空ジャーナリスト協会に所属しています。

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