
なぜ旅をしなければならなかったのか

4年前の3月のことです。当時筆者は会社員で、非常に忙しい日々を送っていました。翌月4月の前半はわずかに閑散期で、そこを逃すと有休はしばらく難しいという状況でした。
そして手元には、日本国内や近場の海外に行けるくらいのマイルがありました。マイルの期限が迫っているわけでもなかったのですが、4月はローシーズン。少ないマイルでフライトを利用できます。
土日を合わせて3~4日間でどこに行くか?この旅するチャンスを逃したくないという思いはあったものの、ここに行きたい!というような熱い気持ちはなく。2週間ほど考えてもぴんと来ない自分自身にがっかりしながらも、海外ではなく国内でしっとり過ごしたい、ということだけは判明しました。
行き先を人に決めてもらう

そんな折、以前よく一緒に旅をしていた友人と食事をしました。
彼女はそのとき育児に忙しく、一緒に旅に行ける状況ではありませんでしたが、「今国内で旅するならどこに行きたい?」と聞いてみることに。すると、「高千穂か五島列島」という答えでした。
筆者はどちらにも行ったことがなく、なんとなく興味があるのですが、どちらにするか決められません。
そこで今度は、母に「高千穂か五島列島」のどちらに行きたいか聞いてみました。すると「五島列島」という答えが。理由は、高千穂には行ったことがあるけれど、五島列島には行ったことがないという単純なものでしたが、それで旅先を決めました。
一人旅で、人に行き先を決めてもらうなんて初めてでしたが、それもお告げのようで面白いなと思ったのです。
五島列島には、列島なだけにいくつも島がありますが、そのなかで二番目に大きい中通島(なかどおりじま)にしました。島の形が十字架の形をしていることに惹かれたからです。
五島列島・中通島

旅の手配をしたり調べたりしていくうち、少しやる気も沸いてきたのですが、そこまで期待しないまま現地へ。長崎まで飛行機で行って、行きは佐世保港から高速船で中通島へ。
港には、宿の迎えが来てくれていました。「マルゲリータ」というリゾートホテルです。到着してみると、白を基調としたホテルの建物の中を、ボーダーシャツを着たフレンドリーなスタッフがにこやかに働いています。
1日目はホテル内でリラックスして過ごすことに。夕日を眺めながらの源泉かけ流しの温泉で、移動の疲れを癒しつつ、夕食に向けて気分が高揚するのを感じます。
ホテルはかわいらしい建物で、いかにも女子好みなのですが、選んだのはホテル内にある五島の食材を使ったイタリアンの評判が良かったから。実際、カジュアルな雰囲気ながら、非常に味が良かったです。初日にいただいた五島牛や地元の野菜の美味しさに感激していたら、都内で働いていたというシェフが、「島豚もぜひ味わってほしい。TOKYO Xより美味しいかも」というので、翌日もホテルの夕食を堪能しました。
もちろん、島だけに魚は欠かせません。日中は魚を食べ、肉も野菜も魚もすべて美味しくてなんて島だ!と思いました。


食のことばかり書いてしまいましたが、五島列島は教会巡りが知られています。レンタカーで島を回ったのですが、どこの教会にも簡素で静謐な独特の雰囲気があって。隠れキリシタンとして迫害を受けた歴史や、その後も信仰を拠り所してきた島の信者のことを想うと、厳かな気持ちになりました。

そして、海は青く。五島列島の海がこんなに澄んでいるなんて、日本人は知っているのだろうか?と考えてしまったほど。きっと光の加減で、夏に近づけばもっとずっと美しいのでしょう。

島には神社もあります。木々が茂るさまがダイナミックでエネルギッシュです。
また忘れられないのが、レンタカー屋さんの女性スタッフのあたたかさ。いろいろな話をしてくれたり、地元の素材を使った手作りの雑貨をプレゼントしてくれたり。後日お礼の手紙を送ったら、素敵な手描きのポストカードで返事をくれました。
食・温泉・観光・海・人という要素が揃って、日本国内で一番満足した旅先だと感じました。人に決めてもらった旅先が、思いがけず最高の旅となりました。
[All photos by Shio Narumi]
五島列島については、以下の記事も要チェックです!
『祈りを捧げる島。長崎・五島列島を訪れるべき7つの魅力』
『【五島列島】1泊約1万円で海の幸グルメがおいしすぎる「旅館 前川荘」』
Shio Narumi ライター
イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。
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