ウニの話の前にちょっと外を歩いてみようよ
日本には「ナンとか富士」という名前の山がいくつもありますが、これもそのひとつ、利尻富士。北海道・最北地の稚内の西に浮かぶ利尻島の象徴ともいえる山で、なだらかな稜線が美しい山です。
そのふもとには「姫沼」という湖沼があって、「沼」なんて言ったら失礼じゃないのと思うくらいきれいな湖水に利尻富士が逆さ富士となって写り込むようすが見られます。まるで鏡面のようにピンッと張りつめて見える湖面は、こちらの気持ちさえ写してしまうみたいで、のぞき込むのが少しばかり怖くなります。
でも、周囲には散策路が完備されているので、深呼吸しながら歩いていると、植物だけでなく小さな虫たちにも出会えたりする、自然満喫スポットです。
もちろん、食いしん坊は歩くだけでは収まらない
犬も歩けば棒に当たる、人は歩けば腹が減る、というわけで、腹ごしらえするなら、やっぱり、これでしょ。
はい、生ウニ丼。もちろん、利尻島ですからね、エゾバフンウニに決まっています。エゾバフンウニがおいしいわけは、利尻昆布を食べて育つからと言われています。おいしいダシの出る利尻昆布を存分に食べているんですからおいしくなるしか仕方がないわけです。エゾバフンウニは赤身を帯びた色をしていて、甘みが強く、濃厚なコクを感じさせる味わいが特徴。
口に含むと、とろ〜りとゆるやかに口いっぱいにウニが広がります。生ウニだからこその自然なうま味は、一度食べたら忘れられません。いえ、ときどき夢に見たりします。囚われの身となりたくなければ、エゾバフンウニの生ウニ丼は一生食べるべきではありません。