KL周辺なら決まり!コワーキング・スペースもあるオシャレで清潔な「リノベ」ホステル【マレーシア】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Sep 26th, 2019

安く世界に旅立つとすれば、格安航空券を手に入れるだけでは駄目で、宿泊費を抑える必要も出てきます。そうなるとバックパッカー向けのホステルが宿泊先としては有力になってきますが、その手の宿は汚かったり、安全性が十分でなかったりと、不安が大きいですよね。特に治安に問題があるような国の旅行では、命にかかわってくるから大変です。そこで今回は、筆者が実際に訪れて「ここなら日本人でも大丈夫だ!」と確信したマレーシアの港町クランにあるコシュテル「Play! Klang」を紹介します。

「コシュテル」とは聞きなれない言葉ですが、コワーキング・スペースとバックパッカー向けのホステルを組み合わせた造語。『Play! Klang』は、立地こそ首都のクアラルンプールから少し離れていますが、駅も目の前で建物は清潔でおしゃれ、オートロックと監視カメラが完備で、広々としたコワーキング・スペースも兼ね備えたクリエイティブな宿のため、ノマドワーカーにも最適です。

マレーシア独特のローカルな多文化をディープに満喫できるエリアも周囲に広がっています。一風変わったマレーシア旅行を楽しみたい人は、ぜひともチェックしてください。

マレーシアの港町に誕生した「コシュテル」

クランの町並み

クランの町並み

マレーシアには首都クアラルンプールを取り囲むように、セランゴール州という自治体が広がっています。セランゴール州にはクアラルンプール国際空港(KLIA)もあれば、マレー半島西岸のマラッカ海峡に面した港町クランもあります。

後述する地元ガイドのMee Lingさんによると、クランはイギリス人が最初に入植してきた町だとか。Play! Klangが作成する地元のマップを見ると、クランの港はマレーシアに訪れる移民や入植者の入り口となっていたため、往時は大変な発展を見せていたと分かります。さしずめ東京に対する横浜、大阪に対する神戸、札幌に対する小樽といったイメージですね。

肉骨茶

肉骨茶(バクテー)

当然、華僑(中国人)の移住も盛んで、今でも中華街が発達しています。肉骨茶(バクテー)と言われる料理は、まさにこのクランの中華街で生まれた食べ物なのだとか。

Play! Klangの入る並び

Play! Klangの入る並び(宿は一番手前)

中国人だけでなく、インド人の移民も多く見られます。その上、英国のビクトリア様式の建築物も少なくないため、一見すると混沌としているのですが、何か東南アジアの港町らしい通奏低音が感じられて、独特の統一感が得られます。

その多文化共生の歴史が作りあげたクランにある英国占領時代の建物をリノベーションして、華僑にルーツを持つ5人の若者が立ち上げたホステルこそが、Play! Klangになるのですね。

現地ガイドも太鼓判を押すマレーシアの「リノベ」ホステル

Play! Klangを知ったきっかけは、現地でガイドを務めるマレーシア人のMee Lingさんの紹介でした。マレーシア政府観光局の取材(ファムトリップ)でマレーシア入りして、その最終日に自由時間を与えられた筆者に、Mee Lingさんが好意でガイドを務めてくれたのですね。

そのプライベートツアーの中で、「きっと、気に入るから」と教えてくれた宿泊先がPlay! Klangです。率直に言って最初はそれほど期待をしていなかったのですが、マレーシア旅行を通じて最も気に入った場所の1つと言えるくらい、素敵な宿だと感じました。

まず、宿のトンマナ設計(トーンとマナー)が素晴らしかったです。歴史ある港町の雰囲気をそのまま内装に持ち込んだ設計があか抜けていて、掲示物や調度品にも一定のクリエイティビティが感じられました。そうしたディテールの積み重ねが1階のホステルと2階のコワーキング・スペースを自然な形で統一しています。

スタッフも明るくフレンドリーで英語も達者、一部のマレーシア人にある強烈なアクセントも一切感じられません。

創業者の1人Celineさんによれば、ベッドの数は17。宿泊者には朝食が付きます。食事は吹き抜けの空間にアイランド式のキッチンカウンターが設けられており、カウンター席、あるいはその周辺のテーブルに着いて楽しむスタイルでした。

素焼きの土鍋など器や調理器具にも選定者の好みが反映されており、どこを切り取っても会話が弾みそうな要素が散りばめられています。

シャワールームはユニットバス形式でした。事前の連絡もなく訪れ、抜き打ちのような形の取材になりましたが、水回りをチェックすると隅々まで清潔でした。裏手には洗濯機が置かれ、もちろん各自、持ち込んだ衣類を洗濯できるようにもなっていました。

日本の本も置いてある2階のコワーキング・スペース

圧巻は2階のコワーキング・スペースです。英国占領時代の建物を最大限に生かしたリノベーション建築のため、天井が見上げるほど高く、床面積以上の開放感が得られました。

筆者が訪れた日には、机の上でMacのノートパソコンとソニーの撮影機器を広げて、中国系のノマドワーカーが楽しそうに作業を行っていました。映画の上映会など各種のイベントが開催される2階スペースは、予約をすれば丸ごと貸し切りもできるそう。

本棚には自由に観覧できる書籍も置かれていて、何冊かは日本語の『地球の歩き方』が並んでいました。村上春樹の『1Q84』の中国語版も、目立つ位置に置かれています。

宿泊者の主な国籍を聞くと、中国人が主体との話。オープンはおよそ1年前と歴史が比較的浅いため、日本人のボランティアが手伝いに来てくれた過去はあるものの、日本人の利用者はまだ少ないとの話です。

主な集客ツールは検索流入か,ブッキングドットコムだと言います。ブッキングドットコムの評価(25件)は9.6/10とほぼ満点で、Googleの評価も33件のレビュー平均が5点満点中で4.5です。アーリーアダプター(新しもの好き)を自認する人であれば、今すぐ予約をしたいホステルと言えそうですね。

マレーシア旅行の1泊を過ごしてみる

ベッドルームの扉

ベッドルームの扉

周辺は散策場所にも事欠きません。ディープな中華街、インド街(Little India)散策はもちろん、ダブルデッカー橋(二重橋)、モスクや寺院の建築見学も楽しめます。

もちろん小さい町ですから、仕事を持ち込んで、コワーキング・スペースで集中して何日か作業をしたいという人でない限り、1泊で十分だと思います。

それでもPlay! Klangでの1泊をマレーシア旅行に組み込むだけで、名所を周って終わりという旅では味わえない出会いと発見が得られるはずです。

ガイドを務めるMee Lingさん。日本人向けのガイドを担当。

ガイドを務めるMee Lingさん。日本語が堪能で、日本人向けのガイドを担当する。

先ほども触れたように、清潔で、スタッフもフレンドリーで開明的、オートロックで監視カメラもあってセキュリティも申し分のないホステルです。

それでいて、宿泊費は3,000円を切るくらい(執筆時点)。旅費を抑えつつ安全にディープなマレーシアを探索したい場合は、ベッドを予約した上で、鉄道でクランの港町を目指してみてくださいね。

Play! Klang
住所:No.28, Jalan Raya Timur, 41000 Klang, Selangor.
公式HP:http://coshtel.com/

 
[All photos by Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)]

 

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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