現在フランスでは、公務員改革、国鉄(SNCF)の特権的な優遇措置廃止への抗議に対して、大規模なストライキが行なわれています。 国鉄は4月から6月までの間に36日間ストライキを行うと発表しています。
ストライキの国フランスでは、ここまで大規模なストライキは珍しいものの、年に何回かストライキが行なわれることは当たり前。ストライキがほとんどない日本で育った筆者にとって、フランスのストライキに対して不思議に思うことが多く、文化の違いについて考えさせられる機会の一つです。在仏10年の中でびっくりしたフランスのストライキについてお話します。
国鉄だけでない、学校の先生もストライキをする
フランスの幼稚園、小中学校、そして高校では、先生がストライキをすることがあります。日本で先生がストライキをするなんてことはありえないので、ストライキのため学校がお休みになるという連絡を二、三日前にもらったときは、正直驚いてしまいました。急なストライキで、外で働く親は仕事をどうするんだろうと思ったら、ストで学校がない間は市が学童保育として子どもを預かるというフォローをしていました。
保育園のストライキ
ストライキは保育園でもありました。筆者がまだ通勤で仕事をしていたときは、子どもを保育園に預けていました。保育園のストライキもまた、二、三日前に連絡がくるのみ。保育園では、フォローも何もないので、ストライキを決行されると、親も有給を取らなければなりません。多いときは、月に何度かストがあり、本当に困ったものでした。
ストライキが長引き、大学の授業がほとんどなかった
筆者がフランスの大学の学生だった頃、半年ストライキでほとんど授業がないということがありました。中にはバリケードで封鎖した大学も。筆者の大学はそこまでではなかったのですが、教授たちはなぜストライキを行うのかと説明をするのみで、その後何週間と授業がありませんでした。中にはストを行なわない先生もいたのですが、過激な学生が授業に乗り込んで、先生と激しく口論をするなんてことがありました。全く授業がない教授の授業をいくつか取っていたので、単位は無事取れるのだろうかと心配していましたが、レポート提出をすれば単位を与えるという救済策を取ってくれました。
郵便局のストライキで郵便物が届かない!?
過去フランスでは郵便局のストライキが行なわれたことがありました。郵便局でストがある間ももちろん郵便物は送られてきます。その間郵便物はどうするのでしょうか。2018年1月から行なわれた地方都市レンヌの郵便局のストライキでは、35万通の郵便物が配達待ち状態であるとニュースになりました。
基本的にストライキ後に配達されるようですが、あまりに膨大な数の郵便物が溜まってしまった場合は、届けられなかったというケースも耳にします。一体郵便物はどこへ行ったのでしょうか。
フランス人はストライキに寛大
国鉄のストライキが多いフランスでは、一般市民にも少なからず影響があります。ストを起こすことに対して、フランス人は不満がないのかと疑問に思いますが、フランス人の反応を見ていると、ストライキに関して寛容ということがわかります。ストライキがあるたびに「またか」という反応のみ。「権利を主張するのは当たり前」なフランスでは、ストライキに一定の理解を示しているようです。
ストライキ後のお詫び、国鉄からは定期券の割引があった
国鉄のストライキが長引くことは何年かに一度は必ずあります。電車通勤の人々にとっては、その間不便を強いられます。国鉄は、そのお詫びに、定期券を割引するということがありました。
権利を主張するのは当たり前なフランス。政治や労働条件に対して、自分たちの意思を表明することで、様々なことを勝ち得てきました。このようなフランス人の行動を見ていると、ここは革命を起こした国なのだということが実感されます。
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Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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