近頃は訪日外国人が地方にも足を運ぶようになってきました。各都道府県においても、2020年に向けてインバウンドへの取り組みに力を注いでいます。そんな中、外国人旅行者に人気がない都道府県はいったいどこでしょうか?ランキングデータとともに、なぜその県の外国人旅行者が少ないのか、理由を探ってみたいと思います。
ワースト3の都道府県は?
人気のあるなしといっても、様々な計り方があるかと思いますが、今回は宿泊者の数を指標とすることにします。
観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」によると、2017年の1年間に外国人延べ宿泊数が少なかったのは、以下の3県でした。
ワースト1位 島根 47,860(前年比 -17.9%)
ワースト2位 福井 61,160(前年比 +12.5%)
ワースト3位 高知 75,410(前年比 +0.0%)
島根県に関しては、外国人延べ宿泊者数全体の0.06%となっています。
全体的な観光客の数は?
上記の県は、どこも海に面していて、魚がとても美味しいところですよね。
観光地としても、島根は出雲大社と足立美術館の美しい庭園、福井は永平寺と東尋坊、高知には四万十川があり、日本人にとっては魅力を感じるところばかりです。
全体の延べ宿泊者数(都道府県別延べ宿泊者数)からすると、島根はワースト6位、福井はワースト8位、高知はワースト3位で、これも関係あるでしょう。
もしかして、客室が足りないから泊まらないのでしょうか。客室の稼働率をみると、島根は58.2%、福井41.2%と高知は47.2%なので、部屋が足りないわけではありません。
交通の便は?
交通の便はそこまで便利とはいえません。いずれも今のところ新幹線が通っていない都道府県になります。また福井には定期便が発着する空港がありません。島根の出雲縁結び空港と高知竜馬空港は、現在国際線の定期便がありません。
外国人からみた出雲大社
日本人とは感性が違うせいなのかと、ワースト1位島根が誇る出雲大社の評判を調べてみました。トリップアドバイザーのコメント欄です。
島根に最も多く宿泊している台湾人のコメントをGoogle翻訳でみたところ、「この寺はとても美しく、とても古くて日本の味があります」「日本で最も重要で巨大なしめ縄が壮大」「出雲大社全体の気質は他の神社とは違うので、ここを訪ねることを強くお勧めします」とあり、なかなかの評価です。日本人が抱く感想とも同じようなものでしょう。
また中国人もスイス人も、神無月の時期に神々が集まるという神話に魅力を感じていました。
ただ、そのスイス人は、「どの建物の中にも入れない」「あまり見るものがない」「小さな博物館は何が展示してあるか見えず、英語もあまり見当たらなかったので入らなかった」としています。博物館とは島根県立古代出雲歴史博物館のことでしょうか。
台湾人の旅行情報源
また、この3県については、いずれも宿泊数が一番多いのは台湾人です。台湾人が旅行情報源としているのは、以下の通り。
1位 個人のブログ 36.8%
2位 日本政府観光局ホームページ 23.8%
3位 旅行会社ホームページ 23.1%
対策は?
交通の便はすぐには改善できないこと。また行きたいと思えば、たとえ不便でも行くのではないかと思われます。
宿などの受け入れ態勢も、お客が来なければ積極的に進みませんが、進めないと旅行者も訪れません。
魅力はあるはずなので、とにかくその存在を知られることが重要でしょう。
いずれの都道府県も、台湾の旅行者などに直接誘致活動をしているようです。たとえば福井県は永平寺を「ZEN」ブランドとして売り込んでいて、結果が出てきているとか。
台湾についていえば、一番情報源にしている個人のブログは、訪れる人が少なければ書かれることもないわけなので、来てもらったら書いてもらうような施策が必要でしょう。
参考
[観光庁 宿泊旅行統計調査 平成29年1月~12月分 報道発表資料]
[観光庁 報告書(第2編)平成 29 年における訪日外国人の消費動向]
[トリップアドバイザー]
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