地域の物流を支える長大なトラック

先日、取材でオーストラリア東北部のクイーンズランド州メリーベールの山奥にあるスパイサーズ・ピーク・ロッジという5つ星の人気ホテルを訪れました。その取材の道中、オーストラリアらしい光景を予期せず目の当たりにします。

クイーンズランド州でも南部にあるゴールドコーストの街中からスパイサーズ・ピーク・ロッジまでの最短ルートが洪水で通れなかったため、ずっと遠くまで迂回（うかい）を余儀なくされたのですが、乾燥した平野と山々が迂回（うかい）路の車窓に広がる中、コンテナをいくつも積載した複数のトレーラーを引っ張る大型トラックに何度も出合いました。

日本で言えば、ダブル連結トラックが「ダブル」ではなく、いくつも連なるイメージですね。

日本人の配偶者をお持ちの現地ドライバーの方に道中で聞いてみると、クイーンズランド州の郊外やオーストラリア北部のノーザンテリトリー州など、鉄道網がそれほど発達していないエリアの物流を支える交通手段が、この長大なトラック（ロードトレイン）になるとのことでした。

1,474.3mの長さがあるトレーラー

今回紹介するギネス世界記録は、このロードトレインに関する世界記録です。クイーンズランド州郊外をドライブ中に見かけたロードトレインは2連結、3連結が主流でした。

上述の現地ドライバーに聞くと、もっと多い場合もあるようですが、オーストラリアのクイーンズランド州北部のクリフトンで樹立された記録は113連結に達したそうです。

記録保持者は、ジョン・アトキンソンさんで、2006年（平成18年）が達成年です。その長さは、1,474.3mに達しました。バスで言えば156両分くらい。すさまじいですよね。

さすがに、ギネス級のロードトレインは日常的に走っていないものの、100m近い長さに達する長大なロードトレインは普通に走っているとの話。

ロードトレインを追い越すのは困難

その長さゆえか、筆者が見かけたロードトレインの最後尾には「Long truck」といったサインが掲示されていたケースが多かったような気がします（ちょっと記憶が定かではないですが）。

※画像はイメージです　©️FiledIMAGE / Shutterstock.com

追い越そうとして反対車線に飛び出してみたものの100m超えのロードトレインだったら追い越せませんよね。現地ドライバーいわく、追い越しやすれ違い時に発生する風圧にも注意しなければいけなとの話でした。

オーストラリア旅行中に、レンタカーを借りて現地で運転する際には、ロードトレインの追い越しに注意したいですね。

［参考］
※ Longest road train – Guinness World Records
※ THE LONGEST ROAD TRAIN IN HISTORY STILL HOLDS THE WORLD RECORD – DRAKE

[All photos by Shutterstock.com]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家／ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書（TABIZINEライターとの共著）に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸３県のWebマガジン〈HOKUROKU〉（https://hokuroku.media/）創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。