NHK連続テレビドラマ「マッサン」で一際注目を集めた余市のウイスキー造り。ついついテレビの影響でウイスキーだけに目がいってしまいがちですが、実は余市で有名なのはウイスキーだけではありません。ワインだって、余市の誇る特産品なんです。今回は、売り切れ続出のワインを作るといま人気沸騰中の「RITA FARM & WINERY」をご紹介します。
名前の由来はマッサンの妻・リタさんから
余市出身の菅原さんご夫婦が営むこのワイナリー。物腰が柔らかく笑顔の素敵なご夫婦が営むこのワイナリーは、妻である由利子さんのワイン好きが昂じて2013年にスタートさせました。もともとはワインショップを経営したいと思っていた由利子さんでしたが、フランス・シャンパーニュへの修行をきっかけに売り手から造り手への転身を決意。
帰国後ワイン造りの幹となる農園を探していると見つかったのがこの「RITA FARM」でした。実はこの農園は、あのマッサンの妻・リタさんのお世話をしていた人が所有していた地でもあったことから「RITA FARM」と名付けられたという逸話つき。マッサンとリタのゼロからのウイスキー造りのように、ここから菅原さんご夫婦のワイン造りの物語は始まったのです。
昔ながらの製法で
「風のヴィンヤード」と命名した日当たりがよく、海へと気持ちの良い南風が吹き抜ける南斜面の畑。この畑で取り入れている製法は、100年以上前の「機械や農薬を極力使わない」というものです。農薬もやみくもに使うわけではなく、人間と同じようにひとつひとつのブドウの調子に合わせ、ブドウ本来の耐性を強くするために少量のみ使うという予防医学と同じ手法をとっています。
「安定した量や質の確保」が難しいというリスクも隣り合わせのこの製法ですが、「農薬を使うのは簡単だけど、造りたいのはそれじゃない」と語る菅原さんからは強い信念を感じます。でも、なぜ「自然派ワイン」に強いこだわりを持つのでしょうか? そこにはある理由がありました。
「ここは子供たちの遊び場なんです」
幼いお二人のお子さんがいるという菅原さんご夫婦。ワインをまだ飲める年ではない二人ですが、違う楽しみ方がありました。それは、この農園を思いっきり駆け回って遊ぶこと!
お父さんとお母さんが大切にしているこの広い農園は、二人にとって絶好の遊び場なんです。もともと添加物だらけのワインは苦手だったという由利子さんでしたが、「子供たちに思いっきり遊ばせてあげたい」という二人の想いこそが「自然派ワイン」を造るきっかけとなったのです。
余市町内初リリースのワインも
リピーター続出で毎年発売後すぐに売り切れになってしまうのがこの「風のヴィンヤード ソービニヨン・ブラン」。自然酵母でじっくりと発酵したからこそ出せる芳醇な香りと、キレのある爽やかな味わいで人気の高い余市町初リリースのこのワインは、RITA FARM & WINERYの自信作です。
ほかにも無濾過、無清澄のノンフィルターで瓶詰めしたメルローや、自社レストランでの限定提供ですがすっきりとして飲みやすいシャルドネなど、自社畑からは6種類(他ピノノワール、ツヴァイゲルトレーペコールドマセラシオン、ケルナー&バッカスアッサンブラージュ)ものワインが発売されています。ワインのパッケージはすべて旦那さんの誠人さんがデザインされているんだとか。
「北海道で一番のワインを目指して」
ワインの歴史もまだ浅く、まずは土壌作りからだと言われている日本のワイン。それでも昨今はこうした取り組みが評価され、実際にRITA FARMにもシンガポールなどからワイナリーの視察にくるなど海外からも注目されはじめています。
将来の展望について尋ねてみると、「海外のワインに近付けるのではなく、北海道の良さを生かしたワイン造りで一番になりたい」と語った菅原さんご夫婦。今後が楽しみですね!
※現在、北海道内で購入できる場所は以下「ワインショップフジイ」、すすきのラフィラ「グランヴァンセラー」、新千歳空港の「北海道興農社」。問い合わせフォームやFAXからでも購入可能です(在庫状況は随時問い合わせてください)。
[RITA FARM & WINERY]
[Photos by RITA FARM & WINERY]