
藩主ゆかりの名湯で殿様気分を満喫

(C)長湯温泉療養文化館 御前湯
古来より湯治場とした栄えた長湯温泉。かの「万葉集」に長湯を詠んだ歌があるほど、長き歴史を有しています。江戸時代、岡藩主3代目の中川公は趣味の山登りの後、長湯温泉で疲れを癒やしたといわれており、安永10年(1781年)には専用の湯屋「御前様の湯」が設置。これが「御前湯」として引き継がれているのです。
幾度となく建て替えや修復が重ねられ、1998年(平成10年)に「温泉療養文化館 御前湯」が誕生。温泉治療学の先進地ドイツとかねてより交流が盛んであったことから、ドイツの建築様式を取り入れているのだそう。現在では長湯温泉のシンボル的な存在に。
とろっとした肌触りが心地よい炭酸泉

御前湯では異なる温度の3本の源泉を使用。いずれも加温、加水をしない源泉100%かけ流しです。泉質は炭酸ガスを含んだ炭酸水素塩泉。気泡は目には見えないものの炭酸ガスが豊富に溶け込んでおり、皮膚から体内に吸収されることで血管を開き、血行をスムーズに促すのだそう。
淡いオリーブ色のお湯は、とろっとした滑らかな肌ざわり。浸かっていると身体の芯からポカポカしてくるのを実感。1階の大浴場は深緑の木々や川のせせらぎが心地よく、心も解きほぐされます。

3階の大浴場はブルーのタイルが涼しげで、レトロモダンな雰囲気。2つの大浴場は奇数日と偶数日で男女入れ替わります。オープンは朝6時。毎朝通うご近所さんも少なくないのだそう。ちなみに入浴料は大人500円ですが、竹田市在住なら300円とのこと。なんともうらやましい!
個性的なしつらえも必見の家族風呂

貸切の家族風呂は4つ用意。こちらは屋根付きの半露天風呂。芹川を眼下に望め、自然との一体感を楽しむことができます。

西洋式の家族風呂。ヨーロッパの温泉施設を想わせる独特の佇まいです。異国情緒に包まれながらの温泉は特別感もたっぷり。

和式の家族風呂は木を基調とした空間に。檜風呂は香りも肌触りもよく格別そのものです。

館内には芹川が眼下に広がる展望スペースや、喫茶室、大広間、マッサージ室なども完備され、一日いても飽きることはありません。さらに温泉利用指導者の資格を持った、温泉ソムリエマスターや保健師、看護師が常住する相談室も設置。温泉の正しい入り方の説明を受けることも可能です。
豊かな自然とドイツ風建築が美しく調和し、稀有な存在感を放つ「御前湯」。異国情緒に包まれながらここでしか味わえない、とっておきの温泉体験を堪能してみてはいかがでしょうか。
長湯温泉療養文化館 御前湯
住所:大分県竹田市直入町長湯7962-1
電話:0974-64-1400
営業時間:6:00〜21:00(受付は20:00まで)
定休日:第3水曜日
駐車場:有(大型バス3台、乗用車60台、身障者用2台)
入浴料:大人(竹田市外)500円(竹田市内)300円、子ども200円、
貸切家族風呂:1回50分 2,000円(4名まで)
URL:
http://www.gozenyu.com/index.html
[Photos by Nao]

Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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