自家製粉の「十割そば」を味わえる
文久元年(1861年)に創業した前身の「大津屋」から続く「三味洪庵(さんみこうあん) 京都本店」。鳥取藩勘定方を務めていたという初代が、京都に来た折、岩倉具視の命を受けて食材の仕入れや販売を行うようになったのがはじまりです。
現在は自家製粉石臼挽きの蕎麦をメインに、旬の食材を活かした京都のおばんざいや、吟味された地酒を満喫することができます。自家製粉の十割そばには、日本各地の産地に赴き厳選した良質な食材を使用。蕎麦の実を熟練の技により石臼で挽いています。
店頭には、その日に使われている蕎麦の産地が明記。訪れたこの日は「鹿児島産」でした。
各地でとれた食材を目利きし、丁寧な調理により提供するという仕事は、屋号が変わった今にもしっかりと受け継がれています。
蛍も出る!白川沿いの風情あふれる京町家空間
ロケーションが素晴らしいのもこちらの魅力。街中から少し離れた、祇園から続く白川沿いに建つ築100年を超える京町家は、京都市の歴史的風致形成建造物に指定されています。石臼が配された外観は、いかにもお蕎麦屋さんらしい趣を醸し出していますよね。
暖簾をくぐるとお土産が並ぶ店頭へ。その先には白川沿いのみずみずしい緑を望むさわやかな空間が広がります。特に新緑の季節は最高です。
お隣は葦簀(よしず)の建具が配された和モダンな渋い空間。
そして、特等席は川沿いのテラス席(要チャージ料330円・税込)。これは気持ちがよさそうです! 白川のせせらぎを聴きながら、自然の中でゆったりと食事を楽しめますよ。
しかも毎年5月下旬頃からは蛍の出る名所にも。6月には川沿いに紫陽花が咲くのも素敵。時季があえば、最高にロマンチックな夜のひと時を過ごせそうですね。もちろんランチも楽しむことができます。
一人で訪れるお客さんをちらほら見かけましたが、気兼ねなくくつろげる雰囲気が一人旅にもうれしいですよね。
季節限定「冷やかけすだち蕎麦」がおすすめ!
見た目も涼し気な季節限定の「冷やかけすだち蕎麦」1,320円(税込)。徳島県産のすだちの輪切りが表面いっぱいにあしらわれています。見た目の美しさはもちろん、酸味と共に香り高く冷たい十割そばを味わえて食欲が減退しがちな夏にはぴったり!
人気メニューのようで、筆者のほかにも注文しているお客さんが多数。暑い夏にリピートしたくなります。「すだち蕎麦」には、おろし、とろろ、はもを加えたものもそろいます。
もう一品は、海老2尾と季節の野菜の天ぷらがついた「海老天せいろ」2,200円(税込)。蕎麦の風味をしっかりと感じられる十割そばのせいろに、揚げたてのさっくり天ぷら。つゆは京都らしくあっさり風味かなと思いきや、濃くはありませんがほどよい加減。
せいろ・かけ蕎麦から選べます。すだち蕎麦に変更の場合は300円(税込)増し。小鉢が付くので、このメニュー一つで十分満足できます。
ほかの蕎麦メニューは、「九条ねぎのねぎ蕎麦」1,100円(税込)、「鴨南蛮蕎麦」1,540円(税込)、「生ゆば蕎麦」1,320円(税込)、「鴨汁せいろ蕎麦」1,430円(税込)、「『洪庵豚』と九条ねぎつけ蕎麦」1,650円(税込)などがそろいます。
週末のランチタイムには列ができるほどの人気で、お蕎麦が付く「海老天重」2,200円(税込)や「但馬牛の肉重セット」2,750円(税込)などを味わえます。
お蕎麦と品のよいおばんざいで軽く一杯
そして、京都ならではのおばんざいをいただけるのもこちらの魅力。厳選されたお酒もそろうので、サクッとお蕎麦だけ、軽く一杯、しっかり食事と、シチュエーションに合わせて利用できる使い勝手のよさも人気の理由といえそうです。
まずは、京都の夏に欠かせない「はもの落とし」880円(税込)。これをいただかないことには、京都の夏は始まりません!
こちらの名物「西京味噌漬け」の「鰈(かれい)」1,155円(税込)。甘辛い西京味噌の風味がほんのり。とても品の良い味わいです。店頭でお土産に購入することもでき、オンラインショップでの入手も可能です。
花わさびがピリ辛風味を添える「花わさびと鴨ロースのしょうゆ和え」770円(税込)。お酒は京都・松井酒造の純米大吟醸「神蔵(かぐら)」2,200円(一合・税込)。キレのあるのど越しと澄んだ味わいが印象的。
京都の地酒は増田徳兵衛酒造の「抱腹絶倒」、木下酒造の「玉川」、俳優の佐々木蔵之介さんのご実家・佐々木酒造の「古都」などを厳選。京都の味覚にしっくりと馴染みます。
京都の夏のおばんざいとしてはおなじみの「にしん煮と茄子の炊き合わせ」880円(税込)。滋味深い夏の味覚です。
近所の南禅寺御用達店による夏季限定「服部豆腐の冷奴」550円(税込)、「汲み上げ湯葉」660円(税込)、「だし巻き玉子」880円(税込)、「〆鯖」770円(税込)など、京都ならではの料理も楽しめます。
要予約のコース料理もあるので、落ち着いて食事を楽しむのにもおすすめ。1日5組限定の「蕎麦屋の豚しゃぶつゆ」3,278円(税込)は、契約農家・鹿児島 南洲農場で育ったオリジナル「洪庵豚」を蕎麦つゆで味わえて、締めには十割そばをいただけます。
「蕎麦会席」5,500円(税込)は、前菜、椀物、そば寿司、鴨ロース、天ぷら、お蕎麦、甘味としっかりとした会席料理。
お蕎麦とお酒をいただいていい気分になった後は、店頭で「西京味噌漬け」や「ちりめん山椒」などの京土産も購入できます。オンラインショップでも入手可能です。
帰り道には、時季なら蛍を眺めるもよし、祇園まで白川沿いをそぞろ歩き京情緒を満喫するのもおすすめですよ。
住所:京都府京都市東山区石泉院町393番地
TEL:075-771-0952
営業時間:ランチ 11:00~15:00(L.O.14:30)
ディナー 17:00~20:30(L.O.20:00)
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日休み)
※祭礼等行事により定休日が変更になる場合があります。事前に店舗へお問い合わせ下さい。
URL:https://sanmikouan.jp/
オンラインストア:https://www.sanmikouan.co.jp/
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