使用済み食用油が“39万個の桜”を輝かす「目黒川みんなのイルミネーション2025」大崎~五反田|2026年1月末まで

Posted by: kurisencho

掲載日: Dec 6th, 2025

春は桜の名所として有名な東京の目黒川。大崎から五反田エリアで開催される「目黒川みんなのイルミネーション2025」は、地域の方々から集められた使用済み食用油を再利用し、約39万球の灯りで街を包み込み、冬に桜並木を描いています。水辺に映る幻想的な桜の光や電車との共演が心を温めてくれる冬のおでかけスポットです。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」みんなのきらきらのき2

開催15年目「目黒川みんなのイルミネーション2025」

2025年12月5日(金)から2026年1月31日(土)まで、品川区立五反田ふれあい水辺広場をメイン会場に、大崎・五反田エリアの目黒川沿いで開催される「目黒川みんなのイルミネーション2025」

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」看板
地域の家庭や飲食店から集められた“使用済み食用油”を“バイオディーゼル燃料”に再生し、100%自家発電による全国でも珍しい“循環型イルミネーション”です。開催15周年を迎える今年は、約39万球の桜色の光が目黒川沿いを彩るだけでなく、身近な廃材や自然素材で作られたオーナメントが会場に温もりを添えています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」キッチンカー
メイン会場となる「品川区立五反田ふれあい水辺広場」には、エコ活動や地域とのつながりを感じられる取り組みやキッチンカーも登場。冬のおでかけを楽しみつつ、環境活動に触れられることも特徴です。

次世代のクリーンエネルギーによる“桜の光”

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」使用済みの食用油、バイオディーゼル燃料

(画像:(左)バイオディーゼル燃料、(右)使用済み食用油)

日本では年間約40万トンの油が廃棄されています。その内、飲食店や食品関連企業から出される約20万トンが飼料や石鹸などに再生される一方で、家庭から出る残り約20万トンは未利用のまま廃棄され、環境負荷の原因となっているのだそう。そんな使用済み食用油を「バイオディーゼル燃料」に再生し、本イルミネーションで街を照らす灯りとして活用しています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」ディスプレイ(使用済みの食用油、バイオディーゼル燃料)
バイオディーゼル燃料は軽油の代替として利用でき、硫黄酸化物を含まず、黒煙も軽油の半分以下。大気汚染を抑える“次世代のクリーンエネルギー”として世界的に注目されています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」看板(みんなのきらきらのき)
また、2025年は初めての試みとして、壊れた傘やペットボトルキャップなどの廃材を使ったオーナメントが飾られらた「みんなのきらきらのき」がメイン会場を彩っています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」みんなのきらきらのき3
大きな木には数多くのオーナメントが、まるで七夕の短冊のようにキラキラと飾られていて、とても素敵です。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」みんなのきらきらのき4
ペットボトルのキャップを繋げたり、イラストを描いて創意工夫をこらした各作品からは参加者の皆さんが一生懸命に制作されたことが伝わってきます。どれもこれも可愛らしい!

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」みんなのきらきらのき5
桜色の光に照らされて新しい命を宿したかのよう。冬の寒さを忘れさせるほど温かな雰囲気をまとっていました。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」ゆるキャラ「ハタチの龍馬」
初日の点灯式では、品川沿岸警備にあたっていた20歳頃の坂本龍馬をモチーフにしたゆるキャラ「ハタチの龍馬」が登場し、地域の学生による吹奏楽やダンスのパフォーマンスも披露され会場を盛り上げました。

