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ニューヨーク市が抱える深刻な「治安の悪化」問題~在住者が盗難にあった話・前編~

Posted by: 青山 沙羅
掲載日: May 6th, 2022. 更新日: May 7th, 2022

ニューヨーク市の新型コロナウイルス感染率が下がり、マスク着用義務は、学校や病院、地下鉄・バスなどの公共機関などと緩和。春になり暖かくなったことから、ソーホーやチャイナタウンでは海外や米国他州から旅行客が増えました。しかしその一方で、屈託なくニューヨーク観光を楽しむ旅行客に、「ニューヨーク市の現在の治安の悪さを知っているの?」と筆者は思ってしまうのです。

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ニューヨーク市タイムズスクエア
ニューヨーク市タイムズスクエア (C) Hideyuki Tatebayashi


コロナ発生以降、治安が悪化するニューヨーク

 
いまだ終わりの見えないコロナ禍の中、不自由になった日常生活のストレスからか、ニューヨークではヘイトクライムや地下鉄内での凶悪犯罪や銃犯罪が急増、治安が悪化しています。連日ニュースではニューヨーク各所で起こる事件が報道されており、2022年2月9日の世論調査結果によると、ニューヨーク市民の95%が「市内の治安悪化が深刻」と心配していることがわかりました。

いまだに続くヘイトクライム(人種による憎悪犯罪)

アジア系に対する暴行事件(2022年2〜3月)
・2月27日 マンハッタン区30丁目からノリータ地域において、18時30分頃から20時30分頃までの2時間内に、アジア系の女性計7名が同じ男に突然顔を殴られるなどの連続暴行事件(逮捕済)
・3月6日 マンハッタン地下鉄J線車内でアジア男性がカミソリで顔を切り付けられた(逮捕済)
・3月8日 マンハッタン14丁目地下鉄駅構内でアジア男性がハンマーで頭部を殴られ負傷した(逮捕済)
・3月11日 ウエストチェスター郡ヨンカーズ自宅アパートのエレベーターホールでアジア女性が125回にわたり殴打された(逮捕済)

アジア系に対するヘイトクライムの件数は前年同期比では減少しているとはいえまだ続いており、ユダヤ系、LGBTなど性的指向のヘイトクライムの件数は増加。ほとんどが面識のない相手に、いきなり危害を受けています。

強盗・窃盗及び地下鉄犯罪が急増

ヘイトクライムも恐ろしいですが、特に危険を感じるのは強盗・窃盗及び地下鉄内での犯罪が急増していることです。2022年3月ニューヨーク市の犯罪統計は下記の通り。

2022年3月 ニューヨーク市の犯罪統計

2022年3月 ニューヨーク市の犯罪統計(前年比)

(C)NYPD 2022年3月の犯罪統計
(C)NYPD 2022年3月の犯罪統計

Murder 殺人 32件(-15.8%)
Rape レイプ 134件(-4.3%)
Robbery 強盗(被害者が現場にいた) 1,267件(+48.4%
Fel. Assault 加重暴行 1,992件(+ 17.5%)
Burglary 侵入強盗(被害者が現場不在) 1,326件(+ 40.0%
Grand Larceny 侵入強盗(被害者が現場不在で、一定より大きな被害額) 4,078件(+ 40.5%
G.L.A. 車両強盗 1,044件(+ 59.4%

地下鉄内での犯罪は前年比75%増


Ron Adar / Shutterstock.com

ニューヨークの一般市民にとってもっとも頭が痛いのは、通勤の足である地下鉄内での犯罪が急増(前年比75%増)していること。地下鉄車両内には多くのホームレスが横になって寝ており、連日起こる地下鉄構内での暴力事件に恐怖を感じながら通勤しています。ホームレスの多くはアルコールや薬物中毒で精神疾患を患っており、ニューヨーク市内で起こる事件は彼らが加害者であることが多いのです。

地下鉄内での主な事件
●地下鉄線路に突然突き落とされる
●言いがかりをつけられ、突然殴られる又は切りつけられる
●強盗に遭う
●背後から襲われる

筆者も地下鉄での通勤においては、下記のように対策をしています。地下鉄の犯罪が前年比75%増とは尋常ではなく、まさに命がけの通勤で連日ストレスを感じます。

地下鉄内でのニューヨーカーの安全対策
●マスク着用とフードを被り人種もしくは性別をわからないようにする
●バックパック(貴重品は背中と密着する手が届かない内部ポケットに入れる)やミニショルダーの斜めがけなど身体に密着したバッグ
●背後から不審者が来ないか注意を払う
●ホームでは明るいところ、安全そうな人がいるところで待つ
●ホームでは線路から極力離れ、壁際にはり付く
●大声を出す人、罵声が聞こえたら、できるだけ離れた場所へ移動
●車掌のいる車両に乗る
●乗る前に不審者がいないかチェック、いる場合は別の車両へ
●女性は女性同士で固まる(男性は人種によらず怖い)

避けようがなかった地下鉄銃乱射事件

2022年4月12日午前8時半頃、ニューヨーク市ブルックリン区サンセットパーク(36丁目駅)の地下鉄内で銃乱射事件が起きました。地下鉄車両内で発煙弾を使ってから発砲、最終的には29名の負傷者が出たと言われています。容疑者は地下鉄職員を装ったベストを着て、騒ぎに紛れて地下鉄で逃走。犯行現場に残されたバッグやレンタカーから重要参考人が浮上。ニューヨーク市警は懸賞金5万ドルをかけ、情報提供を呼びかけました。

