第2回は西洋のコース料理の食べ方。旅先で出かける格式の高いレストランはもちろん、カジュアルなお店でも求められるマナーを中心に、日本人が疑問に思っていそうな部分をピックアップしてクイズ形式でまとめました。タイトルのクイズの答えは、4番目のマナーで紹介していますよ。
1:コース料理のパンはいつ食べてもいいの?
最初は西洋のコース料理に出てくるパンについて。日本の結婚披露宴を思い浮かべると分かりやすいですが、食事の途中に(あるいは最初から)パンが出てきます。さて、いつから食べ始めればいいのでしょうか?
きちんとしたコース料理(フルコースやファイブコース)は一般的に、前菜→スープと進んでいきます。正しいタイミングは、スープを飲んだ後に食べ始め、デザートが出てくるまでに食べ終えるべきだとか。
正しい食べ方については、自分の皿の上でちぎって口に運びます。直接かじりついたり、バターを全面に塗ってから食べたりしてはNGみたいですね。 ちなみにパンは一般的におかわり自由です。
また、バターのとり方ですが、テーブルの中央に複数のゲストが共有して使えるようにと、まとめて置いてある場合は、最初に自分が使う分を全て自分のパン皿に取ってしまうべきだとか。パンを1個1個食べるたびに毎回、バターを取るような方法はNGみたいですね。
2:殻つきエビは手で押さえて食べていい? 駄目?
コース料理ではエビのテルミドールなど、殻つきの大きなエビがどかんとお皿に乗せられてくる場合がありますよね? ステーキや魚の切り身ならまだしも、この手のエビはどうやって食べればいいのでしょうか?
椎屋さんによれば、まずフォークで身を押さえ、ナイフを殻と身の間に入れて、身だけ丸ごと殻から取り外してしまうべきなのだとか。殻の手前に取り出した身を置き、左端からステーキのように、食べる分だけ切り分けて口に運ぶみたいですね。
ちなみに肉料理も一緒ですが、一気に全部カットしては駄目だと言います。料理が冷めやすくなり、肉汁などが流れ出て味が落ちてしまうからだと言いますよ。
3:魚料理は好きな部分から食べていい?
フルコースの魚料理で魚が丸ごと出てきたら、どのようにして食べればいいのでしょうか? はしですら上手に食べにくい魚。慣れないナイフとフォークで食べろと言われたら、途方に暮れてしまいますよね?
基本的にはまず、横たわっている魚の側面をフォークで押さえ、背骨に沿って上身の側面に横一文字、ナイフを入れます。切れ目を境に上下に分割させたら、最初は上身の上半分だけを骨からはがします。はがした切り身は、魚より手前の皿の上に移動します。
後はステーキのように、左端から食べる分だけ切り分けて口に運びます。食べ終えたら残った上身の下半分を同じように胴体からはがし、手前に置いて食べます。
注意点はここから。上身を食べ終えたら魚を裏返すのではなく(ソースが飛び散って汚くなるから)、頭の方からしっぽに向けて、背骨と下身の間にナイフを通し、頭と骨を取り除きます。骨と頭は胴体の向こう側へ。
残った下身は上下に分割せず、そのまま左端から食べる分だけ切り分けて、口に入れるみたいです。事前に練習やイメージトレーニングをして、本番でぎこちなくならないようにしたいですね。
4:ワインを注いでもらうときはグラスを手に持つ? 手を添える? それとも何もしない?
最後はワインについて。日本人の感覚で言うと、お酒を注いでもらうとき杯を持たなければいけない気がしてきます。しかしワインに関しては、グラスを手に持たず、手も添えず、お任せしていればいいのだとか。 写真の男性はグラスを持ってしまっているのでマナー違反なんですね。
逆に「もう欲しくない」というときは、ソムリエやサービスが注ぎに来たら、人差し指と中指の2本をグラスの縁に添える仕草をすればいいのだそう。
ちなみにフォーマルな場での乾杯はグラスを合わせるのではなく、目の高さに持ち上げて目礼をするべき。欧米の映画でも、よく見かける乾杯の動作ですね。
以上、西洋の料理を食べる際の美しい食べ方やマナーを紹介しましたが、いかがでしたか? ちなみにデザートのケーキは四角ければ左側から、三角形であれば三角の頂点から食べるべきだそうです。
[取材協力:椎屋美根子。クールジャパン講師会・会長。海外でのVIP接遇を経て、プロトコール(国際儀礼)を身につける。2011年、人材育成事業「Office Heartful Manner」を起業し、国内外において講習、研修などを行う。主な著書『クールジャパン一般常識 』(クールジャパン講師会)など] [All photos by Shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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