古い資料を調べていると、江戸時代の旅行者が旅の食料として、糒(ほしいい)、あるいは干し飯を携帯して食べていたという記述がありました。
見慣れない漢字なので漢字辞典を調べてみると、「ほしいい」という読みの漢字は5つ。対応の字の語源の解説には、見た通り「米を備えてとっておく」という意味から来ている言葉だと書かれていました。
そこで今は平成の現代ですが、糒とはどのような食べ物なのか、レシピに沿って実際に作ってみましたので、紹介したいと思います。
糒(ほしいい)作りはカビの発生に注意

漢字辞典に書かれた糒(ほしいい)の意味は、
<飯を干して保存できるようにしたもの。旅行や軍隊で食料にしたもの。乾糧>(小学館『漢字源』より引用)
とあります。『広辞苑』には、
<乾燥して貯えておく飯。水に浸せば、すぐに食べられる>(岩波書店『広辞苑』より引用)
とあります。この説明から分かるように、糒は干したご飯で、レシピは極めてシンプル。
1. 米を炊く、あるいは蒸す
2. 天日で干す
3. (場合によっては砕いてから)水、またはお湯を注ぎ、食べる
米を炊くのか、蒸すのか、砕いて食べるのか、そのまま食べるのかは必ずしも一定という話ではないようですが、米を炊いてから作ってみた筆者の感想としては、乾燥だけを考えると蒸した方が早いです。
酒米も炊くのではなく蒸さないと、水分量が多くなりすぎていい日本酒が造れないと酒蔵の人から聞いた覚えがありますが、たっぷりの水に浸してから炊くと、ご飯を天日干しで乾燥させるまでに2~3日かかりました。
しかも筆者は梅雨の時期に作ったせいか、玉になったお米の内部の乾燥に時間がかかってしまい、その部分にカビが生える始末・・・。お米は干す前に軽く水で洗い、さらさらにして平らに広げてから干した方が、早く乾燥ができます。
天日で干すときは竹ざるなどを利用してみる

干すときのポイントですが、陶器の器よりも、ざるなど通気性のいい道具に移した方が、自然乾燥が進みます。金物のざるよりも竹ざるの方が余計に早く感じましたが、竹がお米の水分を吸ってくれるからでしょうか。いずれにせよ通気性のいい道具で乾かしたいです。
ちなみに筆者は天日干しするとき、「虫がつくんじゃないのか」などとハラハラしてしまいました。江戸時代の人は構わずに天日干ししていたみたいですが、気になる場合は、何かハエ帳(ハエ入らず)のようなネットを用意して、乾燥中の米に虫が付着しないように工夫したいですね。
お湯を入れると、歯ごたえのあるおかゆのような食べ物になる

乾燥した糒(ほしいい)は、わが家の炊飯器の周りに落ちている乾燥したお米と味わい、食感に大差がありませんでした。口に入れて何も考えずにそしゃくすると、硬くて歯が欠けそうになります。
もちろん、しばらく口に入れて唾液で戻していると、お米の甘みが感じられてきますが、量を食べられるかと言えば疑問で、旅先では急いでご飯をかき込み、旅路を急ぐ場合もあるはずです。一部の記述には、砕いて粉状にすると書かれていましたが、乾燥したお米はすりこ木とすり鉢では容易に砕けません。その意味では器に入れ、お湯を注いで戻して食べた方が、少し硬い食感は残りますが、スピーディーに量を食べられます。
さらに、何とかおいしく食べられないかといろいろ試してみたところ、パーフェクトにマッチする相棒として、塩昆布との組み合わせを発見しました。塩昆布も保存性、携帯性が高い食べ物です。塩昆布の塩味と昆布のうまみが糒に豊かな風味をプラスしてくれて、とてもおいしく食べられました。
もちろん現代の旅で糒を持参するとは考えにくいですが、例えば登山の際の非常食として、震災の備えとして糒と塩昆布を用意しておくと、何かあったときに、お湯さえあれば食べられますから、便利ですね。
以上、江戸時代の旅人が携帯した糒の作り方と、糒の味わいを高める塩昆布との組み合わせを紹介しましたが、いかがでしたか? 食べきれないで余ったご飯を、糒にしてしまうといった方法が現実的かもしれませんね。

[All photos by Masayoshi Sakamoto]

