メキシコのクリスマスは長い!
国民の8割以上がカトリック信者というメキシコのクリスマス期間は「Navidad(ナビダー)」と呼ばれ、一年のなかで最も大切な行事です。ナビダーはとても長く、12月16日~1月6日まで続きます。
家庭のクリスマスツリーは12月10日ごろから飾り始められます
でも、クリスマス期間直前のメキシコの守護聖母である褐色のマリア、Guadalupe(グアダルーペ)の記憶日(生誕日)の12月12日から、すでにお祭りムードが高まってきます。
路上の祭壇はグアダルーペの肖像を中心に、ナシミエント(キリスト生誕を再現したジオラマ)を飾っている
グアダルーペの記憶日は仕事が休みになったり、早く終わったりするので、教会へお参りに行く人もいますが、それよりも職場仲間と忘年会を始める傾向にあるようです(もちろん、飲んで踊ります)。
いきつけの市場でもマリアッチを呼んでミサを行ったあと、みんなにお酒をふるまいはじめてました
こんな状態が1月6日のReyes de Magos(東方の三賢者)の日まで続くので、飲んで食べて踊って騒ぐパーティ三昧の期間を「Guadalupe-Reyes(グアダルーペ・レイジェス)」といいます。「えっ!敬虔なカトリック信者なのに結局はパーティが目的なの?」と思わなくもないのですが…..。さて、メキシコの長い長いクリスマスをどう過ごすのか案内しましょう。
ポサダ 12月16日〜24日まで
イエス・キリストの両親である、マリアとホセが、出産のための場所を見つけるための旅にでていた期間であるクリスマス前の9日間 (毎年12月16~24日まで)を祝うPosada(ポサダ)は、子どもたちにとって嬉しい行事。お菓子やフルーツの入ったくす玉をつり下げて、子どもたちが目隠しをして割ります。
くす玉はPiñata(ピニャータ)といいます。なかなか命中されるのは難しい
くす玉が割れて、お菓子が降ってくると、みんなで本気の争奪戦になってなかなかコワいです
この時期から、フルーツや黒砂糖を煮た温かい飲み物、Ponche(ポンチェ)が振る舞われます。
寒くなると恋しくなる、みんな大好きなおふくろの味が、ポンチェ
キリスト生誕前夜 12月24日
家族とともに夕食をとり、ミサへいく人もいます。パーティをするというよりも、厳かな雰囲気で、日本の大晦日や元旦に近いものを感じます。このときに、子どもたちは、サンタクロースに手紙を書くのではなく、Reyes de Magos(東方の三賢者)宛に欲しいものをリクエストした手紙を書き、クリスマスツリーに添えるのです。
クリスマスの代表的な料理は、バカラオ(塩だらのトマト煮込み)、パポ(七面鳥のなかにごはんやドライフルーツを入れて丸焼き)、ロモ(豚のヒレ肉を焼いたもの)ロメリート(干しえびの入ったオムレツみたいなものに、おかひじきとモーレ=チョコレートソースを煮込んだソースをかけて食べる)など。とにかく永遠に終わらないかと思われるほどの大量の料理が準備されます。
キリスト生誕日 12月25日
自宅で家族と過ごす重要な日なので、美術館や商店、飲食店、公共機関なども休むことが多いです(観光には不向きなので注意!)。前日の24日同様にふたたび家族で集まることになるのですが、この日も前日と同じ料理を食べることになります。
大晦日、新年 12月31日〜1月1日
メキシコでは、大晦日や年越しも家族で過ごす人が多いです。この日も、12月24日に用意した料理の余りを食べ続けることになります……。
メキシコでは、新年を迎える鐘が鳴っている間にぶどうの粒を食べなければいけないという、おもしろい風習があります。
(左)12粒用意されたものが配られる。(右)ぶどうを必死で食べながら、お願いもする風景
食べる前に年の数だけぶどう粒をたべるのかと思って、びくびくしてましたが、
どうやらそうではなく、12粒食べればいいんだと。でも、これが結構大変で、ぶどうを食べながら願い事もとなえないといけないのです(そんな千手観音みたいなことできるか!と思いましたが)。
そのあとに、各人が空の旅行カバンを持って家の外をぐるぐる全速力で走ります。
これは、今年旅行へ行けるようにするために願をかける意味があるそうです。
なかなか慌ただしい新年だし、ちょっと願かけが多すぎる気がします。
ちなみに、愛が欲しいひとは赤い下着、お金が欲しいひとは、黄色い下着を身に着けると良いともいわれています。
その後は、もちろんダンシング・タイム。爆音の音楽をかけて、朝まで飲んで、踊って楽しみます。ちなみに、メキシコでは1月1日(元日)は休みをとっている店やオフィスが多いですが、1月2日から通常業務を開始します。ほとんど、お正月感がありません。
東方の三賢者の日 1月6日
Reyes de Magos(東方の三賢者)の日は、イエスと三人の博士が出会った日を祝した公現節。
クリスマス期間が始まった頃に、子どもたちがクリスマスツリーに賢者たちへ宛てた手紙(プレゼントで欲しいもの)をあらかじめ置いておくと、1月6日の朝にそのリクエスト通りのプレゼントがツリーの下に置かれているという、子どもたちにとっては最高に嬉しい日。この1月6日にはプレゼントを受け取るほかに、Pan de Rosca(ロスカのパン)という、大きな輪のかたちをしたパンをみんなで切り分けます。
パンのなかには、こっそりと小さな人形(イエスの子どもの頃の姿)が埋め込められています。
ドライフルーツの砂糖漬けで飾られた、バターや卵がたっぷり入った甘いパン。人形は小便小僧にも見えますが、神の子どもです
ロスカをみんなで切り分けるときにその人形が入っている部分があたってしまうと、2月2日に、その場にいる全員ぶんのタマレス(メキシコ版ちまきのような軽食)を奢らなければならないのです。人形があたる人はその年を幸運に迎えられるとはいえ、いささか罰ゲームっぽいです。
しかし、あらためて書き出してみると、クリスマス期間は本当に食べてばっかりですね。メキシコ人の体重が最も増加する時期だとか。ちなみに、クリスマスのイルミネーションは1月15日ごろまで飾られている場所もあります。(片付け忘れではありませんよ!)長い長いクリスマスを楽しみに、冬のメキシコを訪れるのもいいかもしれません。
[All Photo by Miho Nagaya]
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