先日、『マップス 新・世界図絵』(徳間書店)という絵本を眺めていたら、クロアチアのビシェボ島にある青の洞窟が有名だという記述に気づきました。同書はポーランドで人気の絵本作家夫妻が世界各国の特色についてイラストでまとめた本。
クロアチアのビシェボ島
「へー、クロアチアにも青の洞窟があるんだ」と感心したのですが、思い起こしてみれば、石垣島を旅行したときも青の洞窟を見ましたし、北陸の福井県に広がる若狭湾に突き出した常神半島にも、青の洞窟があると福井の友人から聞いています。思えば、一体この青の洞窟は幾つあるのでしょうか?
「青の洞窟」は国内外にたくさんある
イタリアのカプリ島
結論から言えば、「青の洞窟」は世界中にたくさんあります。代表例としては、イタリアの南部、ナポリやポンペイ、アマルフィの近くで、ティレニア海に浮かぶカプリ島が世界で最も有名ですね。ある意味で本物の青の洞窟と言えます。
上述したクロアチアのビシェボ島、ギリシャの島々、マルタのマルタ島など、他にも幾つも存在しています。アマルフィに関しては、世界文化遺産にも登録される美しい町が海岸線に連なっていますが、同地にも青の洞窟ならぬ、エメラルドの洞窟が存在しています。
マルタ
日本は「青の洞窟」のメッカ!?
(C)恩納村キオクバンク
もちろん、日本も負けていません。沖縄の恩納村にある真栄田岬は、国内で最も有名な青の洞窟。上述した石垣島にもありますし、沖縄の伊良部島にもあるのだとか。伊良部島とは宮古島の西に浮かぶ先島諸島の1つですね。
他にも上述した通り、福井県の若狭湾にもありますし、東北の三陸復興国立公園内、岩手県ツアーで定番の浄土ヶ浜にある八戸穴も青の洞窟として有名です。
さらには長崎の野母崎の沖合にある樺島、佐渡の南端にある小木の琴浦、三重の熊野、京都の日本海側で山陰海岸国立公園の一角を成す丹後、静岡県西伊豆の堂ヶ島にも「青の洞窟」と呼ばれるスポットも点在します。まさに日本は「青の洞窟」のメッカとも言えそうですよね。
どうして「青の洞窟」はいっぱいあるの?
ギリシャのザキントス島
これだけたくさん「青の洞窟」が存在すると、逆に希少価値が薄れてしまう気もしますが、青の洞窟を辞書で調べると、
<海食洞の一。洞窟の狭い入口から差し込む太陽光線が海底に反射し、水面が青く輝く現象が見られる。イタリアのカプリ島、マルタ、沖縄などのものが有名>(『大辞泉』(小学館)より引用)
とあります。つまり、
1.海食洞が存在する
2.海食洞に奇麗な海水が満ちている
3.入り口から太陽光が差しこむ
という条件が整えば、「青の洞窟」は成立してしまうのですね。海食洞とは、国土地理院の情報を見ると、
<海食崖基部に見られるくぼみで、幅に比べて奥行きの大きい洞穴>(国土地理院のホームページより引用)
とあります。海食崖(がい)とは、『ブラタモリ』(NHK総合)ファンには有名な言葉で、波浪の浸食作用によってできたがけですね。がけの一部に弱い部分があると、その部分だけがえぐられていき、洞窟ができます。その海食洞に透明度の高い海水が満ち、太陽光から光が差し込めば、海底で太陽光が反射して青の洞窟が出現するのですね。
イタリアのカプリ島
さらに海底が白い石灰岩でできている場合は、余計に青が奇麗に見えると言います。ただ、そうでなくても海食洞で海水が青く見えれば、「青の洞窟」と称して人を呼ぶネタにしているスポットもある様子・・・。
実際に「自分たちが一番にその場所を「青の洞窟」と呼び始めたので、自分たちが元祖だ」と胸を張るツアー会社もあると、知り合いのマリンスポーツのインストラクターから聞きました。こうした商売上の背景もあって、日本には「青の洞窟」のメッカになっているのかもしれませんね。
以上、青の洞窟についてまとめましたが、いかがでしたか? 一部の商売人が何でも「青の洞窟」と称して、観光客を呼び込むネタにしていると、少し評論家のような顔をして偉そうに書きました。
しかし、案内する側の動機が何であれ、ボートやカヤック、シュノーケリングで海食洞に入っていくアクティビティは、興奮たっぷりです。陸上では得られないエキサイティングな瞬間を楽しめますから、ここはまんまと「青の洞窟」というキーワードに乗っかって、海上に漕ぎ出して行った方がが、人生を楽しめるかもしれませんね。
ギリシャのザキントス島
[Photos by shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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