トルコ最大の都市、イスタンブールの代表的な観光スポットとして挙げられるもののひとつがグランド・バザールです。トルコのお土産を買う以外にも、実はちょっと変わった楽しみ方があるのをご存知でしょうか。シルクロードの面影をいまに伝える、バザール内の隊商宿(ハン)を二つご紹介します。
グランド・バザール
中東最大級の市場としても有名な、イスタンブールの観光名所のひとつであるグランド・バザールは、15世紀半ばからの長い歴史を持つ市場です。
4,000軒を超える小さなお店が無数に集まり、日本ではなかなか見かけないような雑貨や絨毯、トルコランプなど多種多様な商品が取り揃えられています。トルコ語でKapalı Çarşı(カパル・チャルシュ)、屋根付きの市場という意味の通り、市場内は屋根に覆われていて、人々の熱気やスパイスの香りがバザール内に充満しています。
ズィンジルリ・ハン
15世紀半ばからの歴史を持つこのバザールは、古くはシルクロードの重要な通過点のひとつでした。異国からやってきた商人たちが宿をとって寝泊まりし、自国の商品を売り、また次の目的地へと旅していました。その宿がいまでもバザール内にひっそりと残されているのです。
Zincirli Han(ズィンジルリ・ハン)はかつて隊商宿として使用されていた場所のひとつです。天井から吊るされた矢印の先に向かってみましょう。
バザール内の喧騒が嘘のように、中央に木が植えられた静かな中庭、その上には屋根がなく青空が広がっています。かつて商人たちはこの中庭に馬などをつないでおき、二階で寝泊まりしたといいます。シルクロード時代の面影を残しつつも、いまでは主に事務所として利用されています。
住所 Taya Hatun Mahallesi Acı Çeşme Sokak, Beyazıt Kapalı Çarşı Mercan Kapısı 34126 Fatih/İstanbul
チュハジュ・ハン
二つ目の隊商宿はÇuhacı Han(チュハジュ・ハン)です。
このハンも、グランド・バザール内にあるのに屋根がなく、中庭から見上げると清々しい青空が広がっています。1階部分は黒いボコボコの屋根が連なり、貴金属を扱う店が多く並んでいます。二階から見えるのは、CGの世界か?!と一瞬目を疑うほどの大迫力、「ヌル・オスマニエ・ジャーミィ」です。
二階部分の工房では、運が良ければ中に入れてもらい見学させてもらえることも。オスマン帝国時代からの伝統を守りながらいまも市場にでまわる商品を手作りする職人さんの技に見入ってしまいます。
住所 Mollafenari Mahallesi, 34120 Fatih/İstanbul
バザールの喧騒を抜け出し、シルクロード時代にタイムスリップしたかのような感覚を、二つのハンで味わってみてはいかがでしょうか。
[All photos by Zon]