ベルギー第二の都市アントワープ。15世紀後半から交易の中心地として栄えたこの港町に、名作アニメ「フランダースの犬」のラストシーンの舞台となった大聖堂があります。
ベルギー北部のフランドル地方に位置するアントワープ。古くから商業の街として栄えた大都市ながらも、中世の街並みも残り華やかな雰囲気が漂います。
街の中心にあるマルクト広場近くに佇む、ゴシック様式が美しい「アントワープ聖母大聖堂」。高さは約123mもあり街のランドマークにもなっています。この大聖堂こそ「フランダースの犬」のあの悲しいラストシーンの舞台なのです。
建設工事に約170年をかけ1521年に完成したアントワープ聖母大聖堂。内部は高い天井と優美なアーチと柱が織りなし、厳かな雰囲気。
ステンドグラスから穏やかな光が差し込み、白い壁や天井をさらに美しく魅せています。
この大聖堂では主人公ネロがずっと憧れていた、巨匠ルーベンスの作品を鑑賞することができます。こちらは主祭壇に掲げられている「聖母被昇天」。ネロは牛乳配達が終わった後、ほぼ毎日この絵を見るために大聖堂を訪れていました。
ネロとパトラッシュが最後に見た「キリスト昇架」と「キリスト降架」。物語の中でこの2枚の絵は普段カーテンで隠されており、銀貨を払わなければ見られなかったのですが、ネロが訪れたクリスマスの夜にはカーテンがかかっていなかったのです。
ずっとこの絵を見たかったネロは「ああ、とうとう見たんだ。ああマリアさま、僕はもう思い残すことはありません」と言い、力尽きてしまいます。その後パトラッシュとともに、天使に囲まれて昇天するあのシーンは思い出すだけで涙が出てくる人も多いのではないでしょうか?
ステンドグラスから柔らかな光が差し込む主祭壇。ここに立っているとフィクションとは言えど、思わずネロとパトラッシュの姿を思い浮かべてしまいます・・・。
アントワープはブリュッセルから鉄道で約1時間。ベルギーを旅することがあれば、あの悲しいラストシーンの舞台となった、美しく荘厳な大聖堂を訪れてみてはいかがでしょうか?
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