セキュリティカメラに映った容疑者の顔を公開したこともあり、翌日4月13日市民の通報により、イーストビレッジでフランク・ジェームズ(62歳男)を逮捕。過去にニューヨークで9回、ニュージャージー州で3回の犯罪歴あり。

https://youtu.be/J1mewV7DaWQ
NY地下鉄の銃乱射事件(2022年4月12日) 防犯カメラがとらえた被告の行動 FCI NY

2022年4月12日はラッシュアワーの時間帯で、この事件によりブルックリン方面の地下鉄は運行停止。死者が出なかったのは不幸中の幸いでしたが、ニューヨーク市の地下鉄の危険度がさらに上がる事件でした。


2022年4月13日 ニューヨーク市のブルックリン地区の地下鉄の車両内で発砲29人が重軽傷を負った事件(警察に拘束された容疑者) Katie Godowski / Shutterstock.com

2022年3〜4月 ニューヨーク市で起きた犯罪

ニューヨーク市では連日事件が起きており、事件内容は凶暴さや理不尽さを増しています。自分の身は自分で守るしかないといえど、避けようもなく起こる事件も多く、ニューヨーク市の治安の悪化は市民にとって深刻な問題。

ただし、ニューヨーク市は至る所にセキュリティカメラの設置があるため、犯罪者の顔が明らかになり、多くの場合通報(情報提供に懸賞金の報酬がある)などにより早期逮捕になることが多いです。

2022年3〜4月 ニューヨーク市で起きた犯罪
2022年3月12日 ニューヨーク近代美術館で、受付従業員2名が刺された事件(トラブルにより会員資格を剥奪された常連客を逮捕済)
2022年4月12日 ニューヨーク市ブルックリン区サンセットパークの地下鉄車両内で29名が負傷した銃乱射事件(過去に多数の逮捕歴がある人物を逮捕済)
2022年4月16日 ニューヨーク市クイーンズ区フォレストヒルズ 60回近く刺された主婦の遺体がダッフルバッグ内で発見された殺人事件(元愛人を逮捕済)
2022年4月18日 ニューヨーク市マンハッタンヘラルドスクエア(34丁目)の地下鉄内で27歳の女性が太ももを刺される(未逮捕)

NYC在住の筆者が2021年大晦日に盗難にあった

筆者がニューヨーク市の治安の悪さを実感したのは、自分自身が盗難被害にあったから。ニューヨーク市ではもちろん人生初めての盗難だったので、かなりショック。しかも2021年12月31日という、一年の締めくくりの大晦日にお財布とカメラを盗まれたのです(涙)。

2021年大晦日 セキュリティカメラに映った窃盗犯1
2021年12月31日 筆者の財布を盗むセキュリティカメラに映った容疑者

財布はバッグから盗まれ、デイパックに入ったカメラはデイパックごと持っていかれました。犯行時間は、ほんの2〜3分という手際の良さ。しかも盗むや否や最寄りの地下鉄駅に向かい、財布内のキャッシュカード2枚を使い、1カ月分のメトロカード(地下鉄・バスに乗れる乗車券)128ドルを2枚不正購入していました。

地下鉄の自動販売機でキャッシュカードを使ってメトロカードを購入するのは、なぜか暗証番号が必要ありません。不正購入したメトロカードは転売するものと思えます。犯行現場から離れて、最寄りの地下鉄でメトロカードの不正購入まで5分以内。短時間でことを済ませていることもからも、プロによる犯行だと想像できます。デイパックごと持っていかれたカメラも、やはり転売するのでしょう。

被害状況について
被害にあった場所:ニューヨーク市マンハッタン バイト先
被害にあった日時:2021年12月31日13時57〜58分
被害内容:財布(現金、身分証明書、銀行のキャッシュカード、各種クレジットカード)、カメラ、デイパック
1カ月分のメトロカード128ドル A銀行のキャッシュカードを地下鉄の自動販売機で不正購入
1カ月分のメトロカード128ドル B銀行のキャッシュカードを地下鉄の自動販売機で不正購入

2021年大晦日 セキュリティカメラに映った窃盗犯2
2021年12月31日 カメラの入ったデイパックを盗むセキュリティカメラに映った容疑者

筆者のバッグがロッカーから違う場所へ移動しているのを指摘され、もしやと中身をあらためて、財布が盗まれていた時の恐怖と落胆。キャッシュカードやクレジットカード、身分証明書まですべて入っていたので、「預金が全部引き出されたら、クレジットカードで多額の買い物をされたら、どうしよう」と腰が抜けてしまいました。そして気を取り直して、まずは銀行へ。盗難により使用停止を頼むため、走りました。

ニューヨーク市で盗難にあった時、まず何をすべきか。ニューヨーク市の銀行や警察の対応は。

「ニューヨーク市では治安の悪化が深刻。在住者が実際に盗難にあった話(後編)」に続きます。

参照
NYC subway crime surge: Anti-gay attack, retired officer slashed WABC-TV New York Thursday, March 31, 2022
NYPD Announces Citywide Crime Statistics for March 2022 NYPD April 6, 2022
路上と地下鉄危険度増す 週間NY生活 2022年3月16日
米ニューヨーク市、9割超が深刻な治安悪化を実感、米大学世論調査 日本貿易振興機構(ジェトロ)2022年02月15日

青山 沙羅

sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。


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