両岸計約2.2km、冬の幽玄な桜並木

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」マップ
イルミネーションの点灯時間は、17時〜22時30分まで。山手線「大崎駅〜五反田駅」間の目黒川沿いの両岸合計約2.2kmにわたり、約39万球の桜色の光が冬の夜を彩っています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」目黒川沿い
水面に映る濃い桜色は幽玄に揺らめいて、春の淡い桜とは異なる美しさで魅了しています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」目黒川沿い2
枯れ葉と光の共演、頭上に輝く桜の光、足元に広がる桜色の道。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」目黒川沿い3
光に電車が交差する瞬間など、特別な景色が目に映って写真撮影に夢中にさせます。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」目黒川沿い4
家族連れやカップルの思い出のおでかけスポットとしてだけでなく、散歩や仕事帰りの人々にとって日々の疲れを癒してくれる並木道となることでしょう。

エコ活動を再認識

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」イベント看板
使用済み食用油がイルミネーションの灯りへと生まれ変わる本イベントでは、訪れる人々が自然と環境活動に触れることができるのも特徴です。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」看板(Tokan FF CUP)
メイン会場に出店している、清泉女子大学・関東日本フード・CAFE&HALL ours(カフェアンドホール アワーズ)が共同開発した「桜イルミネーションバーガー」やキッチンカーでは、環境負荷を減らす新しいリサイクル型紙容器「Tokan FF CUP(トーカン・エフエフ・カップ)」が使用されています。

従来は“汚れた紙コップ”は焼却されがちでしたが、食後にコップ内のフィルムを剥がすことで“汚れのない紙資源”として回収され、“水平リサイクル(紙コップ→紙コップ)”できる点が注目されています。参加者は、この革新的な分別体験を通じて循環型社会を実感できるのです。

※アップサイクルスポットや展示ブースは初日のみ

皆の意識が街の未来を照らす

2010年に始まり、2011年の東日本大震災を機に「100%地産地消のエネルギー」へと進化した「目黒川みんなのイルミネーション」。震災後の“地域で光を灯す”という想いから生まれ、今では約40社の企業協賛と住民参加によって“みんなで育てる文化”として今に継続されています。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」目黒川沿い5
単なる楽しいシーズンイベントというだけではなく、ビル群の夜景に溶け込み川沿いを照らす桜並木の光を眺めていると、電気のありがたさ、人間の非力さ、そして地域が団結する力、遠く離れた人との繋がりの強さを思い起こさせました。

東京都品川区・「目黒川みんなのイルミネーション2025」みんなのきらきらのき6
捨てられるはずのものに新しい命が吹き込まれ、人々を包み込む冬の桜並木のイルミネーション。震災で得た教訓を胸に、七夕の願い事のように“未来が明るい方向へ進むように”と祈りを込める、そんな静かなひとときも届けてくれるイベントです。

「目黒川みんなのイルミネーション2025」
開催期間: 2025年12月5日(金)~2026年1月31日(土)
開催場所:品川区立五反田ふれあい水辺広場(東京都品川区東五反田2-9)、大崎・五反田エリアの目黒川沿い
点灯時間:17:00~22:30(雨天決行、荒天時は除く)
問い合わせ(目黒川みんなのイルミネーション実行委員会):03-6803-8922
交通:JR「大崎駅」「五反田駅」から徒歩約6分(品川区立五反田ふれあい水辺広場)
公式サイト:https://www.minna-no-illumi.com/
(参考)しながわ観光協会
公式サイト:https://shinagawa-kanko.or.jp/event/minna-no-illumi2025/
公式Instagram:@shinagawonder

[all photos by kurisencho]

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PROFILE

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kurisencho ライター

熊本県天草の凪いだ海と潮の香りの中で育ちました。東京に住むことで、新しいもの、昔からあるものの良さを再発見し、今まで見てきた世界が広がりました。デジタル化の中で生きるアナログの力を確信し、儚いけど美しい、人と風景の一瞬をとらえたいと思い写真を撮っています。

熊本県天草の凪いだ海と潮の香りの中で育ちました。東京に住むことで、新しいもの、昔からあるものの良さを再発見し、今まで見てきた世界が広がりました。デジタル化の中で生きるアナログの力を確信し、儚いけど美しい、人と風景の一瞬をとらえたいと思い写真を撮っています。

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