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
【7月7日新発売】「パフェ×かき氷」いいとこ取りの新感覚スイーツ・J.S
Jul 1st, 2022 | mimoru
2022年7月7日(木)から、パンケーキショップ「J.S. PANCAKE CAFE」の全国9店舗がそれぞれ個店限定メニューを提案する“地域密着”の人気企画がスタートします。夏のひんやりスイーツとして「パフェ」と「かき氷」のいいとこどりをした新感覚の「パフェ氷」。個性豊かなフレーバーやトッピングに注目です。
「ブラックモンブランサンデー」 出た!なぜ耳せん付き?どこで売ってる?“
Jul 1st, 2022 | TABIZINE編集部
あの「ブラックモンブラン」と「ロールアイスクリーム ファクトリー」が異例のコラボ! “食感や音までおいしい”「ブラックモンブランサンデー」を2022年7月1日(金)から7月15日(金)まで「ロールアイスクリーム ファクトリー」原宿・表参道本店ほか限定ストア含む全国にて販売します。音に集中して食べられるようにと、「ブラックモンブランサンデー」を購入すると、“耳せん”がプレゼントされるそうです。なんとも気になる進化系ASMRアイスをご紹介!
「鈴木敏夫とジブリ展」2022東京展ルポ!初公開『千と千尋の神隠し』油屋
Jun 30th, 2022 | autumn
「鈴木敏夫とジブリ展」が東京で3年ぶりに開催! 2022年7月1日(金)~9月7日(水)、東京・天王洲の寺田倉庫にて行われます。『千と千尋の神隠し』に登場する「油屋」をモチーフとした初公開の大型空間や、8,800冊におよぶ鈴木敏夫の巨大本棚など、見どころ満載。一足早く鑑賞してきたので、気になる内容を詳しくご紹介します!
【実体験ルポ】サウナーの聖地「荻窪なごみの湯」のロウリュウがすごかった
Jun 30th, 2022 | mimoru
荻窪駅西口から徒歩1分の距離にある「荻窪なごみの湯」。温泉好きやサウナ好きは知っている人も多いのでは? 23時間営業であり、さらに男女合わせて5つのサウナ室と3つの岩盤浴を備えるスーパーな温泉施設なんです。今回は人気の岩盤浴とサウナを両方体験してきました! 温泉の紹介まで盛り沢山なので最後まで読んでくださいね。
【新作アイス実食】『ローマの休日』登場の「ジョリッティ」から桃ジェラート
Jun 30th, 2022 | autumn
イタリアの老舗ジェラートブランド「Giolitti(ジョリッティ)」。イタリア王室も御用達の人気ジェラートは、自然由来の良質な味わいで世界にもファンが多いんです。今回は、本国と同じジェラートの味を楽しめる有楽町の「Giolitti Café」で、日本の桃を使った新作ジェラートを、一足早くいただきました。こだわりあふれる味わいを実食ルポしていきますよ。
期間限定「午後の紅茶」ティースタンドが渋谷にオープン!キラキラの映えメニ
Jun 30th, 2022 | autumn
「キリン 午後の紅茶」のティースタンドが「午後の紅茶 HAPPY TEA STAND #キラキラ午後ティー」としてSHIBUYA109渋谷店にオープン! 2022年7⽉15⽇(金)~8⽉14⽇(日)までの期間限定です。パールパウダーやジュレ、金箔を使った、キラキラとした見た目を楽しめるオリジナルメニューが登場。ひんやりと冷たいメニューは、暑い夏にぴったりですよね。
【東京駅限定お土産ランキング】エキュート・グランスタの定番手土産スイーツ
Jun 30th, 2022 | Sayaka Miyata
人気商品や話題のスイーツなど、たくさんのお土産が集う「東京駅」。なかでも、東京駅でしか買えない限定品は、注目したいお土産のひとつですよね。そこで今回は、東京駅のエキナカ商業施設「エキュート」「グランスタ」で販売する東京駅限定の定番スイーツを対象とした「東京駅限定 定番手土産スイーツ 売上ランキングTOP10」を発表します! どれも東京駅改札内で購入できるので、お土産選びの参考にしてみてくださいね。
【渋谷ランチ】まるで隠れ家!ゆっくりできるおしゃれカフェ「アティックルー
Jun 29th, 2022 | mimoru
100年に1度の再開発が行われ、日々様子が変わっている「渋谷」。次々と新しいお店がオープンする中、どのお店に行こうか悩んでしまう人も多いのでは? 今回は、入れ替わりの激しい渋谷の街で10年続く老舗カフェに行ってきました。隠れ家のような店内は、渋谷にいることさえ忘れてゆっくりすることができるおしゃれ空間です。ひとりランチにもおすすめな「アティックルーム 渋谷」の人気ランチメニューランキングも聞いてきましたよ。
【癒しの体験型アート施設】「自分のため」のフラワーアートを「NAKED
Jun 29th, 2022 | autumn
東京・有楽町マルイ8階にある常設施設「NAKED FLOWERS FOR YOU(ネイキッドフラワーズフォーユー)」。国内外で活躍するクリエイティブカンパニー「NAKED,INC.(ネイキッド)」が手掛ける同施設は、1人1人にパーソナライズされた体験が楽しめる、進化系フラワーアート施設です。最初に行うパーソナル診断の結果をもとに、アロマの香りに癒されながら瞑想体験をしたり、メディカルチョコレートで栄養補給も。「自分のため」に繰り広げられるアートの世界を実際に体験してみました!
【渋谷ヒカリエ ShinQs】上品な大人の味!期間限定の抹茶かき氷を「然
Jun 29th, 2022 | autumn
東京・渋谷ヒカリエ ShinQs5Fにある「茶庭 然花抄院(ぜんかしょういん)」。こだわりの和スイーツなどを味わえるこちらでは、期間限定のかき氷が人気です。今回は、4月中旬~9月中旬まで販売されている「然ノ氷 宇治金時」を実食してみました。抹茶の香りが広がる上品なかき氷は、夏にこそ味わいたい逸品ですね。