魅力ある街々が全土に点在するドイツ。「行きたいところがたくさんありすぎてどこに行けばいいかわからない!」と迷ってしまう人も多いのでは。そこで、南ドイツ在住の筆者がおすすめする、ドイツの魅力をギュっと凝縮したような街、ハイデルベルクをご紹介しましょう。
ドイツの人気観光スポット第2位に輝いたハイデルベルク
ドイツを旅するなら一度は訪れてほしい街が、ドイツの真ん中よりやや南に位置するハイデルベルク。ドイツ観光局が外国人観光客に対して行ったアンケートで、2016年のドイツの人気観光スポット第2位に輝きました。(第1位はハンブルクのテーマパーク「ミニチュアワンダーランド」)
ハイデルベルクは、ハイデルベルク城を抱く古城の街として知られています。18世紀から、ゲーテやショパンといった多くの文化人が訪れ、この街を称える作品を生み出しました。ハイデルベルク城と旧市街、周囲の自然が一体となった景観は、一度は見たいドイツを代表する風景です。
ハイデルベルクへのアクセスは、フランクフルト中央駅から特急列車でおよそ50分と、フランクフルトからの日帰りも可能。また、フランクフルト空港からハイデルベルクのクラウン・プラザ・ホテルまで、直行バス(所要約一時間)も出ています。
ドイツ三大名城に数えられるハイデルベルク城
ハイデルベルクのシンボルが、街を見下ろす高台に建つハイデルベルク城。プファルツ選帝侯の居城として1300年ごろに建設され、以後400年にわたって拡張を続けた結果、ゴシック、ルネッサンス、バロックなど、さまざまな建築様式が混在する建造物となりました。
度重なる戦争や火事により荒廃し、現在はなかば廃墟のような姿をしています。だからこそ、華やかな城とはひと味違った、心にじんわりと染み入る風情が味わえるのです。
最も保存状態の良いフリードリヒ館は、ドイツ・ルネッサンス様式を代表する名建築。ファサードには、歴代の選帝侯の像16体が並び、かつての栄華を今に伝えています。
フリードリヒ館のバルコニーから眺める旧市街の風景も必見。
また、城の地下には世界一大きなワイン樽があることでも有名です。直径7メートル、長さ8.5メートル、容量222000リットルのワイン樽は、実際に目にするとそのあまりの大きさに圧倒されます。
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世にも珍しい学生牢
ハイデルベルクは、古城の街であると同時に、1386年創設のドイツ最古の大学・ハイデルベルク大学を擁する大学町としても知られています。大学博物館に併設して公開されているのが大学牢。1712年から1914年まで実際に使われていた牢屋で、酒に酔って騒いだり、街中で喧嘩をしたりといった、公共の秩序を乱す微罪を犯した学生が罰としてここに入れられました。
実際のところ、学生のあいだでは、騒ぎを起こして学生牢に入ることはある種のステイタス、「男の勲章」と受け止められており、卒業までに一度は牢屋に入りたいと考えた学生も少なくなかったのだとか。
学生牢の内部には、ここで過ごした学生たちが自らの罪状や拘留期間などを当時流行した影絵とともに描いた「アート」が残されており、人気の観光スポットとなっています。
活気とノスタルジーが共存する旧市街
ハイデルベルク城とネッカー川のあいだに広がるハイデルベルクの旧市街は、歴史都市らしいノスタルジックなムードと、大学町らしい活気が共存しています。
ネッカー川に架かる重厚なカール・テオドール橋(通称アルテ橋)は情緒たっぷり。橋の上からは、ハイデルベルク城を望むことができます。
カラフルな建物が並ぶ旧市街のメインストリート、ハウプト通り周辺にはカフェや可愛らしい雑貨ショップなどが軒を連ね、歩いているだけで楽しい気分にさせられます。
にぎわう大通りから一本外れて細い路地に入れば、中世にタイムスリップしたような光景が。好奇心のままに歩き尽くしたくなる風景がここにはあります。
哲学の道からの絶景
ハイデルベルクに行ったら絶対見逃せないのが、「哲学の道」と呼ばれる散歩道からの風景。哲学の道は、ゲーテをはじめ、多くの詩人や哲学者が思索にふけったという山道で、ハイデルベルク随一の絶景が楽しめるスポットなのです。
ハイデルベルク城と旧市街、ネッカー川、そして周囲を取り囲む山々と、ハイデルベルクの魅力がすべて一枚の写真に収まる眺望は、まさに絶景。特別な風景として、いつまでも心に残ることでしょう。
古城を抱く中世の街並みが自然景観と見事に調和したハイデルベルク。この街を訪れた誰もがきっと心奪われるはずです。訪れる際は、「ロマンティック街道だけじゃない、ドイツの観光街道7つの魅力2」もぜひ参考にしてくださいね。
[2016年ドイツの人気観光スポットTOP100]
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