
旅行中、なにかと便利な電車移動。日本の交通機関は常に時間通りに運行しているのが当たり前なので、海外に行くと遅延でバタバタしたり、アナウンスがなくて戸惑ったりなんてこともありますよね。フランスの主要都市を結ぶ高速列車TGVは、日本の新幹線のような存在ですが、出発するホームの番号がギリギリまでアナウンスされない事もあるなど、ハラハラする事態が発生することも。現地でなるべく余裕をもって行動できるよう、TGVを利用する際の注意点や便利なコツをお教えします。
TGV基礎知識

TGVとは、フランス国有鉄道SNCFが運行する高速列車です。最高時速320kmと言われ、例えばパリから南仏のマルセイユまで最速で約3時間。飛行機だと約1時間15分なので、空港から中心部への移動時間や飛行機のチェックイン時間などを考えると、街の中心地を起点とするTGVはとても便利に利用できます。

ちなみに、TGVは2017年に「INOUI(イヌイ)」と名称を変更しましたが、長年親しまれたTGVという愛称が浸透していて現時点ではなかなか定着しておらず、ロゴも「TGV INOUI」と表記されていることが多いです。今後時間をかけて新しい名称が浸透してくるかもしれません。
出発ホームがギリギリまで分からない!そんな時は?

TGVを利用する際、ハラハラするのが出発ホームの案内。駅構内の電光掲示板でそれぞれの電車の出発ホームが表示されますが、他のローカル路線の特急列車などのホームが次々に表示される中、その前に出発するはずのTGVがなかなか表示されないことも多くあります。
まずは、駅構内のホームが大体どの順番に並んでいるのか大体の位置を把握しておきましょう。そうすると、表示されてからすぐにホームへ移動でき、慌ててホームを探すという時間のロスを防げます。
また、ホームに到着してから混雑する中で自分の乗る車両を探す時も、どの位置が何号車なのか見失いがちです。慌てずにホームにある電光掲示板で車両番号の位置を確認します。分からない場合はホームにいる制服を着た係の人にチケットを見せて方向を聞きましょう。
TGVは打刻の必要はありません

TGVの予約は全て名前や日付が明記され、座席指定のチケットが発行されるので、駅で打刻する機械(Compostage)を見つけて打刻する必要はなく、ネットで手配したチケットをそのまま持って乗車して問題ありません。社内で車掌さんが検札に来るので、その際にプリントアウトした予約確認書か、スマホの予約確認画面を見せてスキャンしてもらいます。TGVでは乗客用のWifiが利用できますが、万が一ネットに繋がらない場合のために、予約確認書をプリントアウトしておくか、PDFファイルをスマホ本体にダウンロードしておくと安心です。
2階建てのTGV、座席指定するなら1階?2階?

TGVの車両は2階建てになっています。2階にもスーツケース置き場はありますが、2階に持って上がるのは一苦労。予約の際に1階席を指定しておくことをおすすめします。

さらに、荷物置きについてもうひとつ。座席車両の入口付近が荷物置きになっていて、利用者が多いとすぐにスペースがなくなり、通路にはみ出して置いている人もいます。電車の振動で荷物が勝手に動いてしまったり、盗難のリスクも高くなってしまうので、荷物置きにちゃんと収納したいところ。

実は、TGVの座席車両の奥や中間にも荷物置きがあり、比較的そこにはスペースがある場合が多いので、車両の奥にある荷物置きを利用するのがおすすめです。目の届くところに荷物が置けるのでより安心に旅行できるはずです。
予約について
日本語で予約したい場合は、レイルヨーロッパや欧州エキスプレスで予約できます。日本語での問い合わせもあるので、安心して旅の準備ができますね。
ただ、料金や空き状況が違う場合があるので、TGVを運行するSNCFのサイト(英語)で直接手配してみるのもありだと思います。手数料はかかりませんし、会員登録の必要もありません。SNCFで直接予約する際にはメールアドレスを入力するので、ストライキや天気など何かあった場合は直接情報が送られてきて便利です。

さらに、先程の座席指定も、SNCFのサイトだと予約の際に簡単にできます。一等車ならシートマップで直接空いている場所を指定できます。2等車は1階か2階、窓側か通路側を選択できます。

車窓の風景に見とれながら、楽しい列車旅を送れますように!
[All photos by minacono]
Please do not use the photos without permission.
フランスの交通にまつわるHOW TOは、『【現地ルポ】活用してみよう! フランス長距離バス完全ガイド』『在住者が教える!フランスの地方を安く旅する方法』などもぜひチェックしてくださいね。

