子供のころに食べたあの味。最近ご無沙汰でした。
バームクーヘン。木の年輪を思わせる断面が特徴的なドイツ菓子。子供のころに、どこからかいただいたものなのか、高さが10センチメートル、直径は20センチメートルはあるような、切り株の形をしたものを切り分けて食べたのが最初だったと思います。甘いバニラとバターの香りに、幾層にも重なる生地の食感がたまりませんでした。
そういえば、最近ご無沙汰。ドイツのザルツヴェーデルという旧東ドイツ側にある小さな町がバウムクーヘンの街だと聞いて、出かけてみました。
ベルリンから日帰りで!電車で1時間40分ほど
ザルツヴェーデルは人口20,000人ほどの小さな町。石畳の通りに木組みの建物が並ぶ、かわいらしい田舎町といった印象です。街を囲む中世の城壁や城門もそれほど高さもなく、なんとなく微笑ましい感じ。町の中心には広場があり、レストランなどもありますがとても静かで、歩くスピードも、自然にゆっくりになります。
(c)Atsushi Ishiguro
今回は3軒のバームクーヘン屋さんを尋ねて、味比べです。
キッチンの見学もOK!エアステ・ザルツヴェーデラー・バウムクーヘンファブリーク
(c)Atsushi Ishiguro
このお店、ドアノブがかわいいバームクーヘンの形。奥にあるキッチンは誰でも見学することができます。バームクーヘンはオーブンで焼くのではなく、直火で焼くんですね。日の前に、長さが1メートルはあるくるくる回る棒をセットして、そこに生地をかけては焼き、かけては焼き。
この店のバウムクーヘンの特徴は、しっかりと泡立てられたメレンゲを使ったふんわりとした食感です。
(c)Atsushi Ishiguro
これまでは、密度の高い、むっちりとしたものしか食べたことがなかったのですが、空気を含んだ優しい食感は初めて。日本ではなかなかお目にかかれないおいしさです。砂糖や、チョコレートでコーティングしたものも、絶妙な甘さのバランスでした。
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町のベーカリー。ザルツヴェーデル・バウムクーヘンはローカルな雰囲気!
このお店は専門店ではなく、様々なパンも楽しめるカジュアルなベーカリーカフェ。どっしりとしたドイツパンや、おいしそうなスイーツが並んでいます。
(c)Atsushi Ishiguro
ちょっとしたテーブルと椅子があるので、買ってその場で食べることができて便利。地元の方がフラッと立ち寄って、買い物をしていくといった、ローカルな雰囲気でした。
(c)Atsushi Ishiguro
こちらも、日本で食べるバウムクーヘンよりはふわっとした感じ。それでも、生地はしっとりと重めで、食べごたえがありましたよ。
正統派のカフェ!カフェ・クルーゼは大人の空間!?
(c)Atsushi Ishiguro
こちらのカフェは正統派!席数は200を超えて中庭もあり、ゆったりとした時が流れます。ショーケースには、クリームでデコレーションしたものなど、ちょっとゴージャスなバウムクーヘンも並んでいます。その隣には年代物のエスプレッソマシーンが置かれています。磨きこまれた真鍮が美しい。
新聞を広げて甘いお菓子にコーヒーを楽しむご老人たちの姿も多く、長い間地元に愛されているんだと感じました。こちらのバームクーヘンは、シッカリとした重みも歴史の重みも感じられるような印象でした。
(c)Atsushi Ishiguro
とはいえ、食べ物の好みは人それぞれですよね。一度ザルツヴェーデルに出かけて、バウムクーヘンの味比べをしてみるのはどうでしょう。ベルリンから、1日の小旅行。特別な思い出になりますよ。
[Photos by Atsushi Ishiguro & shutterstock.com]
Atsushi Ishiguro ライター&フォトグラファー
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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