「一人◯◯」が市民権を得るようになって久しいです。筆者はカラオケが大好きなのですが、人と行くと「これはだれも知らないよな」で歌うことを諦めた曲数は数知れず。
しかし昨今ではヒトカラ専門店が人気を博したり、カラオケに関しては一人でも全然OKという土壌がすっかりできあがりました。歌いたいものが遠慮なく歌える、声が裏返っても恥ずかしくない、その上順番待ちなし、ずっと私のターン!! 本当にいい時代になったものです。
さて「一人カラオケ」なら経験済み、という方は多いと思いますが、「一人温泉旅行」となるとどうでしょう。一気にハードルが上がるのではないでしょうか。
ここ最近の温泉旅行は一人で行っている、むしろ温泉は一人のほうが楽しめる! と豪語する筆者が、「おひとりさま温泉旅行」を決行するにあたり気をつけるべきことを紹介します。
1.食事の場所は要確認
温泉宿の醍醐味といえば、地元の食材をふんだんに使ったお料理の数々ですよね。お刺身、揚げ物、汁物、山盛りごはんにデザート・・・温泉宿の料理はとにかく量が多いです。
カレーやラーメンなら一人で食べていても違和感はないし、万一恥ずかしくてもパッと食べてパッと退店できますが、温泉宿の食事は、一心不乱に胃に流し込むものではないですよね。そして宿泊客の大半は、残念ながら今のところ二名以上のグループです。
そこで絶対に気をつけたいのが、食事をする場所。特にあなたが妙齢の女性である場合、大宴会場に一人で登場すると、浴衣姿のカップルや女子旅グループから「一人なんだ・・・」という視線を頂戴することになります。
したがって、食事は部屋食がベスト。他人の目を気にせず、じっくりゆっくり料理を堪能できます。その次が、全個室の食事会場。食事に移動を要しますが、充分にプライバシーを確保できます。
もしも何らかの事情により大宴会場になった場合は、一番早い夕食の時間が狙い目です。意外とあなた以外のお一人様と鉢合わせるかもしれませんよ。
更にその他の事情が重なり夕食の時間を早めることすらままならなかったら、「私出張で来ているんです(だから一人なんです)」と自分に言い聞かせながら着席しましょう。「堂々とした態度」がカギです。
2.スタッフさんには愛想よく
第一印象は大事です。フロントのスタッフさんにも、部屋まで案内してくれるスタッフさんにも、笑顔で明るく接しましょう。陰気な一人客は、はっきり言って不気味です。
案内までの間、筆者は無難に天気の話をしたり、「今日はお忙しいんですか?」など他愛のない話を振るようにしますが、高確率で「どちらからお越しになったのですか?」という質問がまずあちらから来るので、「出身地/居住地」、「なぜこの場所(または旅館)を選んだか」、「来るまでのエピソード」など答えられる準備をしておきましょう。間違っても一言で返してはいけません。
3.お風呂は全部制覇
これは一人温泉の醍醐味と言えるかもしれません。他の人と一緒だと、行動を合わせないといけないことが沢山出てきます。お風呂に入るタイミングや出る時間など、人を待ったり、待たせたり。
しかし一人温泉には、そういった煩わしさがないのです!何もかも自分で決められる。このメリットを活かさないわけにはいかないでしょう。チェックイン後にひと浴び、夕食後にひと浴び、朝起きてひと浴びからのもうひと浴び。
温泉宿のメインアトラクションは温泉です。「入りそびれた・・・」と後悔することのないようにしたいですね。時間帯で男女のお風呂の入れ替わりがあることもあるので、チェックイン時の説明はよく聞いておきましょう。
4.思い入れのある土地を選ぶ
部屋食かとか、個室ありか、というのも一人温泉において重要なポイントではあるのですが、個人的には、「その行き先に思い入れはあるのか」、というのも同じくらい大事だと思っています。
「前から気になっているけど、人を巻き込むには理由が個人的すぎる場所」って、ありませんか?
例えば筆者は大のお茶好きなのですが、それだけの理由で、嬉野温泉に行ったことがあります。宿泊先では嬉野茶が飲み放題、温泉街(と呼ぶにはこぢんまりしているのですが)ではとっても美味しい嬉野茶に出会え、個人的には大満足だったのですが、お茶に興味のない人を連れて来ていたらおそらく「付き合わせてしまったな」という罪悪感が生まれていたと思います。
距離や予算からという合理的観点や、地図にダーツを投げるような運任せスタイルが性に合う人もいると思うのですが、長年抱いている旅心ドリームがあるのであれば、一人温泉はそれを叶える絶好のチャンスかもしれません。どうせ一人なのだから、いくらでもワガママになりましょう。
おわりに
社会人になると、友達と休みが合わない、泊りがけってほどの関係じゃない、はたまた環境の変化から疎遠になった・・・などなど、きっとどんな世代よりも温泉で癒やされたい日々を過ごしているはずなのに、実行に移すのは困難を極めます。
「温泉は行きたい、でも一人なんて絶対無理!」。いやいや、少なくともここに一人、既に複数回実行している社会人がいます。同行者が見つからずにヤキモキするくらいなら、一人で行ってしまいましょう。
何事も経験! やってみると、拍子抜けするくらい簡単かもしれませんよ。
[All Photos by shutterstock.com]