仏航空郵便サービスのパイオニアたち
「ロンヴォル・デ・ピオニエ(L’envol des pionniers)」は、フランス最古の航空郵便サービス「アエロポスタル(Aéropostale)」の歴史を伝えるミュージアムです。航空宇宙産業が盛んなフランス南西部の街・トゥールーズに2018年12月末にオープンしました。
ジャン・メルモーズにアンリ・ギヨメなど、1918年〜1933年までの過渡期を経験した、航空産業のパイオニアたちのエピソードが、アエロポスタルの歴史とともに、さまざまな形で展示されています。
アエロポスタルとエールフランス
さて、アエロポスタルという名称。航空ファンではなくても、耳にしたことがあるのでは? のちにエールフランス航空の母体となった航空会社で、サン=テグジュペリを始め、後世に名を残す操縦士たちが所属していました。
そんな操縦士のひとりであり、実業家だったピエール ジョルジュ・ラテコエール(以下、ラテコエール)。彼が航空機の生産拠点として選んだのが、トゥールーズ郊外のモントルドン(Montaudran)地区でした。このような経緯で、当地でアエロポスタル(※誕生時の名はラ・リーニュ/La Ligne)が誕生。1918年のことです。
命がけの航空郵便配達
「アエロ(航空)ポスタル(郵便)」という名称からも分かるように、アエロポスタル社のサービスはエアメール便の配達。ラテコエールは、フランス〜南米間の航空郵便サービス実現に向けて奮闘したと言います。
軍用機だった「サルムソン 2A2型機」を操縦し、ラテコエールがトゥールーズ〜バルセロナ間を初飛行したのは、1918年12月25日のことでした。
1919年にはフランス〜カサブランカ間と路線を広げていき、1920年代後半にはフランス〜南米間を実現します。南大西洋の横断は悪天候との闘いであり、命がけだったことが、ジャン・メルモーズの体験記を通して知ることができます。
「どんなことがあっても郵便物を送り届ける」という、パイロットたちの情熱、そして風雨に晒されながらの命がけの飛行・・・。当時の様子や彼らのエピソードを知り、胸が熱くなりました。
サン=テグジュペリのコーナーも!
『星の王子さま』の著者として世界的に有名なサン=テグジュペリ。彼もまた、アエロポスタルのパイロットのひとりでした。
モロッコでの過酷な経験を綴った、サン=テグジュペリのデビュー作『Courrier Sud(邦題:南方郵便機)』のきっかけとなった人間味溢れるエピソードが、映像を通じて描かれています。
パイロット気分が味わえる飛行体験
さて、航空郵便の歴史を学んだあとのお楽しみは、パイロット気分が味わえる飛行体験! 手と足を使って操縦します。木製飛行機だし、なんとなく簡単そうと思って試してみたものの、車の運転よりもずっと複雑で難しく、なかなか思うように操縦できず苦戦・・・・!
このほか、サバイバル時における対処法など、航空機に関する豆知識をタッチパネルで学べるコーナーもありました。
手に汗にぎるフライトシュミレーター
2019年12月中旬には、本格的なフライトシュミレーターが仲間入り! 当時のパイロットたちと同じ飛行条件のもと、航空郵便サービスとしての「ブレゲー14(Le Breguet14)」の飛行体験できます。限られた時間内に郵便物を届けられたら、操縦士の素質あり!?(※こちらは別料金/5ユーロ)
かわいいお土産が見つかる、ミュージアムショップ
マグカップにTシャツなどミュージアムのオリジナルグッズに、航空関連のポスターやポストカード、『星の王子さま』グッズなどがありました。レトロなポスターは、航空ファンでなくても欲しくなるかわいさ!
展示は英語・フランス語・スペイン語にて。2021年初頭には、館内併設レストランのオープンを予定しているそうですよ。近くにある大規模な宇宙テーマパーク「シテ・ド・レスパス(Cité de l’espace)」もあわせて、訪れてみてはいかがでしょう?
取材協力:L’envol des pionniers
[lenvol-des-pionniers.com]
[city.kakamigahara.lg.jp]
[All photos by sweetsholic]
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