
随神門からはじまる「生まれ変わりの旅」
東北有数のパワースポットといえる修験の山「羽黒山」。出羽三山の一角をなし、1400年前に、崇峻天皇の御子の蜂子皇子が開山したと伝えられます。この出羽三山、羽黒山は現在の山、月山は過去の山、湯殿山は未来の山と見立てられ、若々しい生命を蘇らせることができる「生まれかわりの旅」の信仰が江戸時代に広まりました。
今回登る山は、現在の幸せを祈る山となる標高414mの羽黒山。スタート地点となる朱の随神門をくぐると、古から幾人もの人が歩いたであろう角が丸くなった石畳みの下り参道が続きます。山頂までの距離は約1.7㎞、約1時間の道のり。2446段の石段が待ちかまえ、参道の右側には284本、左側には301本、合計585本の特別天然記念物の杉並木の中を歩き始めます。
ここは神の聖域。なんとなく空気が変わり冷んやりしているような。まず現れたのが数えきれないほど無数の社(祠)。右手に須賀の滝を見ながら太鼓橋・神橋を渡ると見えてくるのが、樹齢1000年を超える太くて立派な国の天然記念物「爺杉」。国宝の「五重塔」までもう少しです。
色彩を施さない国宝「五重塔」が杉木立にそびえる
樹齢350~500年の杉並木の中にひっそり建つ「五重塔」。色彩を一切施さない素木造りの五重塔で、高さ29.9mの杮葺き。質素な中にも凛とした存在感があり、平将門創建と伝えられます。随神門からこの五重塔までは約300m、10分ほどの距離。ここからが本格的な修験の始まり・・・
緑濃い空気と静寂の中、2446段の石段を一段一段登るうちに身も心も洗われ、深く自分を見つめ直すことができるといいます。「一の坂」が現れました。急ですが、まだ始まったばかり。景観を見る余裕もあり杉並木の蒼さを感じながら歩を進めます。名物の力もちがある「二の坂茶屋」までは15分ほど。
山伏のほら貝の音が聖域を告げる豪壮な三神合祭殿
茶屋に着くころには、汗がポタポタと落ちるほどに。ここでちょっと休憩。まだ先の道のりは長いのです。「二の坂」は一の坂にも増して急こう配。石段には盃やひょうたん、蓮などが彫られているものが33個あり、これを全部見つけると願いが叶うとのことですが、それを探す余裕もなく前のめりになって全身で石段を登っていきます。これだけよく汗が出るもんだぁと思ったところで平坦な石畳みがしばらく続き二の坂も終わりに。最後に待ち構える「三の坂」を登り切れば山頂です。
三の坂から山頂までは、体力はかなり消耗していますが15分ほど。二の坂の急こう配を踏破していれば大丈夫。山頂まではもう少し! 山頂を示す「羽黒山」の朱の鳥居が迎えてくれます。
山頂の手前には、江戸時代に再建された「斎館」があり、現在では参拝者の宿泊所・食事処として利用されています。ごま豆腐の餡かけやアカミズ、アオミズ、イタドリ、月山筍など、出羽三山山麓で採れる山菜を使った精進料理を味わえるので、山の恵みに感謝しながら山のエネルギーを感じ取ってみては。
山頂には、高さが28mもある重厚な「三神合祭殿」が。その姿は存在感たっぷりで、豪雪にも負けぬよう厚さ2.1mにもおよぶ茅葺屋根の迫力は圧倒的。内部は総漆塗りになっています。
羽黒山・月山・湯殿山の三神が祀られていますが、これは、月山と湯殿山は冬期間の参拝ができないためとも。神の聖域に入ったことを告げる山伏のほら貝の音がこだまし、凛とした空気感に包まれています。
国内LCCシェアNo.1を誇る
ジェットスターは、2019年8月1日より、東京(成田)と庄内を結ぶ定期便の新規運航を開始。片道4490円~というリーズナブルな運賃は、さすがオレンジの翼!! 毎日運航予定で東京(成田)発は13時、庄内発は14時50分。約1時間のフライトで今まで馴染みの薄かった庄内への旅行が楽しめます。
[All Photos by tawawa]

TAI WATANABE ライター・エディター・ディレクター
10代のころ、自転車でメキシコ・グアテマラを縦断し多くのことを学ぶ。それをきっかけに情報誌・旅行誌の取材を通じて、中南米・カリブ海を中心に世界各国で豊富な取材を経験。海外を見てきたからこそ日本は大好き! 紙とWEB、ふたつの媒体特性に精通した複眼的視点を持っている。
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