世界にはいろいろなコンクールがあります。音楽のコンクールもあれば、生け花のコンクールも。なんと富山県にはチンドン屋の日本一を決めるチンドンコンクールまであることをご存知ですか?
(C) 富山県観光連盟
日本で一番になれば、恐らく世界一が確定するチンドン屋の世界。そこで今回は桜が満開になるころに富山で開催される、全日本チンドンコンクールの魅力を紹介します。
チンドン屋は広告・宣伝のプロ
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そもそもチンドンコンクールとは、プロのチンドン屋が全国から集結し、与えられたお題に関するパフォーマンスを繰り広げるトーナメント方式の大会になります。
昨年の決勝戦のテーマは「北陸新幹線」。与えられたキーワードをどう料理するかは演者の腕にかかっています。去年の場合は例えば演者の一人が足と頭にハンドベルを巻き付け、両手にもベルを持ち、電車の発車ベルを見事に全身で演奏してくれました。ものすごい歓声が客席から上がった記憶があります。
冷静に考えてみれば、チンドン屋とは広告や宣伝のプロフェッショナル。所属する企業名も有限会社アダチ宣伝社などですから、何かのPRに関しては圧巻の芸を見せてくれます。特に毎年優勝争いを演じるような実力派のチンドン屋は、楽器や歌、口上や寸劇、紙吹雪や巨大人形などの視覚的な仕掛けを次々と披露し、観客の気を一瞬たりともそらしません。見終わるころにはすっかり課題テーマのキーワードが頭に刷り込まれています。
何年も前の話ですが、筆者も初めて見たチンドンコンクールの帰り道、路面電車に乗りながらふと「ファッファ、ファボーレ~」と口ずさんでいる自分に気づきました。ファボーレとは富山県にあるショッピングモールの名前。その年の課題の1つで、出演したチンドン屋が繰り返し歌っていたリズミカルなフレーズでした。
筆者の口から漏れた歌声に合わせて、目の前の座席でボードレールの『悪の華』を呼んでいた文学部風の女子大生が、顔を上げこちらをまぶしそうな顔で見ていました。一瞬、何か気の利いたことを言って切り抜けようと思いましたが、何も思い浮かばなかったので、せき払いをして無難な決着を図りました。
1955年スタートの歴史ある大会
そんな全日本チンドンコンクールは、2016年でなんと62回。1955年から毎年春に開催されてきました。富山は1945年の8月1日と2日に焼夷(しょうい)弾の爆撃を受けて、完全な焼け野原になった歴史があります。その復興にめどがついた10年後の1955年に、富山桜まつりのメインイベントとして第1回が開催されました。
2016年の開催日は4月8日~10日。本選の戦いが行われる会場のすぐ隣を流れる松川沿いの桜が満開になるころですね。松川沿いには460本ほどのソメイヨシノが植えられています。開花の時期には見事な桜の景観を楽しませてくれる名所で、日本さくら名所100選にも入っています。
本選の戦いは屋内ですが、決戦の前後にはチンドン屋による夜桜流しなども行われます。幻想的な花見も楽しめて、プロの芸も楽しめる夢のような3日間。大変な混雑で、周辺のホテルなどが満室になってしまうほどですが、一見の価値はあります。ぜひとも今年の春は、富山に足を運んでみてくださいね。ちなみにアクセスですが、北陸新幹線か飛行機で富山で来て市内中心部に向かってください。
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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