お願い上手のトラベル英会話【観光地編】「日本語の観光パンフレットが欲しい」は何て言う?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 30th, 2018

旅先で何かをお願いしたいときに使える、ネイティブチェッカーお墨付きの英会話を連載でご紹介。今回は海外旅行先の観光地でのお願い英会話です。「入場チケットが欲しい」「お土産を買いたい」「日本語のパンフレットや音声ガイドが欲しい」は何て言う?

「日本語の観光パンフが欲しい」は何て言う?トラベルお願い英会話【観光地編】

海外旅行で使えるお願い表現を考える連載。今回は観光地で使えるお願い表現です。基本的な考え方は連載の初回『お願い上手のトラベル英会話【飛行機編】「座席を倒してもいいですか?」は何て言う?』にまとまっていますので、この回から読み始めた方は、最初の記事を読み返してみてくださいね。

ちなみに英文は全てネイティブスピーカーのチェックを受けています。条件が合えばもちろん丸暗記でも使えますが、できれば毎回、文中にあるようなプロセスを経てから、口にする練習をしてみてくださいね。


 

入場チケットが欲しい、お土産が欲しいは「○○、プリーズ」でオッケー!?

「日本語の観光パンフが欲しい」は何て言う?トラベルお願い英会話【観光地編】

最初は入場チケットを買いたい、お土産を売店で買いたいなど、何かが欲しいとお願いする方法から。

「座席を倒してもいいですか?」は何て言う?トラベルお願い英会話【飛行機編】

この場合、相手は初対面ですが、「チケットが欲しい」、「お土産を買いたい」というこちらのお願いに対して、売り場のスタッフは応じる義務があります。そこで関係はD。

「日本語の観光パンフが欲しい」は何て言う?トラベルお願い英会話【観光地編】

では、「チケットが欲しい」「お土産が欲しい」というお願いは、相手にとって迷惑であったり、負担があったりするお願いでしょうか。答えは完全にノー。ですから、同じDでもD-に調整して、普通のお願いに格下げしても問題ありません。

普通にお願いするのですから、お願いの前後に言葉を尽くして相手の心をケアしたり、動かしたりする必要もありません。

「Hello.」

と呼びかけ程度に済ませて、

「Two tickets, please.」

「Two packs of chocolate, please.」

でも、全く問題ありません。繰り返し述べてきましたが、英語は主語と動詞と目的語と型が整っている文章が基本で、言わないでも分かる言葉を省略するほどに、カジュアルに、フランクになっていきます。「Two tickets, please」では居心地が悪い場合は、

「I like to buy two tickets/two packs of chocolate, please.」

「I’ll have two tickets/two packs of chocolate, please.」

などと、主語、動詞を出して型を整えると少し丁寧な響きになります。Wantはちょっと「欲しい」「したい」という気持ちが露骨に伝わる言葉ですから、want toではなくlike toで、少し知的で大人びた表現を選びたいです。最後に笑顔で、

「Thank you.」

の言葉も忘れずに。ちなみに「ticket」の発音は、「チケット」ではなく、「ティキット(発音記号:tíkɪt)」ですね。

 

日本語のパンフレットや音声ガイドが欲しい

「日本語の観光パンフが欲しい」は何て言う?トラベルお願い英会話【観光地編】

海外旅行先で訪れた美術館などでは、作品の解説が現地の言葉で表示されていると思います。なんとなく分かればいいのですが、専門用語が多く、意味が分からないケースもあるはず。「日本語のパンフレットがありますか?」「日本語の音声ガイドがありますか?」などと聞くには、どうすればいいのでしょうか。

「座席を倒してもいいですか?」は何て言う?トラベルお願い英会話【飛行機編】

この場合、美術館のスタッフは初対面。では、「日本語の音声ガイドが欲しい」とお願いされたら、美術館の側には用意をする義務があるでしょうか。もちろん用意があれば手渡す必要があるでしょうが、必ずしも日本語版のパンフレットや音声ガイドを用意をしなければいけない義務はないはずです。そこで関係はB。

「日本語の観光パンフが欲しい」は何て言う?トラベルお願い英会話【観光地編】

しかし、仮に相手に用意があれば、手渡す作業などたやすいと考えられます。こちらのお願いが相手に迷惑をかけたり、大きな負担を強いたりするとは考えにくいです。よって同じBでもB-なので、「かなり丁寧にお願い」を「丁寧にお願い」に格下げしても問題ないはずです。

「Excuse me.」

「Hello.」

などと呼び掛けて、

「Would you have any Japanese brochures or pamphlets?」(日本語版のパンフレットはありますか?)