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
minacono ライター
日本とカナダで観光業界に勤務。旅行会社、現地ツアーオペレーター、航空会社、観光局、いろんな分野で旅と関わってきました。現在はフランス在住。美味しい食べ物とお酒がうまく出会った時すぐ感動する。犬好き。でも猫みたいな性格に憧れる。
【フランス旅行で食べるべき必食グルメ10選】仏在住者おすすめ!日本国内で
Feb 4th, 2023 | sweetsholic
旅行の楽しみといえば、現地ならではの食事。限られた日数だからこそ、おいしいものを選びたいですよね。そこで今回は、フランス旅行で必ず食べたいおすすめグルメをピックアップ。駐在員や日本からの出張者に好評を得ているもの、なおかつご自宅でも気軽に食べられる定番フレンチをセレクトしてみました。日本のフレンチ店でも見つかりやすいものばかり!
マネしてみたい!?フランス流、残暑を快適に過ごす4つのコツ
Aug 31st, 2022 | sweetsholic
記録的な熱波に見舞われた、2022年度のフランスの夏。今年は40℃を超える日も目立ち、外を歩けば汗だく、おまけに家にはクーラーなし(!)。フランス人はどのような暑さ対策をしているの? ということで、残暑を快適に過ごすフランスならではの方法を、現地よりレポートします。
エッフェル塔やルーブル美術館に長蛇の列!観光客が戻りつつあるパリの今
Jun 25th, 2022 | 北川菜々子
2022年6月10日より、日本ではツアー限定で外国人観光客の受け入れが再開されました。ウィズコロナ・アフターコロナにおいて、このように多くの国では入国制限が緩和され、観光客が以前のように渡航することが可能となっています。最近のニュースによると、世界有数の観光都市「パリ」でも、観光客がようやく戻ってきたと話題に。今回は、そんなパリの様子を現地からレポートします。
【フランスなるほど雑学13】シャンプーすると髪がパサパサに !?フランス
Jun 20th, 2022 | 北川菜々子
現地の人には当たり前なことでも、日本人からするとあっと驚いてしまうような雑学が世界にはあります。気がつけば在仏歴13年になる筆者も、びっくりしてしまうようなフランス人の行動や習慣、文化などに日々遭遇しています。理由や文化背景を知れば「なるほど、そうだったのか」と思わず納得してしまうフランスの数々の雑学。今回はフランスの「水」事情をお伝えします。
【フランスなるほど雑学12】サバイバルなフランスの「宅配事情」とは?
Jun 1st, 2022 | 北川菜々子
現地の人には当たり前なことでも、日本人からするとあっと驚いてしまうような雑学が世界にはあります。気がつけば在仏歴13年になる筆者も、びっくりしてしまうようなフランス人の行動や習慣、文化などに日々遭遇しています。理由や文化背景を知れば「なるほど、そうだったのか」と思わず納得してしまうフランスの数々の雑学。今回はフランスの「宅配便」事情をお伝えします。
フランスでクラフトビール醸造工房が人気の理由とは?現地から実情をレポート
May 26th, 2022 | 北川菜々子
フランスと言えば「ワイン!」とすぐに思い浮かべるぐらいのワイン大国ですが、実は近年、ビールの人気が高まってきています。スーパーにも大規模なクラフトビール売り場があるぐらいの流行りっぷり。そして最近では出来立てのビールが飲めるクラフトビール醸造工房で、バーのように飲むスタイルが定着しつつあります。実際にパリの近郊にあるクラフトビール工房を訪れてみたので、現地からレポートします。
【フランス歴史遺産探索6】美しいステンドグラスに魅了される「シャルトル大
May 19th, 2022 | 北川菜々子
ヨーロッパの中でも、有数の世界遺産を誇るフランス。ユネスコに登録されているような有名な世界遺産から、地元の人の間で有名な歴史遺産まで、フランスには紡いできた歴史が至る所に詰まっています。そんな歴史のロマンを目の前にすると、胸の高鳴りを感じられるほど。歴史遺産好きの筆者が紹介する歴史遺産探索シリーズ。「シャルトル大聖堂」をご紹介します。
【フランスなるほど雑学11】洗車もあまりしないし傷だらけでもOK!?フラ
May 4th, 2022 | 北川菜々子
現地の人には当たり前なことでも、日本人からするとあっと驚いてしまうような雑学が世界にはあります。気がつけば在仏歴13年になる筆者も、びっくりしてしまうようなフランス人の行動や習慣、文化などに日々遭遇しています。理由や文化背景を知れば「なるほど、そうだったのか」と思わず納得してしまうフランスの数々の雑学。今回はフランス人の「車」事情をお伝えします。
お花見はHANAMIというフランス語に!パリジャンも愉しむフランスの花見
Apr 25th, 2022 | 北川菜々子
最近フランスのメディアを見ていたところ、「HANAMI」という言葉を見つけました。その記事ではパリでお花見ができる場所を紹介していました。フランスでも、日本の花見が根付きつつある模様。丁度桜が満開だったパリ郊外のソー公園でのお花見の様子をレポートします。
パリでととのってみた!アラブの銭湯「ハマム」体験記
Apr 13th, 2022 | 北川菜々子
パリジェンヌの休日の過ごした方として、昔から定番の「アラブの銭湯ハマム」。近年、パリには多くのハマムができて、ちょっとした休日の贅沢として人気があります。フランスにはバスタブがない家も多く、ゆったりと身体を癒すことができません。筆者宅も例外にもれず……。最近疲れた身体を休めるべく、ハマムに行ってきました。