旅行先での楽しみ方は人によって様々ですが、自然を感じる旅が好きな方は「南極」を旅先の候補として考えたことはありますか?観光先としてのイメージがあまりない南極ですが、実は南極ツアーは数多く存在し、手つかずの自然を肌で体感できるツアー内容が人気となっています。今回は「南極旅行」のツアーで人気の観光スポットと南極への行き方、気になるその費用についてご紹介します。
南極ってそもそもどうやって行けるの?
日本から南極に行く場合には、日本出発から帰着まで全て含まれたパッケージ旅行と、南極クルーズだけを予約して、ツアー集合場所までの他の手配を自分で行う個人旅行の2種類。南極探検クルーズでは客船のみを利用するツアーと、飛行機と客船を利用するツアーがあります。
客船のみのツアーのほとんどはアルゼンチンの最南端にあるウシュアイアから出港し、約2日かけてドレーク湾を通過し、南極大陸に上陸します。船内では南極旅行の注意事項や南極講座が開催され、船の中で過ごす時間も旅の楽しみ。
飛行機と客船を使うツアーの多くは、チリのプンタ・アレナスからキングジョージ島まで飛行機で移動し、そこから客船に乗り換えて旅を続けます。片道約2時間で南極に到着できるというメリットのある反面、天候に左右されやすく、スケジュールが大幅に遅れることもあるそう。天候に問題がなければ短期間での旅行が可能となりますが、チャーター機を利用するためより高額になります。
現地ガイド、ツアー添乗員、企画担当者が選んだ南極観光スポットランキング
人工物がほぼ無い南極の魅力は何と言っても目の前に広がる絶景。阪急交通社が実施した南極経験豊富な方を集めた座談会では、南極の中でも特に美しいスポットとして以下の場所が選ばれました。
1位 パラダイス湾
(C) @Press
大自然に囲まれた南極大陸の中でも「天国のような美しさ」と言われるパラダイス湾。晴れている日には海面が鏡のように反射し、周囲の雪山が海面に鮮やかに映り込みます。快晴で無風、波が穏やかという条件が揃う確率は低いそうですが、運がよければ一生忘れられない絶景になること間違いないようです。またパラダイス湾はカニクイアザラシが見られる場所としても知られており、漂う氷の上にはほぼ必ず乗っているそう。
2位 ポートシャルコー
(C) @Press
ポートシャルコーは棚氷から流れてくる氷山が座礁する場所で、南極らしい美しい光景が広がる場所。上陸もできるポートシャルコーは自然に繁殖するジェンツーペンギン、あごひげペンギン、アデリーペンギンの3種類のペンギンが生息する特別な場所で、ペンギンが営巣地と海岸を歩くために踏み固めてできる「ペンギンロード」や、そこを歩くペンギンを見ることもできるそうです。
3位 ルメール海峡
(C) @Press
ルメール海峡は「地球上に存在する最も美しい難所」とも呼ばれ、全長11km、幅は一番狭いところで800m以下、両岸には300mの岸壁に囲まれた荘厳な風景を堪能することができます。海峡の両岸にある山は傾斜が強く積雪できないために岩肌が露出しており、大陸の98%が雪か氷に覆われている南極でも数少ない大地を感じられる場所でもあるそうです。
南極旅行に必要な費用はどれくらい?
南極旅行はパッケージ旅行か、個人旅行か、また旅行の時期や期間、行き先や客船の部屋タイプによってその費用が大きく変わってきます。
数多くある南極ツアーのうち、南極半島沿岸並びに南極圏を周るコースは全体の約9割を占めるそうです。クォークエクスペディションズが提供するツアーでは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス発、11日間コースの一番安い客室タイプ(内側トリプル)で費用はUS$6895(約80万円)となっています。
サウスジョージア島、フォークランド諸島を周るツアーでは、南極半島地域では見ることのできないキングペンギンやゾウアザラシの群れを見ることができます。これらを周るツアーは、クルーズ旅行期間が15日から20日とやや長めになり、ポセイドンエクスペディションが提供するツアーではアルゼンチンウシュアイア発着の一番安い部屋でUS$15,995(約185万円)となっています。
南極大陸内陸に行くツアーでは、チリのプンタ・アレナスから専用の航空機に乗り、特設されたユニオングレーシャーベースキャンプに泊まりながら南極点やコウテイペンギンの営巣地を観光するという内容になっています。ALEが提供する6日間の南極点へ向かうツアーは、チリのプンタ・アレナス発着でUS$49,750(約570万円)となっています。こちらは少人数制のツアーのため料金も非常に高額になりますが、毎年キャンセル待ちが出るほど人気だそうです。
これらご紹介したツアーには、さらに追加で日本からチリまたはアルゼンチンのツアー発着地までの往復航空券、海外旅行保険などが掛かってきます。また日本発着のパッケージツアーの場合、ツアー会社の手配料が別途追加となります。(ツアー料金は全て2019年1月開催予定のもの)
地球の反対側にある日本から行こうとすると決して安くはありませんが、一生に一度の経験と、人工物が何もない手つかずの大自然を堪能する旅行内容として南極旅行を高いか安いかと捉えるのは人それぞれ。昨シーズンは世界中から3万8千人の観光客が南極を訪問し、そのうち日本からは約400人が参加したそうです。南極ツアーの需要は年々増加しており、クルーズ船の数も増え、南極観ができるチャンスはさらに増えていくと見られています。
あなたが南極に行ける日も、そう遠くは無いのかもしれません。
参考
[@Press]
[南極北極アドベンチャー Polarcruise]
[株式会社クルーズライフ]
[Photos by shutterstock]