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「キウイ・ハズバンド」とは、ニュージーランドにおいて、家事に協力的な良き夫を指す言葉。その語源は、ニュージーランドの国鳥キウイバードの生態に起因します。
『キウイバード』と『キウイ・ハズバンド』の関係
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ニュージーランドにのみ生息するキウイバードは、メスが卵を産み、雄が卵を温めて孵化さるというユニークな生態をもつ飛べない鳥。このキウイバードのオスの性質にちなんで、家事や育児に積極的に参加するニュージーランド人の夫を「キウイ・ハズバンド」と現地では呼ぶのだそうです。
キウイバード (C)Shutterstock
世界で初めて女性の参政権が認められた(1893年)ニュージーランドでは、現代でも女性の社会・政治参加が積極的。そういった国柄もあり、「キウイ・ハズバンド」はごく自然に家事や育児をこなし、家庭を支えてきた縁の下の力持ちとも言えます。
キウイ・ハズバンドに11の質問
キウイ・ハズバンドが何たるか分かったところで、キウイ・ハズバンド自身は家事についてどう考えているのかを、実際に聞いてみましょう!
今回質問に答えてくれたのは、ニュージーランド人のマット(Matt)さん。マットさんは心理カウンセラーとして高校に勤務しています。Mattさんの奥様は、以前の記事でも登場した管理栄養士のエイミー・ジャッド(Amy Judd)さん。
左:エイミーさん 右:マットさん (C)Antony Gray
さっそく、キウイ・ハズバンドにAsk!
Matt:僕はエイミーと半々くらいかな。キウイ・ハズバンドといっても、その家庭の流儀によってさまざまだと思うよ。
Matt:(考えは)人ぞれぞれだよね。でも僕は、できるだけ家事をするようにしているよ。
Matt:イエス。妻のエイミーは栄養士だから、彼女が考案する新しいレシピに毎日トライできる環境にあるんだ。
Matt:使わない(笑)。リラックスして料理をしたいからね。
Matt:人を呼んでBBQをするときも、キッチンタイマーは使わないよ。ニュージーランド流のBBQは、気楽でリラックスした雰囲気が大事なんだ。僕はその場の雰囲気を崩さないようにしたいから(タイマーは)使わないね。
Matt:子どもの頃は母が(家事を)やってくれていたんだ。実家を離れてから多少自分でやるようにはなったけど…
ここで、妻のエイミーさんから、マットさんのキウイ・ハズバンドらしかぬ過去を知ることに。
エイミーさんいわく、結婚当初マットさんが作れる料理はほとんどなかった(一つか二つくらい)だったのだそう。また、マットさんは7人兄弟のため、実家ではキッチンで過ごした時間があまりなかったとも言います。
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Matt:(結婚して)料理をはじめたばかりの頃は、レシピ通りに分量を量って、細かく丁寧に調理をしていたんだ。それでフラストレーションを感じることもあったかな。でも今は、料理を新しくクリエイトする方向に意識が変わったから、(料理を)楽しんでやっているよ。
Matt:いろいろな料理を試していくなかで、“ミスをしても全部がダメになることはない”と分かったからかな。レシピをきっちり守らなくても大丈夫だと。例えば、ステーキの焼き加減が違っても大丈夫とか(笑)。それが分かってから、レシピを自分流にアレンジしたり、目の前の食材で何が作れるかを考えたりするようになったんだ。
エイミーも、食材をわざわざ買わず、今ある材料で料理をする方が環境にも良いと考えている。
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Matt:そういう選択肢はなかったね(笑)。とくに料理に関して言えば、エイミーは栄養士だから料理や食べ物を研究することがパッションだし、それを彼女と一緒にやりたいと思ったから。
Matt:夫婦で過ごす時間を一番大事にしている。二人とも夜遅くまで仕事をすることもあるからね。エイミーと一緒に料理ができる時間はとても大切。
Matt:僕は皮をむいて食べるけど、僕の父はグリーンキウイの(ざらざらした)皮も丸ごと食べちゃうよ(笑)。
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いかがでしたか?
キウイ・ハズバンドと言っても、最初は家事が得意でなかったというマットさん。しかし、本人の家庭を大切にしたいという気持ちが、マットさんを正真正銘のキウイ・ハズバンドへと変えていったように思います。
インタビュー中、妻のエイミーさんが「(マットは)良い旦那でしょ?(笑)」とジョークを交えながら語っていたのが印象的でした。末長くお幸せに!
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