【実は日本が世界一】1トンの砂が1年かけて落ちる!ギネス認定の「砂時計」

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 27th, 2022

日本が誇る世界一を紹介するTABIZINEの連載。今回は、山陰の島根県大田市仁摩町にある世界一を紹介します。

 

ギネスブックに掲載される砂時計

島根県にある世界一と言われると、何を思い浮かべますか? 出雲大社や宍道湖、石見銀山などにも何かの世界一があるのかもしれませんが、少なくとも今回のテーマは違います。

島根県のちょうど中央の沿岸部、大田市仁摩町の「仁摩サンドミュージアム」にある世界一です。大田市といえば、先ほども述べた世界遺産の石見銀山跡がある場所ですね。

仁摩サンドミュージアムは、1991年(平成3年)にふるさと創生事業によって1億円でつくられた、砂をテーマにする博物館です。そのメインゾーンにある1年計砂時計「砂暦(すなごよみ)」が、ギネスブックにも掲載される世界一の大きさを誇ります

6,291億粒の砂が入った砂時計


この砂時計にはそもそも、仁摩町にある琴ヶ浜の鳴り砂の保全と環境保護を願って設置された背景があります。

1トンの鳴り砂(粒の大きさの関係で実際には他県の鳴り砂が使われている)がきっちり1年かけて落ちるようにコンピューター制御されていて、ギネス世界記録によると6,291億粒が砂時計の中に入っているのだとか。

砂時計の直径は1m、高さは5.2m。『小学館の図鑑NEO+もっとくらべる図鑑』で調べると、5.2mはキリンの体長(3.8~4.7m)を超えます。

それらのスケールが評価され、ギネス世界記録に「Largest hourglass(世界最大の砂時計)」として登録されているのですね。

砂時計は年末にひっくり返される


砂時計ですから、当然ながら毎回、ひっくり返されます。1年きっかりに砂が落ちる仁摩サンドミュージアムの砂時計は、1年計をくるりと反転させる儀式が年末の恒例となっています。

毎年12月31日の深夜に「時の祭典」が開かれ、23時55分からの5分間で、翌年の年男・年女108人が、司会者の掛け声の下で大綱を引き、巨大な砂時計を反転させるのですね。


美術館に複数ある総ガラス張りのピラミッドのうち、 最大のピラミッドは高さ21mに達します。その最も大きいピラミッドの高さを生かしたホール中央の地上8mの空間に砂時計は設置されています。

その距離の分だけ、想像よりも小さく感じる人が多いようですが、逆に1年の時のはかなさを感じられて、1日1日を大切に過ごしたい気分になれると評判です。

新型コロナウイルス感染症の拡大が始まってからは、残念ながら時の祭典も中止となっています。中止の年は、保守点検機能を使って関係者だけで反転させるそうですが、今年の年末はどうなるでしょう。

ちょっと気の早い話ですが、年末の予定のひとつとして、今からチェックしてみてもいいかもしれませんね。

ちなみに、砂といえばお隣の鳥取県が有名ですよね。島根にある世界一の砂時計を超えようと、鳥取の商工会議所が試作機までつくりましたが、結局は見送ったようです。

まだまだ砂暦の世界一の座は続きそうですね。

[参考]

Largest hourglass – Guinness World Records

1年計砂時計『砂暦』(タイムホール) – 仁摩サンドミュージアム

琴ケ浜の鳴り砂 – 島根県

(建モノがたり)仁摩サンドミュージアム 島根県大田市 – 朝日新聞

途切れぬ6400億粒の巨大砂時計 研究重ね1年を計る – 朝日新聞

琴ヶ浜 – なつかしの国石見

時の祭典 – 仁摩サンドミュージアム

鳥取商議所PJ「日本一の砂時計」を方針転換へ – 鳥取商工会議所

[All photos by 島根県観光連盟

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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