
400年の歴史を持つ、最古参の「名古屋めし」

まずはきしめんについて少々紹介させてください。きしめんとは厚さ1mm、幅7〜8mmほどの平たい麺。そのルーツは意外と古く、江戸時代にはすでに食されていたことが複数の文献に記されています。特に東海道の宿場町では大変な人気だったよう。
400年もの歴史を持つといわれ、最古参の「名古屋めし」として親しまれてきたきしめん。しかし時代の流れとともにラーメンやパスタ、さらには讃岐うどんなどの麺類を好む人が増えたことによって、次第に影が薄くなりはじめたのだとか。そんな“きしめん離れ”を食い止めるべく、地元の麺類組合がきしめんを食べ歩くキャンペーンを開催したり、県が新種の小麦を開発したりと、さまざまな取り組みが行われているようです。
昭和2年創業の老舗麺食堂

というわけで、名古屋できしめんを食すことに。向かった先は名古屋在住の友人に勧められた「総本家 えびすや本店」。創業昭和2年(1927年)という老舗です。

訪問したのは平日のランチタイムということもあってか5組ほどの行列が。店頭では職人さんの熟練の手さばきを見ることができます。
平たくて薄いのにコシが力強いというのがきしめんの醍醐味ですが、それは手打ちだからこそ。機械打ちでは理想的なコシを生み出すのは難しい一方で、生産性向上のために製麺機できしめんを作る店がいつしか主流に。結果的に、本来の姿のきしめんを食せる場が激減したことも“きしめん離れ”の要因のひとつと考えられるのだとか。
有頭海老が豪快に盛られた「えびおろし」

温かいきしめんや釜揚げなど数々のメニューに目移りしながら選んだのは、店の名物という「えびおろし」(1,450円)。これは出汁を注いだ冷たい麺の上に、大ぶりの海老天と大根おろしをのせたもの。えびすや本店で修行を積んだ方がのれん分店を開いた際に、お客のリクエストで海老天と大根おろしをトッピングしたことがはじまりなのだそう。

濃い色のつゆに浮かぶのは、たっぷりの大根おろし、海苔、かつお節、そして器から飛び出すほどの大きな海老天。芳醇に漂う出汁の豊かな香りがたまらない!

地元産小麦粉と高濃度の塩水を用い、江戸時代そのままの技法で仕立てるというきしめんは、歯を押し戻すようなもっちりした弾力とコシ。つるんとした喉ごしは格別そのもの。つゆとの馴染みが抜群で、口の中で出汁の風味をしっかり伝えてくれます。

絶妙な火入れの海老天は衣の香ばしさと身のプリプリ感のコントラストが魅惑的。まずは、そのまま食して軽やかな口当たりを堪能し、半分をつゆに浸して旨味を湛えた衣を楽しみたいところ。

かつお節は“追い鰹”的な役割を担っていて、食べ進むにつれてつゆの深みが増すという変化が。さらに海老天から溶け出すコクや大根おろしの爽快感もプラスされ、最後の一口まで重層的なおいしさが続きます。もはや“きしめん離れ”なんて信じがたいほどの絶品。もう、思い出すだけで名古屋に行きたくなってしまうほど!
伝統に裏打ちされた製法と技で生み出される「えびすや」の真のきしめん。次の名古屋旅では、400年の歴史を誇るソウルフードを味わってみてはいかがでしょうか。
総本家えびすや 本店
住所:愛知県名古屋市中区錦3-20-7
電話:052-961-3412
営業時間:11:00〜深夜1:00、土曜・祝日11:00〜21:00
[Photos by Nao]
Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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