フランスのスーパーは、どこを訪れても乳製品のコーナーがとても充実しています。でも不思議なことに、チーズ売り場付近には牛乳がほとんど見当たらないのです。「世界でも有数の酪農大国なのに、牛乳が少ないのはなぜ?」という疑問を解決すべく、フランスの牛乳事情についてお伝えします。
フランスの牛乳は「常温保存」が基本
フランスのスーパーで目にする牛乳の多くは、小麦粉や砂糖と同じく、常温保存のコーナーに置いてあります。「牛乳なのに常温で保存して腐らないの!?」と、思いますよね? スーパーに常温牛乳がずらりと並ぶ光景を初めて目にした時は、とても驚きました。
牛乳だけでなく、常温保存の生クリームが充実していることにダブルの衝撃を受けたことは、言うまでもありません。
シチューやクリーム系のパスタ作りに重宝する常温保存の生クリーム (C) sweetsholic
常温保存が可能な理由は、「UHT殺菌(超高温瞬間殺菌)」という強い殺菌効果のある方法を採用しているため。国内でも主流の方法で、昭和30年代から採用されているそうですよ。フランスで販売されている常温牛乳は2〜6カ月程度の長期保存が可能です。
常温牛乳と比べて、種類の少ない冷蔵牛乳 (C) sweetsholic
キャップの色で乳脂肪分が分かる!
一般的な牛乳「Lait(レ)」は、乳脂肪分3.6%の「Lait entier(全乳)」、1.5〜1.8%の「低脂肪乳(Lait demi-écrémé))」、0.5%「Lait écrémé(脱脂乳)」と濃さが分かれています。プラスチック製のボトルと紙パックのタイプがあり、ボトルタイプはキャップの色から脂肪分の違いを判断することができます。赤が「全乳」、青が「低脂肪乳」、緑が「脱脂乳」、黄色は殺菌していない「生乳」です。
人々のニーズやライフスタイルに合わせて、ビタミン強化の牛乳や、有機酪農で飼育された牛の「ビオ牛乳」などもあります。
「ヤギ」や「ヒツジ」のミルクにもある!
乳製品の豊富なフランスなだけに「牛乳」だけでなく、「ヤギ乳」も常温の売り場に並んでいます。ヤギ乳は甘さの中に独特の風味があって、ヤギのチーズを思わせる味。好き嫌いが分かれるかもしれません。ちなみにヤギ乳は「Lait de chevre(レ・デ・シェーブル)」という名称です。ヤギ乳に比べると、見かける頻度は少ないものの「羊乳」を扱っているところも。
フランスでは、常温牛乳を買い置きしている家庭が多いものです。冷蔵保存の牛乳の方が、味は若干フレッシュに感じるものの、際立った違いは感じられません。ちなみに常温牛乳の方が断然安いです。国内にも通販などで常温牛乳の取り扱いがあるようなので、フランスに行かずとも試すことができそうですね。