【実はこれが日本一】もっとも短い川は13.5m!和歌山県「ぶつぶつ川」

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Apr 26th, 2022

意外な日本一を今までにいろいろ取り上げてきたTABIZINE。今回は、和歌山にある意外な日本一を紹介します。

和歌山県ぶつぶつ川
Image by Myama2 in Wikipedia

 

法指定河川の中で日本一短い川

和歌山県ぶつぶつ川河口
Image by Myama2 in Wikipedia

日本一長い川と言われたら「信濃川」と思い浮かべる人は多いはずです。なにしろ、小学校の社会科の授業で習いましたよね?

しかし、その後の中学校でも高校でも、人によっては短大や大学でも習わなかった情報があると思います。日本一短い川はどこかご存じでしょうか。

この日本一短い川を考える際には、そもそも川とは何なのかをいま一度確認しなければいけなさそうです。

辞書で調べると、

<地表の水が集まって流れる水路>(『広辞苑』より引用)

とあります。その意味で、ちょっとした水の集まる流れも川と呼べてしまうのですが、今回の川はあくまでも一級河川・二級河川・準用河川の中(法指定河川の中)で一番短い川という意味になります。

これ以外にも「○○川」と呼ばれる農業用水路や、一級河川・二級河川・準用河川にも入らない小さな河川=普通河川(地方公共団体が管理)もあります。しかし今回は、河川管理者の権限と義務が河川法で定められた川(法指定河川)の中で短い川はどこかを紹介します。

全長13.5mの「ぶつぶつ川」

和歌山県ぶつぶつ川
写真提供:(公社)和歌山県観光連盟

日本一短い川ランキングについては、実は2008年(平成20年)10月21日に順位の変動がありました。

もともと、山形県真室川町を流れる準用河川「東町塩野川」が15mで「日本最短の川」とされてきました。真室川町は県北部の新庄盆地にあり、神室山地も近い場所ですね。

さらに、国際的なスノーリゾート地として知られるニセコも比較的近い北海道島牧村を流れる二級河川「ホンベツ川」も、二級河川に限って言えば、日本でもっとも短い川だったようです。その長さは30m。小学校のプールの縦よりもちょっとだけ長いくらいですね。

しかし、2008年(平成20年)に、和歌山県那智勝浦町にある全長13.5mの「ぶつぶつ川」が、二級河川「粉白川(このしろがわ)」の支流として指定されます。その県の管理下に入ったタイミングで、支流であるぶつぶつ川も二級河川となりました。法指定河川の中でぶつぶつ川が日本一短い川となったのです。

那智の滝のついでに訪れてみる?

和歌山県那智の滝
那智の滝 (C) Shutterstockcpm

それにしても、ぶつぶつ川とは不思議な名前です。現地の案内看板の説明には、

<フツフツと清水が湧き出していることから、昔からそう呼ばれてきたそう>(和歌山県作成の案内看板より引用)

とあります。

川幅は1m程度。朝日新聞の報道によると、水深は30cm程度とされています。野菜や道具、洗濯物を洗うなど、生活の中で使われてきた水の集まる水路です。

二級河川に指定されたことでにわかに注目されましたが、もともとは全国的には無名の存在でした。そうなると、ほかにもっとも短い無名の川があっても不思議ではありません。

しかし、国土交通大臣、都道府県知事または市町村長の権限によって管理されている法指定河川の中で、もっとも短い川と言えば、このぶつぶつ川になるのです。

那智勝浦町といえば、あの日本三大瀑布の「那智の滝」がある場所。和歌山へ旅行へ出かけた際には、ぶつぶつ川にも寄り道して記念撮影でもしてみると、旅の思い出に深みがまた増すかもしれませんよ。

[参考]
日本一短い川の「ぶつぶつ川」 大水害時は「命の水」に – 朝日新聞

日本一短い河川「ぶつぶつ川」 – 和歌山県

ぶつぶつ川 – 和歌山県公式観光サイト

ぶつぶつ川 (日本一短い川) – 那智勝浦町

よくある質問とその回答(FAQ) – 国土交通省

河川法

13.5mでも「2級河川」 和歌山に日本一短い川 – NIKKEI STYLE

河川法-よく見かけるあの川の看板、河川の種類~災害・防災、ときどき保険(9)

一級水系、二級水系といった河川管理上の区別 – 国土交通省

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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