旅にまつわるさまざまな費用や価格料金をとりあげるTABIZINE【リアルなお金の話】特集。今回は筆者が実際に旅の途中に体験した、言い値で決まる理不尽な世界を紹介したいと思います。
言い値で買うとどれだけ損をするのかという話。「ちょっと高すぎない?」と思ったら、勇気を出して値引き交渉をしたり、取引を中止したりできるといいですよね。
メキシコのティファナで買ったシルバーのブレスレット
最初はアメリカ西海岸の国境近く、カリフォルニア半島の根元にあるメキシコの町、ティファナで買ったシルバーのブレスレットの話。筆者の初海外は10代の中ごろで、アメリカ大陸の西海岸とメキシコを回ったのですが、そのアメリカの国境近くにあるメキシコの町で、シルバーのブレスレットを買いました。
きっかけは、シルバーアクセサリーを腕に何本も持ちながら、歩き売りしている現地の人に声を掛けられたところから。筆者を日本人だと見越して「マツダセイコ」「シャチョウ」「センセイ」などと連呼された瞬間を、20年以上経った今でもはっきりと覚えています。
なんとなく足を止め話を聞いていると、いつの間にか50米ドルでシルバーのアクセサリーを1つ購入する流れに・・・。
「ちょっと高いかな」と思ったのですが、当時日本で流行していたシルバーアクセサリーだったので、お金を払おうとしました。すると、お世話になっていた日本人ガイドの方が間に入って、交渉をスタート。
ある程度は下がるかなとは思っていたのですが、その下落幅は想定外。ものの10秒程度の交渉で5米ドルになりました。それでも「本当に買うの?」と日本人ガイドの方が不安な顔をして聞いてくるほど。基本的に「いいものは何でも、向こうからは寄ってこない」と、そのガイドの方が人生の哲学まで教えてくれました。
それでも筆者は最終的に、5米ドルで買いました。それなりに気に入っていたのですが、日本に帰ると、すぐにシルバーアクセサリーらしく(?)真っ黒に黒ずんでしまいます。どう磨いてもシルバーの輝きが戻りません。磨き方が悪かったのか、そもそも物が悪かったのか・・・。結局は捨ててしまいました。もったいない話ですよね。
次は「実際には存在しない」通行料のお話です。
ネパールの村の通行料
商品の値段を吹っ掛けられるという話はどこにでもありますが、中には「ありもしないもの」に料金を設定して、現地の人が観光客からお金を巻き上げてくるケースもあります。
ネパール東部にビラトナガールという町があります。そこからインド北東部のダージリンという町に、ドライバーを雇ってシリグリ経由で車移動をしていたときの話。
見知らぬ村に差し掛かると、一本道の農道を村の若い人たちがさえぎっている検問のような場所がありました。何事かと思ってドライバーが自動車を停めると、通行料をよこせと言う話・・・。
「通行料」は自動車1台100米ドルでした。ドライバーと現地人のガイドが交渉にあたるとどんどん値段が下がっていきます。最後は「20米ドルまで下げてやる」という話に。
しかしそれ以上はなかなかディスカウントがきかなかったため、ドライバーが突然アクセルを踏み込んで、偽の「料金所」を突破してくれました。後部座席にいる筆者はただならぬ気配を感じて、後部座席で黙っていました。
後部座席からリアウィンドウを振り返ってみると、ものすごい剣幕で、両腕を振り上げて村人たちが怒っています。ネパール語での会話だったため、その瞬間は事情が分からなかったのですが、あらためて理由を聞いてみると、上述したような話を聞かせてくれました。
以上が言い値で何かを売りつけられた瞬間の代表的な思い出になります。
他にもインドのサイクルリキシャ(自転車で引っ張る人力車のような乗り物)の乗車時には、現地の人と観光客の価格がまるで違うと知りました。クアラルンプールの花売りの少女のお花代も全くの言い値。タイのマーケットでは投げると戻ってくるというだけの紙飛行機を、1,000円近い値段で売りつけられそうになった経験も・・・。
地元の人が間に入ってくれると大幅に値段が下がりますし、旅慣れてくるとこうした言い値による値段の上下にも平然と向き合えるようになってきます。
ですが、慣れない土地で、慣れない言葉で一人きりで値切るなど至難の業ですよね。旅行の前には国や地域の物の相場を調べたり、要注意のサービスや商業地帯などをチェックしたりして、無用な散財をしないように予習を徹底したいですね。
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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