クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 30th, 2018

海外旅行の場面では、何かにクレーム(complaint)を付けたくなる瞬間もきっとあるはずです。今回はネイティブスピーカーのチェック付き「クレーム上手の英会話」をまとめたいと思います。第二回目は、空港でのトラブルに対するクレームの伝え方。

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

お願い上手の英会話連載の姉妹編として、今回はクレーム上手なトラベル英会話表現を特集しています。初回は機内で使うクレーム表現を考えましたが、2回目は空港で使いそうなクレーム表現(complaint)を考えます。

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

もちろん初回と同じく英文は全てネイティブスピーカーのチェックが入っています。状況さえ合致すれば、そのまま使える表現もありますので、参考にしてみてくださいね。

 

長蛇の列で飛行機に乗り遅れそうな場合は何て言う?

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

空港ではさまざまな手続きがあります。搭乗手続き、手荷物カウンターでの荷物の預け入れ、保安検査場での手荷物チェック、税関・出国審査、搭乗ゲートでの受付などいろいろ。

混雑する時期はそれぞれの場所で時間を取られますから、フライト時間が迫っている場合は、ちょっと焦りますよね。黙って状況を受け入れていては、置いていかれます。何とか状況を打開しなければいけません。

「機内食が違うけど取りかえて」は何て言う?クレーム上手な英会話【飛行機編】

この表の詳細に関しては、初回の記事『クレーム上手の英会話【飛行機編】「機内食が違うけど取りかえて」は何て言う?』をチェックしてみてください。今回のケースでクレームや要求を伝える相手は、航空会社のグランドスタッフや空港の職員ですから、相手は初対面ですね。「このまま列に並んでいると乗り遅れてしまうから、何とかしてほしい」というこちらの改善要求に、言われた側は対処する義務がありますから、関係はDになります。

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

次にこちらが被っている迷惑の大きさを考えます。飛行機に乗り遅れるとなれば、かなりの迷惑。負担も大きいと考えられます。迷惑の分だけ、こちらの控えめな姿勢にも影響が出ますから、同じDでも少し丁重さを格下げしたD-でも問題ありません。「慎重にクレームと要求」を「普通にクレームと要求」に下げます。

ただ、初回にも繰り返しましたが、こちらと相手の立場は対等です。立場が対等な相手に対して頭ごなしに、

「How long will I have to wait? This line is just too long.」(どれだけ待たせるつもりなの? 列が長すぎるだろ)

などとクレームをぶつければ、こちらの気分は晴れるかもしれませんが、問題の根本的な解決にはなりません。基本的なスタンスは、呼びかけ、説明、謝罪、ねぎらいなどの言葉を尽くし、相手の気持ちを動かして、改善要求を伝えていく形になります。

「Excuse me.」

と、近くのスタッフに呼びかけ、

My flight time is getting closer and I cannot wait any longer. Can I go to the head of the line?」(フライトの時間がどんどん近づいてきているので、これ以上待てません。列の先頭に行ってもいいですか?)

などと、最初の下線を引いた部分のように状況を説明し、クレームと改善要求を伝えます。表現は特に丁寧なわけではありませんが、頭ごなしに文句を言うだけの場合と比べて、相手の聞こえ方は全く違ってきます。結果として、優先カウンターに誘導してくれるなど、何か対処をしてもらえる可能性が高まります。

 

予定のフライトが大幅に遅延、運休した場合は何て言う?

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

次は何らかのトラブルでフライトが大幅に遅れた、運休となったときのクレームと改善要求を考えます。筆者も先日、国内線ですが、旭川から搭乗予定だった最終便の飛行機が大幅に遅れるというトラブルに見舞われました。結果として1時間半遅れで乗れましたが、今度は空港から自宅までの移動で予定していた交通手段に乗り遅れるという事態になってしまいました。

このようなトラブルに海外で遭ったら、何とか自分で対処しなければなりません。しかも、遅延や運休によって飛行機の乗り継ぎに問題が起きそうなど、特別な事情がある場合は、しっかりと要求を伝えなければいけません。

「機内食が違うけど取りかえて」は何て言う?クレーム上手な英会話【飛行機編】

この場合、相手は初対面の航空会社のスタッフ。機材トラブルなど相手のミスによって生じた遅延や運休であれば、こちらの主張に相手は応じる義務と責任があります。よって関係はDですね。

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

こちらが被っている迷惑や負担を考えると、大きいと言えますから、その迷惑の分だけ慎重さや丁重さを差し引いて、同じDでもD-、「慎重に」から「普通にクレームと要求」をする形でも問題はないと考えられます。

ただ、「普通にクレームと要求」をしていいといっても、相手とこちらは対等な関係です。上司と部下のように明確な上下関係はありませんので、頭ごなしに何かを伝えてはNG。前後で言葉を尽くし、相手の心を動かす必要があります。

搭乗予定だった航空会社のカウンターなどに足を運んだら、

「Hello.」

などと呼びかけた上で、

「I will miss my connection due to this delayed departure time. I have a connecting flight at Hong Kong International Airport to Kansai International Airport. Can you find another plane I can take that will depart within 3 hours?」(この遅延した出発時間では、乗り継ぎに間に合いません。関西国際空以降行きの乗継便が香港国際空港であります。3時間以内に出発する搭乗可能な代替機を探してくれますか?)

などと、相手の非をクレーム(complaint)の形で口にせず、下線を引いた部分で状況を説明しながら、要求を伝えてください。少し英語が長く難易度が上がりますが、相手を責めず、事実をベースに、自分の要求を伝えたいですね。

 

荷物が届いていない(ロスト・バゲージ)場合は何て言う?

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

最後は到着空港に自分の荷物が届かなかったロスト・バゲージについて。TABIZINEでは過去記事『機内で1人は被害者に!?「ロスト・バゲージ」の対処法と防止策』でも紹介したトラブルですね。



「機内食が違うけど取りかえて」は何て言う?クレーム上手な英会話【飛行機編】

今回の相手は、手荷物引き渡し用の旋回式コンベアーの近くに居る航空会社のスタッフですから、初対面。ロスト・バゲージは相手の責任で、こちらの改善要求に応える義務が相手にはありますから、関係はDです。

しかも、ロスト・バゲージはかなり迷惑なトラブルですから、負担は大きいと言えます。その迷惑の分だけ、丁重さや慎重さを格下げしても問題ないはずですから、「慎重にクレームと要求」を「普通にクレームと要求」に格下げします。

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

ただ、繰り返しになりますが、相手は対等な立場に居ます。頭ごなしに文句や苦情(complaint)を伝えても、何も事態は改善しません。

「Excuse me.」

と呼びかけ、

My baggage has not come out. Can you find my baggage?」(私の荷物が出てきません。探してもらえますか?)

と、最初の下線で事情を説明し、直接的な駄目出しを控え、要求を伝えてください。言葉は丁寧ではなく直接的ですが、特に問題はありません。

 

以上、クレーム上手のトラベル英会話の空港編になりますが、いかがでしたか? 基本的に旅の途中で出会う相手とは、対等な人間関係が基本になります。頭ごなしに苦情や文句、駄目出しの言葉を使わずに、言葉を尽くして相手の心を動かし、改善に動いてくれるように仕向けたいですね。

クレーム上手の英会話【空港編】「ロストバゲージを探して」は何て言う?

[All Photos by shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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