世界に衝撃を与えた、今年1月のパリ連続襲撃事件。過去50年間のテロ事件のなかでも、実行犯を含む20人が死亡するという悲惨な結末を迎えました。
古くから民族の流動が盛んなフランスには、さまざまな人々が暮らしています。このため、カトリック教やイスラム教、ユダヤ教など、それぞれの思想を尊重する必要があることも、フランスを旅行する上で忘れてはなりません。
さて、夏休みにはフランスへの渡航計画を立てている方もいらっしゃるかもしれませんね。そこで、在住者の視点から見た現状の治安・気をつけたいポイントをお伝えしたいと思います。
メトロではスリに気をつけて
パリに暮らす友人の話では「襲撃後は警官が多くなったこともあり、治安も以前と変わらないように感じる」とのこと。むしろ気をつけたいのは「旅行者が被害に遭うことの多いスリ」だそう。
人が多く集まるメトロ(地下鉄)では、スリ事件も多発しています。別の友人はパリ滞在期間がわずか3日ながらスリの瞬間を目撃して、驚いたと言います。バッグは肌身離さずしっかり持つこと、居眠りしないこと、親切心を装って話しかけてくる人には警戒することを心がけましょう。
お会計の際には確認を
スーパーで買い物をしたとき、レストランで食事をした際には、支払い前に金額をきちんと確かめるようにしましょう。故意に料金を割り増しするケースはそれほど耳にすることのないフランスですが、レジ打ちの間違いの多さには辟易してしまいます。
友人はレストランでの支払いの際に20ユーロも割り増しで請求されたそうですが、間違いを指摘することで解決。のちのち不快な気分にならないためにも、お会計の際には確認をお忘れなく。
公共交通機関のストライキ
日本では考えられないほど、フランスはストライキの多い国です。公共交通機関が止まるケースは「治安維持」の場合もありますが、多くの場合は職員たちのストライキによるものです。
治安維持というのは、暴動などが起きた場合に混乱を防ぐため。筆者が暮らしている南仏のトゥールーズでは昨年11月に市内で暴動が起きて、その際にメトロの運行が数時間に渡り中断。外出先だったため、足止めされて非常に困りました。
ストライキでメトロが止まるのは、日常茶飯事です。観光都市をまわる際にはメトロのほか、バスやシティバイク、タクシーなど、さまざまな交通手段を念頭に入れておいたほうがよいかもしれません。
また、5月1日やクリスマス期間にフランス国内を旅行する際には注意が必要です。例えば南仏に関して言うと、今年の5月1日のメーデーには、ボルドーもマルセイユもトゥールーズもニースも、公共交通機関はすべて動いていませんでした。これは今年に限らず、毎年のことなのだとか。12月25日のクリスマスにも交通機関のダイヤ数が少なくなるため、これらの期間に旅行を計画する際には注意してくださいね。
フランス国鉄「SNCF」の遅延
定刻通りに慣れているわたしたちにとって、フランスの交通機関は頭が痛いもの。定刻通りに列車が動いているか、やきもきしてしまいます。限られた日数での旅行なのだから、スムーズに移動したいですよね。フランス国内や大陸続きのヨーロッパの移動に便利な「SNCF」ですが、遅れることもしばしば。
「予定していた場所へ行くことができなかった」と、後悔しないためにも、時間には余裕を持って行動するようにしましょう。
比較的治安のよいフランスですが、国内と比べると気をつけるポイントはたくさんありそうですね。
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