薬味専門店「原了郭」とは？

創業は江戸中期の貞享2（1685）年という老舗の薬味専門店「原了郭（はらりょうかく）」。初代の原儀左衛門道喜は、赤穂義士四十七士の一人である原惣右衛門元辰の子で、「了郭」と称し祇園社（現在の八坂神社）門前に店を構えました。

了郭は漢方の名医の処方による「御香煎（おこうせん）」を製造し家業とします。それ以来、代々当主により一子相伝でその秘方が受け継がれています。「御香煎」は、公家や宮家、茶人、文人墨客らに愛され、明治・大正期には「宮内省御用達」として認められました。

「御香煎」は茴香（ういきょう）や陳皮（ちんぴ）など漢方薬の原料を数種類合わせて香ばしく煎り、粉末状にして焼き塩で味付けしたもの。現在、香煎を扱うのはこちらのみだそうです。

現在は「黒七味（くろしちみ）」で知られる「原了郭」。京都の気の利いたお店に行けば、たいてい卓上に置かれています。こちらも「御香煎」同様、一子相伝の製法が守られています。

白ごま、唐辛子、山椒、青のり、けしの実、黒ごま、おの実（麻の実）をから煎りし、唐辛子や山椒の色が隠れるまで丹念に揉み込むことで独特の濃い茶色となり、黒っぽく見えることから「黒七味」という名になりました。こちらならではの豊かな香りと奥深い味わい、ピリッとした唐辛子の辛さとのハーモニーが料理のおいしさを引き立てます。

薬味を活かした味覚を楽しめる「原了郭 京都駅 八条口店」

店舗は、祇園にある本店と「Ryokaku」がありますが、薬味を活かした料理を味わえるのは「原了郭 京都駅 八条口店」のみ。京都駅の八条口「ASTY 京都」の「京都 おもてなし小路」にあり、新幹線に乗る前後に気軽に立ち寄れる便利な場所です。

店頭には、お土産に人気の「黒七味」や「粉山椒」が並んでいます。木の容器付き、袋入りなどが多彩にそろいます。

オリジナルの「カレーパウダー」も並んでいます。

店内は白木や白い家具を配した清潔感のある空間です。ジャズが流れる落ち着いた雰囲気の中、食事を楽しめます。

人気ランキングTOP1「和風担々」

お店での人気No.1は「和風担々」1,210円（税込）。クリーミーなごまスープに麺、肉味噌、青梗菜に白髪ネギがあしらわれています。

こちらにもっとも合うという「黒七味」を振りかけてみました。ちょっとかけすぎたかも。

卓上にスパイスの一覧表があるので、お好みでどうぞ。自分好みの味に調整できますよ。「和風担々」には「ゆず辛」も合うそうです。卓上にないものはお店の方に頼んで下さいね。

スープには練りゴマがたっぷりと盛り込まれています。和風だしを使っているので、コクがありながらも品のある味わい。

店内で作っているという肉味噌には、上質なごま油を贅沢に使い、ショウガとコチジャンをたっぷり加えています。肉味噌が全体に更にコクを添えます。なかなかにスパイシーなのは、コチジャンと黒七味の辛みだそう。

こしと粘りのある麺がこってりとしたスープに絡みたまらないおいしさ！　黒七味の独特の香りと風味が効いています。シャキッとした白髪ねぎがさわやかさを添え、クセになりそうな味わい。

また、レトルトの「黒七味 ごま麺」648円（税込）も販売されています。和風だしに練りゴマが溶け込んだスープは、優しい味わいに仕上げるため黒七味は控えめ。肉や野菜、きのこなどを添えて、好みの味を自宅で楽しめますよ。お土産にもおすすめです。

人気ランキングTOP2「黒七味ラー油の祇園ブラック」

ランキングTOP2は、「黒七味ラー油の祇園ブラック」1,100円（税込）。魚介ベースのスープに麺とチャーシュー、味付玉子があしらわれたシンプルな中華そばには、仕上げに「黒七味ラー油」がかけられています。

この「黒七味ラー油」は、こちらでしか味わえない希少なものだそう。黒七味が本来持っている風味と、山椒の品のよい香りとスパイシーさが相まった特製ラー油です。チャーシューは地元で知られる銀閣寺「大西」の上質なものを使用。＋2枚で275円（税込）。ラーメンと黒七味をシンプルに味わえ、味付玉子がアクセントになっています。

中華めんは4種類あり、店長によると「『祇園レッド』もぜひ味わっていただきたい」とのこと。スパイス「辛極」と「御香煎」を隠し味に合わせた、ピリッとしびれるような辛さなのだそうです。より辛さを追求したい方はぜひお試しあれ。

人気ランキングTOP3「ポークキーマ」

上位2位まではラーメンでしたが、第3位に選ばれたのは「ポークキーマ」1,100円（税込）。

「原了郭」の「カレーパウダー マイルド」と「カレーパウダー スパイシー」を合わせ、子どもでも食べられるように辛さは控えめ。豚の挽肉と玉ネギを時間をかけてじっくりと炒め、和風だしをあわせて店内で仕込んでいるそうです。

野菜の天ぷらが添えられているのがこちらならでは。トロリとした温泉玉子を合わせるとマイルドな味わいに。更にスパイシーさが欲しい場合は、「カレーパウダー スパイシー」を加えるのがおすすめです。

夏の京都の味覚「鱧（はも）」を活かしたメニューもあります。

「カレーうどん」や「カレー丼」、「檸檬うどん」などユニークなものも。

京都駅でランチに迷った時は、老舗のスパイスを活かした京都ならではの味わいを堪能してみてはいかがでしょう。ついでにお土産も購入できますよ。

[All photos by Yo Rosinberg]
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ロザンベール葉

ロザンベール葉

主に横浜・東京で育ち、縁あって京都に在住。美術書出版社勤務を経て、フリーランスライター歴20年余り。フランス人のパートナーと共に、フランスとイタリアを中心に気ままな旅をする。海はどこも好きだけど、「地中海」という響きに憧れる。マイペースが好き。