「有給休暇国際比較調査2015(Expedia実施)」の結果からなんとも休みベタな日本人の姿が明らかになりました。調査結果に加え、よく「日本と似ている」と言われるドイツの労働事情をあわせてご紹介します。
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日本の有給消化率はワースト2位
今回調査対象となった26か国中日本の有給消化率はワースト2位(支給日数20日、消化率60%)。上位を占めたのはいずれも支給日数30日、消化率100%のブラジル、フランス、スペインです。反対に最下位だったのが支給日数15日、消化率40%の韓国でした。
「有給消化率100%」なんて日本で働く多くの人にとっては夢のような話ではないでしょうか。日本では形式的には有給休暇をとりながら出勤する人もいるので、実態としては60%よりさらに低い可能性もあります。
意外にも休み不足を感じていない日本人
国際的に見ても有給消化率が低い日本ですが、そのわりに「休み不足だ」と感じている人の割合が少ないことが明らかになりました。
休み不足を感じている人の割合はシンガポール、香港、インド、スペイン、イタリアが上位を占め、日本で休み不足を感じている人の割合はわずか39%。
長期休暇がとりづらく残業も多い環境にしては、この数字は低いといえるのではないでしょうか。30日もある有給休暇を100%消化しているのにまだ休み不足を感じている休暇に貪欲なスペイン人に比べると、日本人は仕事を重視する国民だといえそうです。
自分の有給日数を知らない日本人
自分に支給されている有給休暇の日数を知らない人の割合は日本がダントツに多く、53%。続いて韓国が23%となっています。
反対に下位はスペイン(7%)、インド(8%)、シンガポール(8%)など。これらの国では「自分の権利は把握するのが当たり前」という感覚なのでしょうね。
現在はドイツでライターとして活動している筆者ですが、大学卒業後6年間は日本の一部上場企業で働いていました。新入社員のころ先輩社員から言われて衝撃を受けた言葉が「有給なんて病気のとき以外ほとんど使えないよ」というもの。
日本人が自分に与えられている有給の日数を知らないのは、この言葉に象徴されるように「有給なんてあってもどうせ使えない」と思っているからではないでしょうか。「支給日数を知ったところで消化しきれないのだから知っても意味がない」という諦めの表れのように感じられます。
有給取得に罪悪感を覚える日本人
有給休暇を取得する際に罪悪感を覚える人の割合も日本が圧倒的に高く、18%。続いてアメリカ、インド、韓国がそれぞれ10%となっています。最も罪悪感を感じる人の割合が少ないのはメキシコで3%でした。
有給取得に罪悪感を覚える日本人が多いのは、そもそも有給取得率が低いのでそれを特別なことのように感じやすいこと、また周囲に迷惑をかけないように気を配る日本人の国民性も影響していると思われます。
有給休暇が労働者の権利と知ってはいても、「休みすぎると評価が下がるのではないか」「陰口を言われるのでは」といった不安から有給取得を自粛する人もいるようです。
仕事よりプライベートを大切にするドイツ人
日本でも「真面目で勤勉」というイメージを持たれているドイツですが、ドイツ人の働き方はどうなっているのでしょう。
実際にドイツで暮らしてみるとドイツ人の労働時間は日本人よりもはるかに短いことがわかりました。残業が「時間通りに仕事を終える能力がない」とみなされてあまり評価されないこともあり、就業時間になればすぐに職場を離れるのが一般的です。
ドイツ人は大切な人とのだんらんや自分の好きなことをする時間を何より重視するので、「仕事のためにプライベートが犠牲になってもしかたがない」と考える人はほとんどいません。
平日でも帰宅した後はゆったりとくつろぐ時間がありますし、クリスマスやイースターといった休暇に加え、年に2週間程度の休暇を取得して南フランスやスペインなどにバケーションに出かける人も多いです。さらに、コンサートなど自分の趣味のため、あるいは家族や恋人の誕生日などを理由に有給休暇を取得してもそれは後ろめたいことではありません。職場において従業員のプライベートの充実を尊重するのはドイツではごく当たり前のことです。
病気になったときは有給休暇ではなく病欠が使えるので、「有給休暇は病気になったときのため」という日本人の感覚はドイツ人にとっては驚きに値するかもしれません。
短い労働時間でも生産性の高いドイツ人
数字で見ても日本人とドイツ人の労働時間の差は歴然としており、日本が年間平均1729時間であるのに対し、ドイツは1371時間と日本の約8割です(2014年度統計)。
このように、日本人に比べ休息の多いドイツ人ですが、そのぶん就業中の生産性は高いといわれています。日本とドイツの一人あたりGDPを比較すると日本が32486ドルであるのに対しドイツは40997ドルと、日本より約25%高くなっています。
ドイツ人は少ない労働時間のなかで高い生産性を発揮しているといえるでしょう。
多くの人が「このままではいけない」と感じ転換を迫られている日本人の働き方。社会全体が労働者のプライベートを尊重し、限られた労働時間内での生産性を重視するドイツ式にヒントがあるかもしれません。
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