「九尾の狐」という伝説があります。小難しいことをさておくと、尾が九つに割れたキツネが絶世の美女に化けて悪さをしていたが、ある日ついに見破られ退治されるというお話です。そんなたいそうなお話でなくても、昔話の中で人を化かす動物といえば、キツネにたぬきと相場が決まっています。一方で、お稲荷さんのシンボルは「白キツネ」。こちらは神様の御使いなのだとか。「キツネの中でも白いのは特別ってことなのかな」(現代じゃ、赤いキツネなら身近な存在だけど)、という程度の知識はあったのだけれど。
さてあるとき降り立ったのは、山口県山口市、湯田温泉駅。山陽新幹線の新山口駅から在来線で20分弱。日本中、どこにでもありそうな小さな駅です。さぁ、着いた! と駅舎を出たとたんに、これがいたわけです。
青空にすっくと背を伸ばす、白いキツネ。駅舎の屋根よりはるかに高く、顔を拝もうとするならかなり頭を後ろに倒して見上げるしかありません。優しい表情で太陽を浴びて微笑んでいるのが、なぜだか少しコワイ。白キツネだから神様の御使いなのでしょうけれど。このキツネ、湯田温泉のWEBサイトによると、名前を「ゆう太」というらしいです。
ゆるキャラでも活躍中!
駅前にいるだけかと思ったら、やっぱりゆるキャラとして活躍していました。しかも大メジャーなお茶のCMで新垣結衣ちゃんと競演を果たしているのです。そのうえなんと湯田温泉のブログサイトによると「ゆう子」ちゃんという彼女もいて(ちなみにゆう太は5歳なんだけど)、「ゆう子」ちゃんのほうは、これまた大メジャーな自動車のCMで小林星蘭ちゃんと競演をしています。
なんだ、かわいいじゃない。急に親しみがわいてきた感じ。
「白キツネは神様の御使い」などと思うから、駅前の「ゆう太」がちょっと不気味な感じがしたのね、きっと。ゆるキャラに会ったあとなら見方も変わるかなと駅に向かったのだけど・・・。
とっぷりと日が暮れ、静かな駅前の巨大白キツネというのは、それはそれで、なんとなく不気味なような…。まあ、神様の御使いですから、怖くはありませんよ、怖くはね。
ちなみに湯田温泉の町中には、ほかにもキツネがあちこちに。白キツネばかりとは限りませんが、探してみると楽しいかも。