日本でも、性的マイノリティの権利向上について注目が集まりつつある昨今。そんな中、オーストラリアの銀行が始めた、前代未聞の企画が評判を呼んでいます。今日は、ユーモアを武器に差別や偏見と戦うATMをご紹介しましょう。
ゲイとATMの語呂合わせ!
オーストラリア・ニュージーランド銀行(通称ANZ)は175年以上の歴史を持ち、日本にも支店と出張所がある由緒ある銀行。お堅いイメージのANZですが、先日シドニーで開催されたLGBT(性的マイノリティ)のためのお祭りマルディ・グラに合わせ、ATMをゲイ仕様に変身させました!
Gay(ゲイ)とATMを掛け合わせて生まれたのが、こちらの「GAYTM(ゲイティーエム)」。昨年2014年に初めて企画され大好評を得たため、今年カムバックを果たしました。
見た目も派手ですが、中身も同性愛者を意識した言葉遣いに。”Hello gorgeous!”は、男性が男性に呼びかけるのに使うと、いわゆるおネェ言葉になります。
様々な種類の犬が存在することから、こちらのATMは「多様性」にフォーカス。子どもの目も引きそうな、かわいらしいデザインです。
キラキラのミラーボールに、思わず踊りだしたくなりそうなATMも!マルディ・グラは、企業やお店だけでなく個人で結成したグループも、それぞれが工夫をこらした出し物を披露しながら市内をパレード。当然、ダンスはマルディ・グラに欠かせない要素なのです。
社会貢献を目指して
奇抜なデザインばかりに目を奪われがちですが、GAYTMは社会貢献にも一役買っています。
性的マイノリティに寛容なイメージのオーストラリアでも、偏見や差別は残っていると言われます。近年では、オーストラリア出身のオリンピック水泳選手イアン・ソープが長年に渡る苦悩の末カミングアウトしたのが有名ですが、彼のように悩む人はまだ多く存在するのです。
そんな問題に尽力するのもANZの狙いです。ANZ以外の銀行カードでGAYTMから現金を引き出すと、2ドルの手数料がチャージされます。その手数料は、国内の性的マイノリティをサポートする非営利組織に全額寄付されるのです。
設置はシドニーだけに留まりません!こちらはヴィクトリア州デールズフォードに設置された唯一のGAYTM。イギリスの人気コメディ番組Little Britain(リトル・ブリテン)の登場人物の口グセである”I’m the only gay in the village(僕は村唯一のゲイ)”を元ネタにした、”The only GAYTM in the village”です。こんな風にユーモアも忘れず、多くの人びとの注目を集めているのです。
製作から設置までの様子は、こちらの動画でどうぞ!
https://www.youtube.com/watch?v=f3lLADlEuh0
日本では少し考えられないようなアプローチですが、結果的に多くの人々のサポートを集めることに成功しているこの企画。こんな風に、いつもとは違う側面から世界の国々を見つめると、今まで気が付かなかった一面に出会えるかも知れませんね。