「Would you have a Japanese version of the audio guide?」(あの音声ガイドに日本語版はありますか?)

などと、丁寧なお願いの表現の代表例として中学校の教科書で習った「Would you」を使っても質問できます。『お願い上手のトラベル英会話【ショッピング編】「小分け袋が欲しい」は何て言う?』でも触れた通り、Will youから文章の時制を1つ遠ざけて、どこか控えめで遠慮がちな雰囲気を出した表現になりますね。

「日本語の観光パンフが欲しい」は何て言う?トラベルお願い英会話【観光地編】

ちなみにbrochureとpamphletの違いですが、手元の英英辞書にはpamphletの説明として、

<a very thin book with a paper cover>(『Macmillan English Dictionary』より引用)

(紙表紙がついたとても薄い本)

と書かれていて、brochureの説明には、

<a small magazine containing details and pictures of goods or services that you can buy>(『Macmillan English Dictionary』より引用)

(小さな雑誌で、購入可能な商品、またはサービスに関する詳細、および写真が掲載されている)

とあります。どちらも似たような感じですね。英日辞典を調べると、pamphletについては、

<パンフレット、小冊子>(ニューヴィクトリーアンカー英和辞典より引用)

とあり、brochureについては、

<パンフレット>(同上)

と書かれています。やはり似たような感じ。それでもヒントとして、brochureには元々がフランス語だと辞書に書かれていました。そこで本棚の奥から『プチ・ロワイヤル仏和辞典』を引っ張り出してきてbrochureを調べてみます。すると、

<(仮綴(かりと)じの)小冊子。パンフレット>(『プチ・ロワイヤル仏和辞典』より引用)

とあり、パンフレットと同義だとされていました。ただ、その直後に参考として、折り畳みのパンフレットはdepliantという言葉が適切だとあります。ランス語のdepliantを仏英時点で調べるとleaflet。Leafletをあらためて英英辞書で調べると、

<a printed sheet of paper, usually folded, that is provided free and gives information about something>(『Macmillan English Dictionary』より引用)

(印刷された紙のシートで、大抵の場合、折りたたまれていて、無料で提供され、および何かについての情報を提示する)

とあります。紙1枚、あるいは大きな紙を折り畳んだような観光案内は、pamphletやbrochureではなく、leafletと言えるのかもしれませんね。

補足としてbrochure、pamphlet、leafletの違いについて、今回の英文チェックをお願いしたネイティブスピーカーに聞いてみると、

「That is a tough question.」(ちょっと難しい質問だ)

との答えがありました。Leafletに関しては、1~2ページで折りたたまれているような感じ。Pamphletはたいてい、1つのトピックについて扱った冊子で、brochureはもっと多彩な情報を扱っている場合が多いと教えてくれました。

「観光用パンフレット」だと、基本的に観光についてのトピックだけを扱っていますから、pamphletが適切ではないかとの意見でしたよ。

 

以上、海外での観光地で使いたいお願い表現を考えましたが、いかがでしたか? まずは相手との関係、相手がお願いを引き受ける義務の有無を考え、さらにはこちらのお願いが相手にもたらす負担の大きさを考えながら、表現を調整してみるのでした。必要に応じてお願いの前後で言葉を尽くし、相手の心を動かします。

英語の文法がちょっとくらい間違っていても、言葉が間違っていても、基本的なスタンスが間違っていなければ、相手には失礼に響きません。声をかける前にきちんと検討してから、口にしてみてくださいね。

お願い上手のトラベル英会話【観光地編】「日本語の観光パンフレットが欲しい」は何て言う?

[All photos in shutterstock.com]

※掲載した英文は、全てネイティブスピーカーのチェックを受けています。

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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