日本発祥の意外なものをご紹介する「知られざるジャパンクオリティの世界へ。“日本発祥の意外なもの”」特集。今回は日本独特の味覚表現について。
スシにラーメン、カラオケにコスプレなど、海外で知られる日本語。そのひとつに「UMAMI」が挙げられます。甘味・酸味・苦味・塩味と並ぶ味覚のひとつ「うま味」のこと。
なぜ日本語になっているのかというと、ほかの言語にはこれに相当する言葉がなかったから(!)。ご存知でしたか? 意外に思われた方は、ぜひ読み進めてみてくださいね。
海外の雑誌やウェブに登場する「UMAMI」
セレブリティ・シェフが登場する海外の料理番組ほか、フード雑誌や食品関係のウェブサイトなどにも頻出の「UMAMI」。
米リプトンHPよりスクリーンショット (C)sweetsholic
例えば、紅茶ブランド「リプトン」のホームページを見てみると、アメリカ国内で発売中の緑茶の説明書きやフランスのスーパー「カルフール」のフリーマガジン『City』にも、「UMAMI」というキーワードが登場します。
(C)sweetsholic
うま味をサクッとおさらい
日本料理で天然のうま味成分といえば、カツオや昆布の出汁。料理の味に深みとおいしさをプラスする、大切な要素です。
せっかくみそ汁を作ったのに、肝心なダシを忘れてしまったとき。「あれ? なんだかぼやけた味だな」と思ったことはありませんか。これこそが、うま味の感覚なのです。
発見したのは日本人科学者
さて、そんな出汁に隠されたヒミツの正体を明らかにしたのが、東京帝国大学(現・東京大学)の池田菊苗博士。1908年に、グルタミン酸が昆布だしの主成分であることを発見します。翌年1909年に発表した論文の中で、その味を「うま味」と名付けたのです。
さらにうま味の研究を続けた結果、博士はうま味の成分が「グルタミン酸ナトリウム」であることを突き止めます。この功績により、池田菊苗博士は「日本の十大発明家」の一人に選定されています。
うま味が国際語になったきっかけ
研究者を中心に、うま味の学問的追究を行う「うま味研究会」。ホームページを見てみると、1985年に開催した国際シンポジウムをきっかけに「UMAMI」は国際的な学術用語して認められることとなった、という記載があります。
世界で食べられている、天然のうま味にはどんなものがあるのか、ちょっと気になりますよね。その話は次回以降、改めてお伝えすることにしましょう。
過去記事『海外から理解されにくい日本語の「味覚」3選〜「滋味」って何!?〜』もぜひチェックしてみてくださいね。
[umamikyo.gr.jp]
[ajinomoto.com]
[jpo.go.jp]
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